新時代の明智小五郎は
頭脳&アクションが魅力
推理作家・江戸川乱歩が生んだ希代の名探偵、明智小五郎が主人公のオリジナルミステリー。舞台は、ネット犯罪の脅威が忍び寄る現代日本。明智は明晰(めいせき)な頭脳に加え、IT系の知識と技術、さらにアクションを炸裂(さくれつ)させて、サイバー犯罪に挑んでいく。
「たくさんの俳優さんが演じてきた明智小五郎を演じることができ、光栄です。いろいろな作品に出演しましたが(自分にとっての)最高傑作のひとつです」
と、テレ朝ドラマ初主演の西島秀俊は自信を見せる。
制作の経緯について、大川武宏ゼネラル・プロデューサーはこう語る。
「子どものころから土曜ワイド劇場の看板シリーズ、天知茂さんの『江戸川乱歩の美女シリーズ』の大ファンでした。テレビ朝日で働く以上、1度は映像化したいとずっと思っていました。私自身が江戸川作品のファンなので、最大の敬意を払い現代版の明智小五郎にしたい、と思っていました。
西島さんは運動能力の高さと肉体のタフさを持ちながら、ナイーブな内面の演技ができる方。深い闇の表現、コミカルさ、温かく家庭的な優しさなど、いくつもの顔をお持ちです。
西島さんが演じてくだされば、明智の現代版ができると強く感じました。西島さんにオファーするなかで、お互いのイメージが近いことがわかり、今回の企画が2年前にスタートしました」
江戸川作品を読破、可能な限り映像化作品も見て研究したという大川GP。
「昭和初期の世界観を映像化するのは難しいと判断しました。そこで、神出鬼没の“怪人二十面相”を、現代で問題になっているサイバー犯罪や悪徳ハッカーに置き換えることができないかを考えました。
対する明智は、素人探偵ではなく、警察が手に負えないような新しいネット犯罪を得意とするIT系サイバーセキュリティー企業の元経営者で、大富豪にしたらどうかと思いついたのです」
江戸川作品の『少年探偵団』は、少年の心を持った“中年探偵団”のハッキング集団『チームBD』として登場する。
「刑事ドラマ、アクション、サスペンス、夫婦コメディー、最先端のCG合成……。てんこ盛りの内容ですが、いちばんの魅力は、最高の俳優たちが演じるユニークなキャラクターにつきます。“また、この登場人物に会いたい”と思っていただければ成功です」(大川GP)
むちゃぶりと自由演技
笑いのポイント満載
第1夜『SHADOW』は、警察のデータベース流出から巻き起こる犯罪者連続殺人事件。第2夜『VAMPIRE』は、巨大病院を襲う絶体絶命のサイバージャック。明智は、国際指名手配犯のハッカー集団「ファントム20」が関わる犯罪に立ち向かう。
明智のバディ、小林芳雄捜査官(江戸川作品の小林少年がベース)役は、西島とは『ダブルフェイス』『MOZU』などで共演した伊藤淳史が演じる。
劇中で、やたらとセリフをかむ設定は緊迫、感動のシーンに笑いを生んでいる。伊藤はこれについて、
「かむシーンは台本では1か所でしたが、木村ひさし監督がどんどん膨らませてエスカレートしました。僕もスイッチが入ってしまい、いいセリフはだいたいかんでいます(笑)」
現場で思いついたアイデアを盛り込む木村監督。第1夜の序盤に登場する明智のトレーニングシーンも監督のむちゃぶりという。
「急にやらされました(笑)。
アクションはモノを使ったりするものが多く、ジャッキー・チェンへのオマージュで、僕の新境地になりました。撮影は大変でしたが、悪い人は基本的に逃げるので、誰もケガはしない(笑)。痛くないアクションなので、お子さんやご家族で見てほしいです。
演技では、共演の香川照之さんや石田ゆり子さんが楽しそうにノリノリで自由な芝居をしてくるので、それを受けるためのサンドバッグ状態でした(笑)」(西島)
難しいサイバー犯罪はわからなくても、笑いながら楽しめる。
「明智が追うのは、見えないサイバー犯罪の闇に秘められた謎と人間像。キャラクターのユニークさとアクションで次々とスピーディーに展開しながら、シリアスな人間ドラマを作れたと自負しています。
江戸川乱歩の世界観や、明智小五郎は“暗くて怖い”と思っている方もいらっしゃるかもしれません。でも、今作は“面白くてスピーディーな明智小五郎”です。ぜひ2夜ともにご覧ください!」(大川GP)
■小道具を、すみずみまでチェックして!
明智の事務所にはトレーニングマシンにユニークなインテリア&おもちゃなど面白グッズの宝庫!
「本編では語られない裏のストーリーもちりばめられています。また、明智が運転している車は、日野コンテッサという1960年代の名車。今見ると地味ですが、イタリアのジョバンニ・ミケロッティがデザインした優雅な車です。“美女シリーズ”の明智が当初乗っていたのも白い小型車だったので、こだわって探してもらいました」(大川GP)
テレビ朝日系 3月30日(土)・31日(日) 夜9時~