「容疑者は、自分で首を絞めて死のうとしていた奥さんの姿を見て、早く逝かせてあげよう、楽にしてあげようと思って絞めたと話している。ただ、その状況を知っているのは容疑者本人しかいない。
捜査員が駆けつけたときは、布団の上で被害者があおむけに寝ている状態だった。首に何かが巻きついていれば一目瞭然だが、医療用カテーテルのような半透明のチューブが自宅にあった。慎重に捜査をしなければならない」(捜査関係者)
千葉県行徳署が今月6日、妻の久美さん(66)の首を絞めて殺害したとして千葉県市川市の無職の夫、堀池徹容疑者(68)を逮捕した事件。10連休中の5日午後9時すぎ、次男の110番通報によって発覚した。
母親の介護
事件現場は、東京メトロ東西線南行徳駅から徒歩約10分にある大型マンションの10階。夫婦2人で暮らしていた。
堀池家を知る男性が話す。
「(容疑者の)徹さんは魚市場関係の仕事をしていて、病気のため早期リタイアしたらしい。パーキンソン病のほか、膀胱がんの手術を2回していて薬が手放せなかった」
3年ほど前に亡くなった母親は生前、徹容疑者の体調を心配し、「自分より先に息子に逝かれたら困るんだ」と周囲に漏らしていたという。
徹容疑者はよく、船橋市内の一軒家にひとりで暮らす母親のもとに通っていたという。
近所の主婦の話。
「週に2~3回ぐらいでしょうか、ここに来て、献身的に介護なさっていました。
車いすにお母さんを乗せて散歩に出かけたり、スーパーに買い物に行く姿はよく見かけました。仲はよかったですね。ひとりっ子ですしね。
徹さんも“親父は心臓病で急に亡くなったので死に目に会えなかったから、おふくろは大事にしているんだ”って言ってました。お父さんが亡くなったのは、10年以上前。
子どもを連れて一緒に介護に来ることもありました。ただ、奥さまには1度もお会いしたことがないんです」
前出の堀池家を知る男性も、
「亡くなったお母さんは、“徹の嫁は実家に1回も遊びに来ない”って言ってました。ちょっと折り合いが悪いような感じだったね」
と証言する。さらに、こんな話を付け加える。
「徹さんの奥さんが家計を管理しているらしく、お小遣いを全然くれない。お母さんがご存命のころは、よく小遣いをもらいに行っていたという話です。病気で早く仕事を辞めて無駄遣いもできないんでしょうけど、お父さんが税理士で資産家だったので、お金には不自由しなかったみたいですね」
年の半分は別荘で
そんな徹容疑者が、ひとりでよく足を運んでいた場所がある。千葉県鴨川市─。
再び、前出の知人男性が話す。
「徹さんの両親が鴨川の海の近くに別荘を持っていて、そこで徹さんが年の半分を過ごしているという話も聞きました。徹さんはボウリングが好きだったんですが、そこにはボウリング仲間がいて、大会にも出ているって話でした」
鴨川のボウリング場の従業員も、「最近は見ていませんでしたが……」と、徹容疑者のことを覚えていた。
徹容疑者は68歳、殺された久美さんは66歳。2人とも無職だったが、
「家族間にトラブルはないと聞いている。収入源までは把握していないが、お金が関係しているという話もない」
と前出・捜査関係者。
供述によれば、久美さんは自殺しようとしていたことになり、徹容疑者はそれを制止しなかった……。「本人の供述は変わらない」(前出・同)というが、全真相を知るのは徹容疑者以外にいない。