「車イス生活を送っている役なので、お借りして実際に乗って家で過ごしてみたんです。乗った瞬間、世界がちょっと変わった気がしましたね。スロープがいかにありがたいか……。そもそも目線も違うし、落としたものもとれない。本当にわずかな段差にも勇気がいるんです」
新ドラマ『パーフェクトワールド』で下半身が不随となった主人公・鮎川樹を演じる松坂桃李(30)。障害という難しいテーマを扱ったラブストーリーとなるが、
「見ていて苦しくなる描写もあると思うんですが、それだけだと見ている方はつらくなってしまうので。メリハリをつけて、伝えなければならないことはちゃんと伝えて、楽しめるところは思い切り楽しんでいきたいです」
と笑顔を見せる。実は、松坂が連ドラで純粋なラブストーリーに挑むのは今回が初。
「純粋と言っても、学園ものとは全然違います。僕は特に働いているカップルに見てほしいなと思っていて。身体の障害だけではなく、大人の恋愛って乗り越えなければならない試練みたいなものがけっこう出てくるじゃないですか。いわゆる“夢”だけでは恋愛できないし、相手のことはもちろん、相手のその先、周りのことも考えざるをえない。そういう人たちにとって、何か励みになる作品になればいいなと思っています」
大人の恋愛に“障害”はつきもの。そんな恋愛をしてみたいと思う?
「そうですね。(少し考えて)できれば平和な恋愛をしたいですけど(笑)。でも年齢が上がれば上がるほど現実と向き合わなければならないと思うんです。それはもちろん、相手のことが好きだからこそ。僕ももう30歳になったので、例えば、そういった障害が立ちはだかったとしても、乗り越えていきたいですね」
同窓会に呼ばれたことがない!?
今回のドラマは、高校時代の同級生だったヒロインと再会するところからストーリーは始まるが……。
「再会から始まる恋とか、いいですよね。再会と言えば同窓会ですが、僕、1度も呼ばれたことがないんです(笑)」
そんな松坂には高校時代、恋に焦がれた同級生がいたそうで、
「マドンナ的な存在の子がおりまして。でも思いを伝える前に先輩とお付き合いをしていたので、僕の恋は叶(かな)わなかったんです。ウワサでは、どうやらその子はCAをやっているようで。仕事で飛行機に乗る機会も多いので、そこで再会するかも……と期待しちゃったりして(笑)」
と冗談まじりに話す。30代に突入し、早くも半年。最後に今の恋愛観について、こう語ってくれた。
「30代で付き合うとなれば、結婚とか、子どもが欲しいなとか考えてしまうと思います。恋愛すると同時に、“家庭を持つ”という考えが出てくるかと。ひとりの大人として、いい恋愛をしていきたいですね」
“謙虚に人の世話になれ”
「車イス生活を送ってみて、誰かに頼ることも必要だなと思ったんです。それは普段の生活でも同じ。僕は仕事でも常に誰かに助けてもらいながら壁を乗り越えてきました。
前に樹木希林さんから“謙虚に人の世話になれ”という言葉をいただいて。もちろん自分自身も頑張ることが前提ですが、僕はきっとこれからも“申し訳ない、助けてくれ!”と周りの協力を得ながら進んでいくんだと思います」
4月16日(火)夜9時スタート ※初回20分拡大
20歳のときに事故で下半身不随となり、恋愛も好きだったバスケットボールもあきらめた建築士・鮎川樹(松坂桃李)。あるとき、高校時代の同級生・川奈つぐみ(山本美月)と再会したことで、樹の心に変化が表れる。次第に惹かれ合っていく2人だったが、さまざまな困難が待ち受けていて──。