1日未明、東京・原宿の竹下通りに軽自動車で突っ込み、19~51歳の男性歩行者8人を次々にはね重軽傷を負わせ、殺人未遂容疑で逮捕された日下部和博容疑者(21)。
「灯油を人混みに噴射して火をつけようと思った」などと大量殺人の計画を供述しているという。実際車内からポリタンクに入った灯油約20リットルと、ライターがノズルの先端にテープで巻かれた高圧洗浄機が見つかった。
大阪ナンバーのレンタカーで大阪府寝屋川市の祖母宅を出発したのは大みそかの朝7時、事件の17時間前だった。
「家族がほんまかわいそうや」
祖母宅の近くに暮らす70代の女性は、
「昨年4~5月くらいかなぁ、一緒に住み始めたのは。3月末か4月頭くらいに、おばあちゃんが“孫が来るんや”ってうれしそうに話していたのを覚えていますから」
と振り返る。祖母宅の前に日下部容疑者が暮らしていたのは大阪府枚方市の実家。5年ほど前に父親が40代後半で亡くなった後、しばらくは母親と暮らしていた。
「事件があった日は家に明かりがついとったけど、今は明かりもつかんし暗いままや」
そう話すのは実家の近所に住む70代の女性。母親が暮らす家に出入りする中年男性を、日下部容疑者の父親と思い込んでいたそうで、
「日下部さんと深いお付き合いもないし、ゴミ捨て場であいさつする程度。逮捕された子がどこにいるかも知らなかった。容疑者には年の離れた弟さんがおってな。こんな事件起こして、家族がほんまかわいそうや」
祖母宅で暮らす日下部容疑者は時折、リュックを背負い出かける姿が近所の住民に目撃されていた。当初、孫が来ると喜んでいた祖母だったが、やがて「咳をするようなすごい声が聞こえるようになってきた」と前出・70代の女性は祖母宅での異変を明かす。
近所の80代の女性は、
「“おえっ”ってゲロを吐くときのような声が毎日、昨年の夏ぐらいから聞こえるようになった。何があったのか、おばあちゃんに聞くに聞けんし、気味悪かったわ」
と表情をしかめ、容疑者の祖母の悲しみに同情する。
おばあちゃんとの関係はよかった
「おばあちゃんはもともとご主人と長男の3人で暮らしとったんやけどな、ご主人は'16年7月に、長男は数年前に亡くなったんよ。寝屋川で不動産業を営んでいた(日下部容疑者の)お父さんは次男でな、この4~5年のうちに身内がバタバタ亡くなっておばあちゃんも寂しかったやろうな」
そんなときに、一緒に暮らすようになった孫。「逮捕されたときの姿は、子どものころの面影は一切ない」(同級生の祖父)とはいえ、祖母から見れば、孫はただただ可愛い。
「昨年8月に、“今度、孫が免許取りに行くんや”って言ってたわ。12月28日に、シルバーの軽自動車を車庫に入れるのを見てな、免許取れたんやなあと思っていたんやけど、まさかこんな事件を起こすなんて……。
おばあちゃんは手放しで可愛がっていたみたいで、かなり甘やかしとったみたいやけどな。おばあちゃんとの関係はよかったと思うよ。一緒に仲よく買い物に行ったりもしたみたいやからな」
と前出・80代の女性は話す。
暮れから祖母宅の玄関に飾られていたしめ縄は、「2日くらい前にはずされていたから家におると思うよ。明かりもつかんし真っ暗やけど」(前出・80代の女性住民)
孫が起こした事件に肩身が狭い思いで暮らしている祖母が気の毒でならない。