「君は何をされてる方なん?」
そんなフレーズとともに、和田アキ子のモノマネで2018年後半から一気に注目を集めている、モノマネ芸人のMr.シャチホコ。
「チョコレートプラネット松尾が、IKKOさんのモノマネで昨年大ブレイクしていったのと似た空気を感じます。今年前半の“目玉”になるのではないでしょうか」
と、あるテレビ誌記者は言う。
「IKKOさんと同じで、ひな壇バラエティやロケバラエティに、アッコさんがいる状態になっています(笑)。『もしアッコさんがこの場にいたら』的な豪華さを演出することで、笑いにつなげることができるんです」(同記者)
チョコプラとの違い
そこにはMr.シャチホコによる、和田アキ子モノマネの面白い視点が大きく影響していると、バラエティや情報番組で活躍する放送作家は言う。
「和田アキ子さんのモノマネと言うと吉村明宏さんが有名ですが、歌マネを中心に特徴をデフォルメして、誇張するようなものがほとんどでした。しかし、シャチホコさんは、誇張しないリアルな和田アキ子さんのモノマネなんです。
『君は何をされてる方なん?』っていうフレーズも、強調していないのに一発で和田アキ子さんだとわかる。しかも、いかにも彼女が言いそうだというリアリティがある。トークの間の取り方や仕草などのリアリティは、現在の松村邦洋さんがやるビートたけしさんに近い気がします」
和田アキ子モノマネやIKKOモノマネが、いまウケている背景についてはこう分析する。
「地上波のテレビの場合、バラエティの出演者が中堅から大御所まで、最近はかなり固定された顔ぶれになっています。そこに、見る側として『固定された人』をまねることでの面白さが生まれるんです。
和田アキ子さんはすごくキャラのたったタレントさんですから、見る側も誰をやるのかわかりきった安心感がある。和田アキ子さんやIKKOさんがここにいたらどうなるか、ということを想像させてくれる芸の面白さはありますね」
Mr.シャチホコのモノマネの実力は、かねてから定評があった。
「もともとは芸名の由来である、Mr.Childrenの桜井和寿さんのモノマネはクオリティが高くて有名でした。他にも有名ミュージシャンのネタはたくさんあるのですが、その中から和田アキ子さんがハマったということだと思います」(前出・放送作家)
人気の出方が、IKKOと和泉元彌のモノマネでブレイクしたチョコプラに似ているように見えるが、前出の放送作家は、その違いを語る。
「チョコプラさんは、キングオブコントで何度もファイナリストになり、もともとはモノマネを前面に出した芸ではありません。器用なコンビなので、モノマネも得意としていたのですが“なぜか”、IKKOさんでブレイクしてしまった。
いっぽうシャチホコさんは、モノマネをメインとして活動してきた。チョコプラさんとスタンスは違うけど売れ方が似ているのは、ネタとなるタレントさんのキャラの強さでしょうね」
先日は、深夜番組『ウチのガヤがすみません!』(日本テレビ系)に、和田アキ子本人が登場し、ダブルアッコ状態で大いに盛り上がった。和田アキ子公認状態となり、ますますのブレイクが期待されるが、
「今はとても使いやすく、そして落としやすくもある存在ですが、各バラエティを一周し、視聴者が見慣れた後にどうしていくか、ですね」(前出・放送作家)
「君は何をされてる方なん?」と言われないよう、次の展開に注目していきたい。
<取材・文/渋谷恭太郎>