第22回 華原朋美
歌手・華原朋美が妊娠を発表しました。夏ごろ出産予定だそうです。「おめでた」という言葉が表すとおり、新しい生命の誕生は、無条件に喜ばしいこと。こういうとき、特にファンでない人も「おめでとう」と言うものですが、華原の場合はそうでないように感じます。
妊娠を発表したものの、子どもの父親については「外資系企業勤務の一般の人」という説明だけで、結婚については触れられていません。ワケありの関係を連想させますが、『週刊文春』(文藝春秋)によれば、相手の男性は家庭持ちの可能性があるといいます。「……いろいろ大丈夫なの?」という気持ちが先に立ってしまい、手放しで「おめでとう」が言えないのではないでしょうか。
華原は昨年の夏に『FRIDAY』(講談社)にスポンサー企業の30歳年上の会長との不倫疑惑が報じられました(本人は否定)。この件を機に、彼女はSNSを閉鎖。『女性自身』(光文社)のインタビューに対し、華原は「事務所と話し合いを進めています。うまくいかない場合は引退も考えています」と答えています。交渉が決裂することはなかったようですが、ストレスからでしょうか、彼女は激太り。ディナーショーのために1か月で9キロやせたそうです。
このエピソードでもわかるとおり、精神的なヤバさが垣間見える華原は、ネット上で「メンヘラ女」と言われることがあります。「メンヘラ」とはネットスラングで、厳密な定義があるわけではなさそうです。今回は私が今まで見聞きしてきたメンヘラ女を参考に、メンヘラ女とはどういう存在かを定義してみたいと思います。
メンヘラ女とは「自分が好きすぎることが原因で、トラブルを起こしていることに無自覚な人」だと私は思います。ポイントは「人に迷惑をかけている自覚があるかどうか」であり、メンタルクリニック受診歴の有無や、服薬経験、今、現在ストレスを抱えているかは関係ないと考えています。
メンヘラ女“7つの条件”
私が考える、女性版メンヘラの7つの条件を以下に記します。
(1)なんだかんだ言って、仕事をこなせる
メンヘラ女は「病んでる」とか「うつだ」というわりに会社には行けているし、与えられた仕事もこなせます。
(2)なんだかんだ言って、すぐにオトコができる
メンヘラ女は彼氏に甘えたり寂しがったりするので、周囲は「そんなに彼のことが好きなのか」と思うことがありますが、あっさりパートナーチェンジします。相手への思いが強すぎておかしくなるというよりも、「自分がおもてなしされない」状態に我慢がならないのです。
(3)常に彼氏の愚痴を言っている
世間話の一環として、パートナーの愚痴を言うことはありますが、メンヘラ女は親しくない人にも常にマジなトーンで彼氏の愚痴を言います。「そんなにイヤなら、別れたら」とメンタル正常な人は思うでしょうが、彼について思うところがあるというよりも、単に「私、かわいそう」と言いたいだけです。
(4)SNSが大好き
メンヘラ女は「自分が好きすぎる」ゆえに注目を浴びたい、もしくは「相手の都合が考えられない」ので、いつでもどこでも発信できるSNSが大好きです。人より秀でていることはアピールせずにはいられないので急に自慢をしてみたかと思うと、自虐や病みツイートを連発したりします。メンタル正常な人は愚痴を言うにしても、愚痴用アカウントを作ったり、アカウントに鍵をかけるなどして「ヒトサマにお見せしない配慮」をします。が、メンヘラ女は自分の正当性を訴えるため、より多くの人に見られたいと願うようです。
(5)発想が被害妄想的かつ他罰的
会社で先輩に「ここを直しておいてね」と言われたとします。これは単なる仕事上のやりとりなわけですが、メンヘラ女は「怒られた」「嫌われてる」と解釈をねじまげていきます。メンヘラ女は「自分は悪くない」と思っていますから、自分を傷つけた先輩は絶対に許しません。自分を甘やかしてくれる男性に「〇〇先輩は怖い」というふうに言いつけたり、「いじめ、パワハラ」と問題を拡大させたうえで、相手から謝罪を引き出すために「親戚の弁護士に相談した」と権力をちらつかせたりもします。
(6)なんだかんだ言って、体力がある
「彼からの連絡を待っていて眠れなかった」など、メンヘラ女は被害者的な立場でものを言うことが多いものですが、寝てないわりに元気(たぶん、寝てるんだと思います)。身体を壊して倒れたりもしません。
(7)外見がいい
メンヘラ女はオトコが途切れないと書きましたが、その最大の理由は「ルックスがいい」からです。見た目のいい女性が寂しがったり、甘えてきたりするから男性は「助けてあげたい」と思うわけで、そうでない人が同じことをしてもスルーされて終わってしまうでしょう。
メンヘラ女はもろくて壊れそうな存在だと考えられているかもしれませんが、上述した条件から考えてみると、実は、もんのすごく強くて丈夫な存在と言えるでしょう。
さらにすごい点は、パラサイトできる人をきちんと見極められるところ。寄生されて怒る、依存されるのが嫌いな男性を相手には選ばないのです。「オトコを見る目がなくて、メンヘラになった」という言われ方をされることもありますが、実は彼女たちはものすごい選球眼を持っているのです。
メンヘラ女の真のすごさとは
もし周囲にメンヘラ女がいたとして、あなたがメンヘラでない自覚があるのなら、悪いこと言わないので関わらないことをおすすめします。
困っている人に手を差しのべたくなるのが人情でしょう。しかし、男性の場合、ついうっかり関係を持ってしまうと、「結婚して」「奥さんとは別れて」と後に引けない事態に陥るかもしれません。
女性の場合、諭すような気持ちでメンヘラ女に付き合ってあげると、あなたのストレスが倍増され、逆に睡眠時間が削られます(メンヘラ女は体力があるので、ダメージはありません)。SNSからあなたのパートナーを見つけだし、ちょっかいを出されて、持っていかれる可能性もあります。
メンヘラ女はもちろん悪い意味でヤバいのですが、彼女たちの真のすごさはそこではありません。うっかり関わってしまった男女のほうが、よりヤバい事態に陥ってしまうのに、メンヘラ女はケロっとしている。そこがメンヘラ女の怖さです。
話を華原に戻しましょう。彼女の場合、実家が裕福だそうですし、事務所に所属している以上、そこからもサポートが望めるのではないでしょうか。これは100%推測ですが、メンヘラパワーと芸能人ブランドに引き寄せられて、相手の男性と結婚する日も近いでしょう。
結婚というスタイルを取ろうと取るまいと、子どもの面倒を見てくれる人を常駐させることだけ気をつけて、元気な赤ちゃんを産んでほしいものです。
プロフィール
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。また、自身のブログ、ツイッターで婚活に悩む男女の相談に答えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。好きな言葉は「勝てば官軍、負ければ賊軍」。