実は刺身は、持ち帰るときや食べる前のひと工夫で、劇的においしくなるんです! 焼津の人気鮮魚店の達人が教えてくれた、驚きのワザをお試しあれ。
プロは氷のリレーで温度を死守
魚の鮮度を保つには、温度を制すべし! 魚がとれた瞬間から店頭に並ぶまで、魚のプロたちが常に使っているのが温度を保つ「氷」です。
科学に基づいた食や暮らしのお得なワザを長年紹介しているNHKの人気番組『ガッテン!』が養殖マグロの一大産地、長崎県対馬市を取材。
マグロを釣り上げて船上に魚があがると、すぐに内臓を取り除き、大量の「海水氷」に投入していました。海水を混ぜて凍らせた氷で、通常の氷より温度が低いマイナス2℃で一気に冷却します。陸あげ後の漁港や魚市場でも氷でバッチリ冷やし、店舗へ運ぶ際も氷を活用していました。
このような流通の仕組みを「コールドチェーン」と呼びます。その名のとおり、氷と氷をリレーして片時も魚と氷を離さないのにはワケが。低い温度帯の海水で生きてる魚は牛や豚などの畜肉と比べ、温度が上がると格段に鮮度が落ちやすくなります。温度が高くなると酵素が活性化し、うまみ成分を分解してしまうのです。酵素は0℃のときと比べ10℃で12倍、20℃で27倍も活性化するといわれます。
ところが、そんな氷のリレーも、消費者の手に渡ったところで途切れてしまうことに。
番組では、あるスーパーマーケットで4日間72組の買い物客を調査したところ、約8割が氷を使わずに持ち帰りました。最初1℃だったマグロが店内で20分買い物をしたら8℃になり、帰宅するころには20℃に。袋から取り出すと、パック内には刺身から出たドリップがたまっていました。
温度が上昇して酵素が活性化すると、刺身から液体「ドリップ」が出ます。ドリップはうまみ成分イノシン酸を含んでいるので、刺身のうまみが損なわれ、ドリップが10g出ると、うまみは4割も減少するといわれています。
そこで、購入後もコールドチェーンをつなぐワザを静岡県焼津市の鮮魚店主の前田尚毅さんに教わりました。
鮮度を保つ「袋詰めテク」
少なめの氷をビニール袋に入れ中の空気を極力、抜きながら口をくるくるとねじる。
袋の終わりまでねじったらなるべく先端を縛り、ねじりを戻して平らになるよう押し広げ、その氷袋と刺身を一緒に小袋に入れる。氷は刺身パックのふたがラップならパックの下に、プラスチックならパックの上に入れると効果的。
コツは極力、空気を入れないこと。氷を入れた小袋だけでなく、買い物袋に詰めるときも袋の口をすぼめ、しっかり空気を抜くことが大切です。詰め方次第で、店を出て30分歩いても刺身を5℃以下に保てます!
さらに前田さんから、持ち帰った刺身をもっとおいしくする「塩締め」というワザを教えてもらいました。刺身に塩をふって、臭みのもととなる水分を抜く方法です。
刺身を絶品にする「塩ふりワザ」とは
(1)塩をまんべんなくふる
まな板に塩焼きより少し多めの塩を刺身の大きさに合わせてまんべんなくふり、刺身のさくをのせて同じくらいの量の塩を刺身の上にもふります。
(2)まな板を斜めにして30分置く
出てきた水分が戻らないよう、まな板を斜めにして30分(鯛やヒラメなどの身の薄い刺身は15分)置きます。体積の大きいほう(身の厚いほう)を下に向けます。
(3)湿らせたキッチンペーパーでふく
水で湿らせて絞った厚手のキッチンペーパーでさくを包んで水分を抑え、刺身の目に沿って塩をふき取ります。指で触って味見し、塩けがあれば新しいペーパーで再度ふき取り、ラップをせずに冷蔵庫のチルド室で30分以上、冷やします。
塩締めには酵素の働きを抑える作用があり、うまみ成分を身の中にとどめます。そして、塩の脱水作用で余分な水分が抜けると、塩の熟成効果で身の弾力が増して、もっちりとした食感に。さらに余分な水分には臭みのもとが含まれるので、生臭さも抑えられます。
塩締めをした刺身を、いつもよりしょうゆを控えめにして、ぜひ1度味わってみてください!
総合テレビ毎週水曜午後7時30分~8時15分
総合テレビ毎週土曜午前0時25分~1時10分(再放送)
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※タイトルはすべて仮です。放送は変更になることがあります。