変わり者の天才科学者が現代社会に起きる難事件に立ち向かうヒューマンサイエンスミステリーが好評だ。
原作者も太鼓判を押す3人のキャラ
原作は朱戸アオの同名漫画。主人公の紐倉役は山下智久が演じる。友情のために右手を失いロボットハンドの紐倉の専門は、寄生虫学。人嫌いで“天才に不可能はない”と自信満々。無愛想なのにトリパノソーマなどの寄生虫を顕微鏡で眺めたときは微笑み、“セクシーだ”とつぶやく“変態”ぶりを発揮している。
「実際に寄生虫学者の方は寄生虫を見て“カッコいい”“セクシー”というそうです。
山下さんはクールな役が多いですが、今回は寄生虫など自分の興味があるものには好奇心があり、変態ともいえる行動をする変人ぶりが、原作のキャラクターにプラスされています」
と、浅野敦也プロデューサー。
山下だけでなく、紐倉とともに事件の真相解明に取り組む、お人よしで熱血漢の助手・高家役の濱田岳、クールな美人官僚・牧野役の菜々緒も同様だそう。
「濱田さんには、いい人だけでなく正義のために動く人を、悪女役が印象的な菜々緒さんには熱血漢といった、山下さん含めて3人とも新たなイメージに挑戦をしていただいています」(浅野P、以下同)
撮影現場を激励に訪れた原作者の朱戸さんも、劇中の3人のキャラクターや掛け合いを楽しんでいるそう。
「朱戸先生には何度もお目にかかり、さまざまに協力していただいています。
本作はミステリー要素がありながらも犯人捜しよりむしろ、事件によって苦しんだり困ったりしている人を紐倉が独特の考え方、違った世界観に誘うことで救っていく新たなヒーロー像になっています。
慰めや励まし、やさしい言葉ではない、研究者らしい紐倉の言葉が心に響くような物語にこだわっています。加えて、科学や医療の情報も今までにないものを盛り込むことに注力しました」
毎回、物語のクライマックスで紐倉が、“誰も無力じゃない”“感情の奴隷になるな”“未来は僕たちの手のなかにある”など、彼にしか言えない言葉で迷える人々を救っていくセリフも印象的だ。
こだわりの義手とゆるキャラ寄生虫
まるでジャングルのような紐倉研究所を見ているだけでも楽しいが、彼のロボットハンドにも注目。
「実際に腕を失った方に取材をして、幻肢痛などについて伺いました。
その後、山下さんが使う義手は半年くらいかけて、何度もフィッティングしてもらい2種類制作したので、撮影ぎりぎりで間に合った感じです」
紐倉の愛する寄生虫がコミカルなイラストになっているのもポイント。
「実は山下さんと濱田さんは虫が苦手。そういう方にも不快感なく、ご覧いただけるようにしたいと思ってイラストにしました。ただ、想像していた以上の“ゆるキャラ”になっていますが(笑)」
“虫嫌い”の山下と濱田に対して、菜々緒は劇中で“ヘビ女”と称されて、ヘビを首に巻くのにも抵抗がない爬虫類好き。そんな3人がそろった現場は、共演経験があり仲のいい山下と濱田のおしゃべりを、菜々緒が微笑みながら見ているのがいつもの光景だそう。
3人のコミカルなやりとりも見どころだが、今後の展開は?
「紐倉の元上司の福山(時任三郎)の動きに注目してください。彼は、5年前に紐倉が右手を失うきっかけとなった病原菌を秘密裏に持ち帰っています。
終盤に向けては高家の今後が描かれます。医師だった彼は、このまま紐倉の助手であり続けるのか?
朱戸先生にもいろいろなアイデアをいただき、今作らしい結末にしたいと思います」
紐倉研究所の“名優”
巨大温室型の紐倉の自宅兼研究所の愛犬“サモン”は、現場の“癒し犬”だけじゃない。
「サモンは“スタート”で演技をして“カット”の声がかかると素に戻り、“いちばんのプロ(役者)”と言われています(笑)」(浅野P)。
ときどき紐倉の肩にのっているカラフルな鳥の“アカベエ”は、オウムではなくコンゴウインコという。
「まだ2、3歳。寿命が70年近いそうで、撮影現場にいる誰よりも長生きだと笑って盛り上がりました」(同)