熱烈オファーで連ドラを初監督
異色のお仕事ドラマ『ハケン占い師アタル』(テレビ朝日系 木曜夜9時~)が好調だ。
主人公の的場中(アタル)を演じるのは杉咲花。生まれて初めての仕事に張り切る派遣社員のアタルだが、目が合った人の悩みや心の原風景などが見えてしまう特殊能力がある。その力を駆使して、同じ職場で働く社員の悩みに向き合い、解決へと導いていく。
脚本は、『家政婦のミタ』『過保護のカホコ』などの人気作を手がけた遊川和彦のオリジナル。さらに遊川は本作で連続ドラマの初監督も務めている。
「ご自分の作品や登場人物にこだわり、愛情を注がれている遊川さんは、撮影現場にもよく足を運ばれている脚本家。今回は満を持して、プロデューサーである僕からオファーさせてもらいました。
映画(『恋妻家宮本』)の監督経験はありますが、連ドラの監督は夢だったと言ってくださり、ようやく実現しました」
と、遊川と同局『はじめまして、愛しています』でタッグを組んだ山田兼司プロデューサー。ロケ場所の制約やタイトな撮影スケジュールに苦戦しつつも、執筆と監督の“二足のわらじ”にもモチベーション高く臨んでいるそう。
「ご自分の作品だけに、物語の世界観やキャラクターについての説明が的確。そのため役者さんも(役作りに)迷わず、遊川さんを100%信頼しています。役者さんやスタッフの提案がいいと思えば、どんどん採用する柔軟性もあって、提案者は自信につながり、ますます作品をよくしたいと頑張るので、全員が一枚岩になった理想的な撮影現場です。楽しい雰囲気でディスカッションできる現場です」(山田P)
見やすさを重視して定型パターン採用
遊川作品に初出演&主演を撮影前から楽しみにしていたという杉咲は、
「遊川さんはじめ愛情深い方ばかりで、とても温かい日々を過ごさせていただいています。スタジオ撮影の日はみなさん、楽屋に戻らず、セットの横のテーブルで話したり、なぞなぞをしたり、お菓子を食べたり……。和気あいあいとしていて楽しいです」
黒のタートルネックに赤系のチェックのシャツが定番ファッションのアタル。でも、通勤時は目が合った人の情報をシャットアウトするためサングラスとニット帽、ロングコートが定番スタイルに。
「特殊能力のあるアタルのキャラクターの魅力は、遊川さんの作家性が生きている、本作の大きな見どころです。服装や表情、口調に二面性がある型破りなアタルが、働くことに悩む人たちを占いの力で導き、大切なものに気づかせていきます」(山田P、以下同)
1話完結の物語は、冒頭でアタルの母のキズナ(若村麻由美)が登場、その放送回の悩める仲間を紹介、どんな悩みかを描いた後に、アタルが“アナタを見ます”と占う。そして最後には、仲間がスッキリして、自分に必要なくなったものをゴミ箱に捨てていくというわかりやすい構成になっている。
「働くというテーマを描くにあたって、どうしたら面白い作品にできるか取材を重ねました。働くことの悩みは、働く人の数だけあって、とても多種多様で複雑です。それをできる限り普遍化して描き、とっつきにくくならないようにするためわかりやすくご覧いただける作りにこだわりました。
気楽にご覧いただけますが、内容は深く、考えさせられるものがあるかと思います」
アタルの職場の社員の名字が全員、山手線の駅名なのをはじめ小道具にもこだわり、遊び心がちりばめられている本作。
「働くことの本質をえぐりたい作品ですが、間口を広くして見やすくしていますし“明日から私も働きたい”と思ってもらえるような物語になっていますので、年齢、性別、世代を問わずに楽しんでいただけたらと思います。
そして後半は、アタルのバックグラウンドが明らかになっていきます。なぜ、これまで表に出ずに働くことをしてこなかったのか。キズナとの親子関係やアタルの二面性の理由などが描かれていくのが見どころになります」
■アタルの二面性は髪型にも
「二面性のあるアタルの象徴として、髪型にもこだわっています。右はストレートだけど、左ははねている。メイクさんが職人技で毎回、手間暇かけています」(山田P)。
今後、アタルの背景が描かれる展開の中で、髪型の変化も要チェック!