「アフレコの現場は、ナレーションやゲームのようにひとりで向き合える場合と、アニメのように大人数で収録をする場合とがあって、メリハリがあるのが楽しいですね」
そう話すのは、落ち着きのある低音ボイスと端整なルックスで若い女性を中心に人気を集めている梅原裕一郎さんだ。
“生の息遣い”を届けられる
「もともとひとりの時間が好きなんです。でも、ずっとは寂しい(笑)。ひとりの時間があるからこそ、大勢で作る楽しさを感じるし、逆もそうです。声優ならではの仕事のスタイルが、僕の性格に合っているな、と思います」
アフレコはもちろんのこと、梅原さんが「声の表現だからこその楽しさを感じます」というのが、朗読劇だ。
「録音して編集をして……という映像作品と違い、朗読劇は最初から最後まで“生の息遣い”を届けられるので、普段のアフレコとはまた違った緊張感があって楽しいですね。
映像がないぶん、“声”だけでどこまでお客さんの想像力を刺激できるか、表現を工夫するのが難しくもあり、おもしろくもあります」
リテイクがきかない“生の舞台”が楽しいと語る。そんな梅原さんが今後、挑戦してみたい分野が、同じく撮り直しのできないニュースのナレーションだという。
「ニュースのナレーションって、収録の直前に原稿をもらったり、ときには本番一発勝負だったりということもあるので、相当のスキルと瞬発力が必要なんです。自分はまだまだ精進しないといけませんが、とても憧れるお仕事のひとつなので、いずれ挑戦したいと思っています」
甘いマスクの下から、仕事への真摯さと、声で表現をすることの楽しさが伝わる。また、静かな語り口ながらときどきはさむジョークからは、梅原さんの少年心が感じられた。
「確かに、自分のことを『小学生みたいだな』と思うときがあります(笑)」
梅原さんがまさに少年のように声を弾ませながら「初めての海外でしたがとても楽しい撮影でした」と思い出を語ってくれた写真集は、出演されているアニメや映画とあわせて必見!
Q&A
Q.声優になったきっかけは?
A.『ロード・オブ・ザ・リング』でアラゴルン役の大塚芳忠さんに惹かれたのがきっかけです。
Q.休日の過ごし方は?
A.家でのんびり過ごすことが多いです。たまに4時間くらいかけてすごく凝った料理を作ることもあります。
Q.座右の銘は?
A.「諸行無常」
Q.子どものころの夢は?
A.明確にはありませんでしたが、漠然と、「人と違う職業に就きたい」と思っていました。
Q.マイブームは?
Aラジオのディレクターさんからスピーカーを譲り受け、レコード鑑賞にハマってます。
(取材・文/清談社)