'14年12月に結婚、専業主婦となった、まこつさん(35)は毎日、夫のために彩り華やかなお弁当を作っていた。ある日、夫の実家の飼い犬をモチーフにしたキャラ弁を作ったところ、とても喜んでくれたのだそう。
「それから、ときどきキャラ弁を作るようになりました。その少し前からちょうど、お弁当の記録用のインスタグラムを始めていたんです。インスタは文章を書かずに写真をアップすればいいだけなので、ピッタリでした」
リアクションが薄い主人がすごく笑ってくれた
もともと友人・知人は多く、当初からフォロワーは200人ほどいた。「いいね」の数が100を超えるキャラ弁もあった。が、「夫にもっと笑ってほしい!」と思ったまこつさんは、ある日、カニカマをメイン材料に、虫刺され薬『ムヒ』のキャラ弁を作る。
「主人は基本的にリアクションが薄い人。でも、このお弁当はすごく笑ってくれました。そして私も作りながら“おもしろい!”と快感を覚えました(笑)」
一線を越えてからのエスカレートぶりは、写真を見てのとおり。食品のパッケージにはじまり、チェーン店の看板、おなじみの洗剤など、ユニークなモチーフ選びと、誰もがわかる再現ぶりがネット上で話題になった。
「見た人が拡散してくれたり、ネットニュースで取り上げられたりで、1日に2万~3万人もフォロワーが増えたこともありました。作るのに2時間以上を費やしても、主人はほぼ反応なし。ですが、インスタにアップして“いいね”をもらったり“今日もこれを見て癒されます”なんてコメントをもらうとうれしくて、ちっとも気にならなくなりました(笑)」
お弁当のデザインのアイデアは、寝る前や運転中の信号待ちのときに、ふと浮かんでくるのでスマホにメモ。パッケージやロゴの画像をネットで見つけて、保存している。
「作り方は、まず保存した画像をスマホ上で、作りたいサイズに合わせて調整します。そこへトレーシングペーパーを置いて、商品ロゴやイラストをペンでなぞって型紙作り。
次に、型紙に合わせて、海苔をくりぬいてキャラ弁のパーツを作るんです。ロゴは縦横サイズの比率を同じにするのがポイント。あとは、彩りよく見えて、おかずもきちんと作るようにしています。味は意外とおいしいんですよ~」
海苔のパーツ作りなどは前夜にすませ、翌朝、作り上げたらスマホで撮影。夫に持たせたら早々にインスタにアップする。
「今日もいいお弁当を作った! という達成感で、朝から張り合いがあります」
ちなみに、夫はSNSをやっていないので、フタを開けるまで中身を知らないそうだ。
反響が続々と
フォロワー数が10万人を超えたころ、書籍化の声がかかった。
「新作も10個以上考えて、すべてあらためて作って撮影したので大変でしたけど、うれしかったです。両親がすごく喜んで、親戚じゅうに配りました(笑)」
インスタのフォロワー数は一時期、13万人を超えた。弁当のモチーフにしたケンタッキーフライドチキン(写真)からキャラ弁作りの動画を作る話が来たり、『岩下の新生姜』のキャラ弁は、岩下食品の社長から直々にコメントをもらって自社ミュージアムに弁当の写真が飾られた。反響は膨らむばかりだ。
現在、2児の子育てで忙しく、弁当作りはお休み中ということだが……。
「春には長女がお弁当不要の幼稚園に通い始めるので、また“猟奇的”な弁当作りを復活させたい」
フォロワーでなくても新作が待ち遠しい!
《PROFILE》
まこつさん ギャル系ファッション誌『小悪魔ageha』の元モデル。現在は専業主婦に。著書に『愛と憎しみを込めた旦那への猟奇的弁当』(1200円 KADOKAWA)