視聴者の要望に応えたみね子たちの“その後”
有村架純がヒロインを演じた、岡田惠和のオリジナル脚本による2017年放送の連続テレビ小説『ひよっこ』の続編。
有村は、昨秋のロケ撮影開始をこう振り返る。
「その時期は、まだ別のドラマの撮影中でした。だから、みね子だけど、どこか違う人のような感じもあって……。12月にスタジオ撮影が始まったときも別のドラマのクランクアップ直後で、監督から“声が違う。早く戻ってきて!”って言われちゃいました(笑)」
最終回視聴率21.4%、平均視聴率20.4%(ともにビデオリサーチ調べ、関東地区)の人気作。
「朝ドラは放送中に視聴者からお手紙をいただくことが多いんですが『ひよっこ』は、特にハガキではなく封書のお便りが多かったです。みね子は今の時代に生きていたら70代で、同世代の方からの共感が目立ちました。また、女性の立身出世伝ではなく、身近な人たちとの日常を描いたという点にも親しみを感じていただけたようです。いただいたお手紙は、スタジオの前に貼り出して演者、スタッフともに元気をもらっていました」と、菓子浩チーフ・プロデューサー。
続編を見たいという視聴者からの熱い要望が寄せられ、実現した。
「朝ドラを担当するのは7作目ですが(作品が)愛されていることを改めて感じました。登場人物のみんなが元気に頑張っていますよ、という2年ぶりの近況報告になればと思います」(菓子CP、以下同)
前作は、東京オリンピック開催からの1960年代が舞台。みね子は、父・実(沢村一樹)が出稼ぎに行ったまま行方不明になったことをきっかけに、集団就職で上京。しかし、就職先のトランジスタラジオ工場が不況で倒産し、父が立ち寄ったという赤坂の洋食屋『すずふり亭』で働くことに。さまざまな試練を乗り越え成長したみね子は、見習いコックのヒデこと秀俊(磯村勇斗)と結婚した。
続編は1970年の秋から始まる。みね子とヒデは、いつか店を持つという夢を抱きつつ『すずふり亭』で働いていたが、店主の鈴子(宮本信子)の元気がないことが気になっていた。
そんなある日、みね子はヒデと故郷の奥茨城村へ帰省することに。久々の里帰りだったが、進路に悩む妹やスキャンダルに見舞われた女優の幼なじみと再会し心配の種が増えて……そして、実の記憶は戻るのか。
出演者が勢ぞろい! 続編を前に総集編も
ひとりひとりのキャラクターを丁寧に描く岡田脚本の登場人物に、愛着を感じている視聴者も多いそう。
「だからこそ、今作にはレギュラー出演者全員に登場してもらっています。人気の役者さんがそろっているので、スケジュールはかなり無理をいってお願いして、ようやく実現しました」
撮影現場は同窓会、あるいは法事の席に親戚が集まって話に花を咲かせるようなアットホームな雰囲気だったという。そんななか、役作りに成長ぶりをみせる出演者も。
「みね子の弟役の高橋來君は、中学2年生になった設定ですが、実際は、まだ小学4年生。(役作りで)ちょこまか歩かないようにするなど、一生懸命考えていました(笑)」
4回にわたって放送される“夜の朝ドラ”はいろいろなことが起きてもハラハラドキドキの展開はない。
「ずっと見てくださっていた方には、朝ドラのときと変わらない温かい世界を楽しんでいただけますし、初めてご覧になる方にとっても、決してとっつきにくいものではありません。大きな展開がないぶん、居心地のいい(1話)30分になっていると思います」
オープニングを’70年代に♪
’60年代を舞台にした朝ドラから2年後の続編は’70年代。そこで、オープニングのタイトルバックもリニューアル。前作同様、ミニチュア写真家の田中達也さんとCGアニメーターの森江康太さんが手がけた。
「上野動物園のパンダや大阪万博などが登場します。前作では夜の街にひとりでいたみね子が、ヒデと結婚後の今作では、ふたりになっているなど、すべてに変化がありますので、比べてお楽しみいただけたらうれしいです」(菓子CP)