「この小説を読んだとき、飯田監督に僕のすべてを見透かされているような気がして、ちょっと怖かったんです。それぐらい、僕と主人公の“新開タカオ”との共通点がいっぱいありました」
そう話すのは、『週刊女性』で今週号から連載がスタートする小説『ロストマン』で主演を務める稲垣吾郎。映画『らせん』『アナザヘヴン』などで知られる映画監督・小説家の飯田譲治が稲垣をモデルに主人公を“あてがき”したという異色作だ。
読むと、“物語の中で稲垣が動き出す”という、今までにない読書体験が味わえる!!
通常の小説は、読者が登場人物のビジュアルやキャラクターを自分なりに想像するもの。だが、小説『ロストマン』の主演は稲垣で決まっているため、読者は稲垣をイメージしながら読み進めることができる。
「男だったら誰でも気持ちがわかるっていうか、それを認められるかどうかであって……。こんなこと、言っちゃっていいのかな(笑)」(稲垣、以下同)
というのも、主人公“新開タカオ”は心療内科医で、外科医の妻がありながら、キャバクラ嬢と浮気をしているという、いわゆる“軽い男”なのだ。
「完璧に清廉潔白な人って、絶対いないと思うんです。誰しもが人に言えない本当の自分を持っている。自分でも認めたくない自分というか……。そういうものだらけだから。そこがすごく共感できたんです」
本当の僕を見つけてくれた
病床に伏したある人物を見たときの主人公の心理描写には、
「本当はダメじゃないですか。あんな状況なのに、タカオは“涙も出てこない”って思うなんて。でも、ちょっとわかる気がする。常に冷静なんですよね、僕って。一歩引いて見ているというか、よくも悪くも」
稲垣のキャラクターを見抜いた飯田は、こう話す。
「“主人公がやること=稲垣さんがやりそうなこと”というわけじゃないんです。例えば、稲垣さんがピンチに追い込まれたとき、こんな対処をしたり、考えたりするだろうと想像しながら書きました」
その言葉に、稲垣は感激!!
「そうなんですね!! それって一番すごい“あてがき”じゃないですか。今回、いろいろなことに翻弄されている主人公なので、受けの芝居が多かった。そこで、“タカオ”がとるリアクションが確かに僕っぽいというか……。
僕だったらこうなるなってことがすっごいありました。本当の僕を見つけてくれた気がします」(稲垣、以下同)
小説内に入る稲垣のイメージ写真は、“飯田がシチュエーションを説明しながら演出する”という、まるで映画やドラマのような撮影を行った。
「僕の性格を読みとって、役に落とし込んでくれたのは飯田さんが初めてかも。僕のこと、よく見ているなって。テレビのパブリックイメージだと、僕はそういうのを出してこなかったから(笑)。
でも絶対あるし、別に隠すつもりもない。今までのイメージだと役も偏っていたと思うし、すごくうれしいです」
“稲垣はこの役にピッタリだ”と、飯田も太鼓判を押す。
「“新開タカオ”にハマっている感がすごくある。読者のみなさんも、“タカオって稲垣さんっぽい”と思いながら読めますよ」(飯田)
飯田が描く疾走感のあるストーリーの中で、稲垣が暴れ出す!!