「'16年の日本選手権では、100メートル自由形で自身の日本新記録を更新するタイムで優勝。同年のリオ五輪ではリレーの第1泳者として、日本人初の47秒台を記録しました。日本人は、自由形短距離だと体格的に不利だと言われていますが、彼は次世代のホープと言われていますよ」(スポーツ紙記者)
'20年の東京五輪でメダルが期待される、競泳男子自由形の中村克選手。彼の功績は、努力によって生まれたものだった。
大きく遅れたスタート
「克のすごいところは、僕らがある程度、自分たちで“〇歳でこのくらいの記録を残してくれたらいいね”っていう目標を立てるんですけど、毎回、その目標のはるか先をいくんです。両親が描く予想を超えてくれるという意味でも、本当に楽しみです」
息子の活躍を目を細めて語るのは、父・昇さんだ。
「水泳は小学5年生から始めたんですが、サッカーと掛け持ちでした。小学6年生になったタイミングで水泳一本に絞りましたが、そのときはまだ習い事くらいの感覚でしたね」(昇さん、以下同)
50メートル自由形と100メートル自由形で日本記録を保持する中村選手。しかし、ジュニア時代は“水泳選手になる”ことさえ難しかったという。
「中学生になったタイミングで、通っていた水泳教室に“選手コースに入れてくれないか”って頼みに行ったんです。でも選手コースは、小さいときから選手を目指している子たちがずっと通っているからと断られてしまって。
教室を3、4校回って頼み込み、最後に後楽園スポーツクラブ調布校の先生が“そこまで言うなら”って拾ってくださって、選手コースに入ることができたんです」
ほかの選手と比べ、大きくスタートが遅れていたが、それが奏功した。
「克はスタートが遅かったこともあって、目に見えて速くなっていったことがうれしかったんだと思います。水泳を始めて5年後の高校2年のインターハイで、初めて優勝しました」
都内で居酒屋を経営する昇さんだが、中村選手もよく訪れるという。
「克はよく来ますよ。レバーやもつ煮、焼き鳥全般が好きでよく食べてますね。大会前だとお酒もまったく飲まないので、好きなものとご飯を食べています。瀬戸大也さんや入江陵介さんといった競泳選手仲間を、一緒に連れてきたこともあります。
焼き鳥の盛り合わせとか普通1つ頼んでみんなでシェアするじゃないですか。あの子たちは1人1皿ペロッと食べて、ほかの料理もバンバン食べていました(笑)。みんな本当によく食べるので、びっくりしますよ」
その勢いで、メダルもパクッとゲットしてほしい!