4月7日から放送がスタートした、少女向け特撮ドラマ『ひみつ×戦士 ファントミラージュ!』(テレビ東京系)。
女子3人の“正義の怪盗”ファントミラージュが、《逆逆警察によって「イケナイヤー」にされてしまった人から、「イケない心」をちょーだいして平和を取り戻す!》(公式サイトより)というストーリー。
日曜朝のテレ東『ガールズ×戦士 シリーズ』の第3弾で、1作目よりシリーズを手がける映画監督・三池崇史が本作の総監督・監督を務める。
戦略のうまさを感じる
「実写版の魔法少女モノといった趣で、ちびっこ女子たちに絶大な人気のシリーズです。ヒロインの女の子たちが、グループアイドル的に主題歌などを歌って踊ることも人気のひとつで、過去2作のヒロインが登場するイベントは、女の子たちでギッシリでした。
未就学児の女の子にとっては、普通のアイドルグループよりもより身近で魅力的な存在です。今度の『ファントミラージュ』も、間違いなく人気になるのではないでしょうか」
と、あるテレビ誌記者は言う。
シリーズの中で活躍する歴代の少女たちは、実はEXILEと近い関係にあるという。ある芸能記者が語る。
「これまでヒロインを務めてきた女の子たちは、元EXILEのHIROが代表を務める芸能事務所、LDHが運営するスクール『EXPG STUDIO』の所属なんです。そこからの選抜メンバーなので、ダンスや歌もウリにできるのは基礎があるからなんですね」
LDHのこのような子ども向け番組への進出ぶりに、前出の芸能記者は感心しきりだ。
「LDHは義務教育にダンスが取り入れられることが決まったときに、EXILEメンバーが指導にあたるなど、次世代へのダンスの普及には積極的に取り組んできました。『ガールズ×戦士 シリーズ』に登場する女の子たちは、EXILE TRIBEの面々やE-girlsなど、いかにもダンスをやっているアーティストと違う雰囲気。少なくともドラマやグループ活動では、そのような姿を見せていません。そのあたりも、ダンスの世界や芸能界に着々と裾野を広げていく戦略のうまさを感じます」
LDHでは、ダンス&ボーカルグループばかりでなく、ドラマや映画などの演技部門の開拓にも精力的だ。
「劇団EXILEという演技専門の部門を立ち上げ、主催の公演を中心に、青柳翔や鈴木伸之、町田啓太など、ドラマや映画などで活躍する役者を次々に輩出しています。さらにはEXILEの岩田剛典や白濱亜嵐、GENERATIONSの片寄涼太など、気がつけば今の映像作品に欠かせない存在となる俳優を次々と誕生させている。LDHは歌の世界だけでなく、演技の世界でも大きな存在となっています。ちなみに、今回の『ファントミラージュ』にはEXILEの関口メンディーも出演しています」
さらに女児向けのジャンルは、これまであまり特定のプロダクションが掘り起こしていなかった分野であると思います。そのようなジャンルを開拓していく目は、本当に見事。数年後には今以上に芸能界にとって、大きな比重を占めるプロダクションになっているのではないでしょうか」
『ファントミラージュ』の先輩格にあたる、第1弾の『ミラクルちゅーんず!』から小田柚葉が、第2弾の『マジマジョピュアーズ!』から鶴屋美咲、隅谷百花、増田來亜、小川桜花が、この4月からテレ東の子ども向けバラエティー『おはスタ』のレギュラーとして、日替わりで登場することとなっている。前出のテレビ誌記者は言う。
「これまでは、スターダストやアップフロントなど、各社所属のタレントで曜日を分け合う形だったのが、事実上LDHの独占となった。メイン視聴者層である女の子たちにとっては、前作の『マジマジョ』が3月に最終回を迎えて少しさみしかったところ、なじみ深い顔ぶれにまた会えるわけですから、お互いメリットしかない状態です。そういったところにも、LDHの戦略のうまさを感じますね」
ガールズ×戦士たちの影響で、ダンスの世界に興味を持つ女の子たちがどんどん増えていきそうだ。
<取材・文/渋谷恭太郎>