「バラエティ番組が好きで、いつも笑わせてもらっています。そんな楽しい番組のコンテンツはどのように作られているのか、企画会議がどのように行われているのか、とても気になります」 (20代・男性)
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どうも、放送作家の鮫肌文殊です。今回から始まりました新連載『テレビ なんで! なんで!?』
この『週刊女性PRIME』読者の皆さんからいただいたテレビに関する素朴なギモンに、日々テレビの最前線で番組を作っている現役テレビマンとして自らの体験など交えながらお答え。現場からの声を真摯(しんし)に伝えていきたいと思います。
さて記念すべき連載第1回目のご質問。これは我々放送作家に対してよくある質問ぶっちぎりの第1位といっても過言ではない。
「事件は会議室で起きてるんじゃない! 現場で起きてるんだ!!」とはいにしえの大ヒットドラマ『踊る大捜査線』の名台詞ですが、バラエティの場合は逆。すべては会議室から始まります。
会議に出席しているメンツは番組プロデューサー、担当ディレクター、AD、そしてわれわれ放送作家という布陣が基本。ここにタレントが参加することはまずない。
バラエティ番組の場合、番組作りのきっかけはいたってシンプル。われわれ放送作家が提出する企画案を元に、みんなでブレスト。
「この企画、もっと別の要素足したら?」
「逆にシンプルにした方がわかりやすくない?」
「いっそドッキリ形式にしてみる?」
などなど元のアイデアを様々な角度からブラッシュアップ。テレビ局や制作会社の会議室に集まったそのメンツで「今度何やるか?」を決めます。
今は昔の「24時間働けますか?」
例えば私の担当している『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)だったら、私が『Qチューブ』で何やるか、企画を『イッテQ!』の定例会議に提出。ディレクター陣が「これ面白いねー!」って話になった瞬間、ロッチ中岡創一がロケで次に何をやらされるかの運命が決まってしまうのです。まさにすべての始まりは会議室!
このバラエティの構成会議も私がこの業界に入った90年代からだいぶ様変わりしました。世の中の「働き方改革」の波がテレビ業界も直撃しているのです。
昔は午前0時から会議スタートなんてこともありましたが、今は皆無。局のお偉いさんからきつく指導されているらしく、遅い時間の全体会議はご法度。となるとどうなるか? 遅くできないなら早くするしかない! とばかりに、ここ数年のテレビ業界はどんどん打ち合わせの早朝化が進んでいます。
朝の8時、9時は当たり前になりました。時には7時スタートなんてことも! 私、車に乗らないので今は毎日のようにラッシュ時の満員電車に揺られて局通い。満員電車が嫌でこの仕事を始めたのになぁ。
「24時間働けますか?」のブラック企業の典型だったテレビ業界、局側から言われた労働時間をちゃんと守ろうとするとADが今の倍の人数が必要になるため、泣く泣く仕事を断った制作会社さえあると聞きます。
今のテレビ業界を席巻する「働き方改革」の大波がこれからどうなっていくのか? 満員電車に揺られながらその推移を見守りたいと思います。
<プロフィール>
鮫肌文殊(さめはだ・もんぢゅ)
放送作家。’65年神戸生まれ。古舘プロジェクト所属。『世界の果てまでイッテQ!』など担当。渋谷オルガンバー「輝く!日本のレコード大将」(毎月第2金曜日)新宿ロックカフェロフト「トーキョー歌謡界アワー」(奇数月開催)などでの和モノDJ関西伝説のカルトパンクバンド・捕虜収容所のボーカリストなど音楽活動も数多い。