「酒に酔っていたか酔っていないかは関係ない。まして国会議員のオフィシャルな発言だから許されません。そもそも酒のせいで思ってもいないことなど言うはずがないし、気が大きくなって日ごろから思っている議論を吹っかけたのだろう。全責任を取っていただきたい」
とジャーナリストの大谷昭宏氏は憤る。
北方領土を戦争で奪還する賛否を元島民に問うた丸山穂高衆院議員(35=大阪19区選出)が議員辞職を拒んでいる。
日本維新の会を除名されても、野党6会派から議員辞職勧告決議案を提出されても反省の色はなし。同決議案についてツイッターで〈可決されようがされまいが任期を全うする〉と宣言し、そのくせ国会を休むという始末の悪さだ。
衆院沖縄北方問題特別委員会委員の丸山氏は11日、ビザなし交流訪問団に顧問として同行し国後島を訪れ、取材を受けていた元島民の団長(89)に酒に酔って絡むと、「戦争でこの島を取り返すのは賛成か反対か」「戦争しないとどうしようもなくないですか」などと、しつこく食い下がった。
団長は「戦争なんて言葉は使いたくないです」「戦争するべきではない」などと冷静に対応した。
丸山氏は帰京後、発言は不適切だったとして謝罪・撤回したが、言うまでもなく憲法9条には戦争放棄が明記されており、国会議員として憲法尊重・擁護義務違反にあたる。戦争体験者である団長に対し、よくもこんな無礼なことを聞けたものだ。
以前も「戦争」という言葉を口に
国会議事録を調べてみると、丸山氏の勇ましい発言は過去にもあった。昨年5月30日の衆院外務委員会の一般質疑で、「サイバー攻撃」に対処するため平時から準備しておく必要性を訴えている。
「今の戦争はもう完全に物理的よりもまずはサイバー攻撃からだと思います。ここを抑えられてしまったら、いちばん被害がさらに拡大する最初の点ですので、しっかりとこのへん、必要があれば法整備もお願いしたい」
と、ここでも「戦争」を口にしていた。
質問の中では、具体的に何を想定しているのか「敵国」「反撃」「有事」などと過激な言葉を並べている。
別の日にも、サイバー攻撃の防御について「反撃能力がどうかというのは非常に気になるところ」「法律的な部分、確認しておきたいのは、専守防衛等の関係性で恐らくいちゃもんがつけられる可能性が」(いずれも昨年5月11日の同委)と述べている。
丸山氏は東大経済学部卒の経産省官僚から政治家に転身。ホームページの紹介によると、剣道2段の腕前で、趣味は登山、温泉、座禅。名前の由来については、長野県・北アルプスの穂高岳(標高3190メートルの日本第3位の高峰)からもらったといい、《山は、その高さと美しさで人を魅了すると同時に、自然の厳しさを私たちに教えてくれます》と講釈を垂れている。登山は父親と共通の趣味というが、完全に名前負けだ。
前出の大谷氏は、丸山発言の背景についてこう読む。
「現政権は、憲法を改正して戦争への道を開こうとしている。そういう政権にすり寄っていきたい気持ちがあったから本音が出たのだろう。令和になって1か月もたっていない。小僧のような国会議員がとんでもないことを言ってくれたものです」
不見識な政治家はいらない。