山口達也がジャニーズ事務所からの退所を発表したのは昨年の5月6日だった。
表舞台から姿を消して1年、『女性セブン』(5月30日号)がついに彼の姿をとらえることに成功した。
同誌の写真を見る限り、現在の山口の姿は“これがあの華やかだったジャニーズアイドル?”と思ってしまうほど変わり果てていた。ただサーフィンやスポーツで鍛えたごつい身体は、Tシャツの上からもはっきりと確認でき、顔もこけ落ちたようには見えない。栄養は十分とれているようだ。激変はしているけれども激ヤセはしていていない。
同誌記事中のテレビ局関係者の、
《少しの贅沢もしてはいけないという修行僧のような生活です》
というコメントには、やや違和感を感じる。
また、山口の病状についても、同誌では詳しく書かれている。退所した後に都内近郊の療養施設に入院したのはある“持病”の治療のためとし、その持病は『双極性障害』だという。いわゆる『躁鬱病』だ。
そして、医療関係者の話として、
《彼は5年以上前から躁鬱で精神的に不安定な状態が続いており、不安を打ち消そうとアルコールを頼ってトラブルを起こすことがありました。1年前の事件も長年にわたる病気が背景にあり――》
ともある。つまり彼が起こした事件やそれまでのトラブルはすべて“持病”に起因したものだと。
これには、“ちょっと、ちょっとちょっと”とツッコミをいれたくなる人が多いのではないだろうか。
「美談」による「印象操作」
この表現では、
“アラフィフのオッサンが女子高生を自宅に呼びつけキスを迫ったのは、すべて躁鬱病のせいです”
とも読み取れてしまうではないか。
また、同誌には芸能関係者の話として、同じく女性への暴行で逮捕されたAAA浦田直也の話も引き合いに出している。
内容を要約すると、「彼の会見に比べて罪を認めて真摯(しんし)に謝罪した山口は立派かつ、被害女性も謝罪を受け止めて示談に応じているわけだから、病気が完治したら復帰を認めてもいいのではないか」といった感じ。
事件発覚前の山口はテレビのレギュラー番組が5本もあり、高額なギャラを稼いでいたという。また不動産などの多額の資産を保有していたが、同誌によると、違約金や賠償金を支払い、今は手元に蓄えはほとんどないそうだ。
そのため、事件当時は家賃100万円と言われる都心のタワーマンションに住んでいたが、今は都下の家賃7万円のワンルームマンションに住んで、そして必死にリハビリに励んでいる。その闘病生活は想像を絶するものだったと。
記事は全体として“美談”に仕上がっているが、共感した読者はどれくらいいるのだろうか。山口に対する明らかな“印象操作”をみてとれるのは私だけではないだろう。そこに同誌の忖度(そんたく)が垣間見えるのだ。
一部報道では「山口の復帰はない」と断定しているメディアもあったが、早くも復帰の道筋をつけようとしている者がいるのは間違いない。
<芸能ジャーナリスト・佐々木博之>
◎元フライデー記者。現在も週刊誌などで取材活動を続けており、テレビ・ラジオ番組などでコメンテーターとしても活躍中。