「これまで蜷川(幸雄)さんや宮本亜門さんの舞台に出させていただいて。当時はこの段階からすごく緊張していたので、こんなに笑顔で取材を受けていなかったと思います(笑)」
数多くの映画やドラマで活躍する柳楽優弥(29)が、5年ぶりとなる主演舞台『CITY』に出演! しかも、今回の作品でモチーフとなるのはずっと憧れていたという“ヒーロー”ということで、
「すごくワクワクしています。ヒーローものをやってみたいと思っていたんですけど、オファーがこなくて(笑)。さらに蜷川さんのもとで育った同世代の演出家と一緒にできるというのが、楽しみでしかたがないです」
初舞台は21歳のとき。10代では“恐怖心があってなかなかトライできなかった”という舞台だが、2012年、蜷川幸雄演出『海辺のカフカ』で舞台デビュー。
「それまで蜷川さんの作品には藤原竜也さんしか出られないと本気で思っていました(笑)。でも気づけば若手を育てるみたいな雰囲気になっていて、その中で僕も拾ってもらえたことはすごくラッキーだったなと。
もちろん、当時は蜷川さんにもたくさん怒られました。回数を重ね、慣れてきたときにまた怒られるので一切、油断できないんです。でも、やると言った以上、怖いなんて言っていられない。そんな中で迎えた1日目でしたが、“華々しい初日になってよかったね”という蜷川さんの言葉に救われたのを覚えています」
その後、『金閣寺』(宮本亜門演出)、『NINAGAWA・マクベス』(蜷川幸雄演出)と重厚な作品が続き、
「そんなすごい作品が続いて、“次、何をやればいいんだろう”と。次の作品を丁寧に選びたいなと思っていたときに声をかけていただいたのが、今回の作品でした」
挑戦してみたい作品は、意外な……
演出を務めるのは、“世界のニナガワも認めた”と注目を集める気鋭の演劇作家・藤田貴大。
「今まで妻(豊田エリー)が藤田さんの作品に2回出させてもらって、それがすごく楽しそうで。共演の青柳いづみさんとは妻を通して食事をしたり、初詣も一緒に行く仲。もともと信頼関係があるところからなので、すごくいいスタートが切れていると思います」
そんな柳楽は先日29歳になったばかり。14歳のとき、是枝裕和監督の『誰も知らない』にてカンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を獲得し、華々しいデビューを飾ったが、その後の20代をどう過ごしてきたのだろう。
「がむしゃらにやってきた気がします。20代前半はなかなか仕事をもらえない時期もあり、作品の邪魔にならないように自分なりに頑張ることを目標にしてきて。その中で自分の好みを20代で見つけて、それを30代で実現できたらいいなというのが理想のビジョンだったんです。
それが今、ヒーローものだったり、ちょっとずつ自分がやりたいと思っていたもののオファーをいただけるようになってきたので、いい流れになってきたのかなと思います」
今は過去に思い描いていたものよりも、“はるかにいい仕事ができている”と実感しているそうで、
「反省点はたくさんありますけど、後悔していることは一切ないです」
と話す。最近頑張っていることは、
「ここ数年、英語を勉強中です。僕の計画だと19歳でペラペラになってる予定だったんですが(笑)。周りの独身の友達と比べると、20代は自分の時間があまりなかったのかなと。子どもも大きくなるので、英語もそうですが、これからは自分の趣味みたいなものを見つけていきたいですね」
20代最後。ちょっと早いが30代に向けての意気込みを聞いてみた。
「メジャーな作品にもっともっと出たいなと思っています。ラブストーリーにも挑戦してみたいですね。意外ですか?(笑) いろんなものにチャレンジしていって、みなさんに“面白い”と言ってもらえるように、これからも頑張っていきたいと思います」
舞台『CITY』
5月18日(土)~26日(日)彩の国さいたま芸術劇場 大ホール(http://www.saf.or.jp/arthall/stages/detail/6361)
事故で亡くなった妹(青柳いづみ)の死の真相を追う兄(柳楽優弥)。正義のためなら暴力もいとわず悪と対峙する彼は、都市の暗部に触れていくうちに、いつしか町を守る“ヒーロー”に。だが、あるとき、死んだはずの妹と瓜ふたつの女を目撃し――。井之脇海、宮沢氷魚など話題のキャストが集結!