愛くるしい表情にぽっちゃりボディの柴犬まる。インスタグラムのフォロワー数は、国内外あわせて250万人以上! みんなが夢中になるワケは? “まるパパ”こと飼い主の小野慎二郎さん(45)に話を聞いた。
日本初の“犬の観光大使”に
「出会いは'07年。ショッピングセンターで、生後1か月にしては大きめの子犬にひと目惚れしました。そこから悩んで、クリスマスイブに半額セールになってしまったまるを妻と一緒に連れて帰りました」
いくつかの会社を経営している自営業の小野さんは、散歩の時間がとりやすく、食事や水も、まるが求める前に与えることができる。
「愛情は100%注げていると思います。うちには子どもがいないので、まるが子どもですね」
普段のまるはどうしているのかというと、
「基本的に1日18時間は寝ているので、その合間に食事や散歩の様子などを撮影しています。人間に対しては、距離感を大切にしてくれますね。家に帰れば“おかえり”と迎えてくれるけど、普段は1~2メートル離れて暮らしています」
イベントなどに招待されることもあるが、3か月に1回くらいのペースで出演。ファンでも、なかなか生のまるには会えないようだ。
人気の高さから東京都文京区の根津には、グッズを扱うショップもできた。
「まるはショップにもほぼ出勤していないので、もし会えたらラッキーかもしれません。先日も『YOUは何しに日本へ?』というテレビ番組で、わざわざ海外のファンがまるに会いにきてくれたそうです」
テレビ出演から1日店長まで、精力的に仕事をこなすまる。小野さんに、おもしろかった仕事を尋ねると、
「三重県の観光大使のお仕事です。都道府県で犬の観光大使は日本初なんだそう」
伊勢志摩サミットの時期で、海外のフォロワーが9割を占めるまるに白羽の矢が立ったという。その人気ゆえ、いろんなオファーがあるのでは?
「以前、中国のとある大物から“まるに会いたい”とオファーがあったんです。飛行機には検疫などの手続きがあるので、断りました。すると“検疫はパスしていいから”と再オファーが。
そこまでして連れていけないと言うと、先方が飛行機会社に問い合わせてくれた。そしたら“パンダだって輸送は貨物室。犬を客席に座らせることはできない”と言われたそうで結局、あきらめてくれました(笑)」
パンダと比較する話まで出るとは、まるで国賓待遇!? さらに、すごいエピソードも。
「ドバイから、自家用ジェットを出すから来てくれ、と言われたことも。ドバイは暑いから無理ですって断りましたけど(笑)」
殺処分される犬を減らしたい
インスタを見ている人に、自分の飼い犬のように思ってもらいたい、と小野さんは言う。
「例えば、実家に犬をおいてきた、ペットNGのマンションで……など、犬を飼えない事情はたくさんある。そういう人たちに、自分の愛犬のように思ってもらえればと」
擬似体験ができるよう、1日3回、8時間ごとにインスタを更新。「世界中の方たちにも見ていただきたくて」と、時差のある国にも心を配る。これが海外フォロワー数の多さの秘訣だろう。
そんな小野さんとまるの夢は……。
「殺処分される犬を減らしたいんです。私自身、保護犬というものを知らず、ペットショップでまるを買ってしまった。だけど“可愛い!”とノリで飼って、育てきれずに捨ててしまうくらいなら、ネット上で、まるを自分の愛犬のように愛してもらいたい。殺処分される犬を今後、少しでも減らす手助けができたらいい、と思います」