コンビニ業界は成長を続け、もはや飽和状態。生き残りをかけた戦いはますます激しくなっている。
そんな中、独自の品ぞろえやサービスなど、他店にはない特徴を打ち出した業態も相次いで登場。新たな顧客の獲得にも成功している。
そのうちのひとつが、美や健康などをテーマにした商品をそろえ、首都圏で140店舗を展開している『ナチュラルローソン』だ。
ローソンよりも価格帯が高めでありながら、自然志向を好む女性を中心に根強い支持を得ている。
新事業コンペから生まれた
「1号店がオープンしたのは2001年。きっかけは、ローソンの社内で新事業を募集する社内ベンチャーでした」
こう教えてくれたのは、ナチュラルローソン商品部の鮎川美保さん。
2000年ごろのコンビニ商品は、いまのように健康を意識したものは多くなかった。そんな中、体調を崩してしまった妻がいるひとりの男性社員が「家族が安心して食べられる商品が身近にあったら」と考え、生まれたのがナチュラルローソンだという。
「新事業の計画を募って社内で投票をした際に、ナチュラルローソンが1位だったんです」(鮎川さん、以下同)
オープン当初から続いているコンセプトは、“カフェのような居心地のいいコンビニ”。いち早く焼きたてパンを提供したり、イートインスペースを設けたり、淹れたてのコーヒーの香りを心地よく楽しめくつろげるように、ライティングやイスの材質にまでこだわっている店舗も多い。
棚に並ぶ商品の基準も徹底されている。合成保存料や着色料を使った食品を採用しないだけでなく、開発される商品は1食で完結するのではなく“食べ合わせメニューのひとつ”として考え、1食あたりのカロリーは650キロカロリー未満になるように設定している。
「低カロリーで味もいい」
さらに、高級スーパー『成城石井』の商品を取り入れ、旬の野菜や果物といった生鮮売り場や、生ハムやチーズといった上質なおつまみも充実の品ぞろえ。働く女性がついつい寄りたくなる店舗づくりとなっている。
「いままでにない実験的な商品開発にも挑戦していて、人気の商品は全国のローソンでお買い求めいただけるものもあります。
特に昨年好評だったのが、食物繊維を多く含むもち麦を使ったおにぎり。低カロリーで味もいいと、ローソンでも幅広いお客様に気に入っていただくことができました」
今後は、消費者との交流を図るべくファン参加型のイベントを企画しているという。
「2020年には倍以上にあたる300店舗を目指しています。ナチュラルローソンの拡充で、グループ全体で成長していきたいですね」(ローソン広報室)