「さみしいときはかまってくれたり、たわいもない自分の話を聞いてくれて優しい女性だった」
ガールズバーの客だった女性は、いつも優しくしてくれた“推し店長”の逮捕に動揺を隠せなかったという。
「ずっと一緒にいたい」
事件は5月23日午後3時50分ごろ発生。東京・東新宿のマンションの自室で交際男性の腹部を殺意を持って複数回刺したとして、警視庁新宿署はこの部屋に住む高岡由佳容疑者(21)を殺人未遂容疑で現行犯逮捕した。
「男を刺した、と110番通報があり、捜査員が駆けつけるとマンション1階のエントランスで男性が裸で倒れていて、その横に容疑者が座り込んでいたそうです。現場を目撃した女性がこのとき撮影したとする写真をネットにアップしたことで事件はあっという間に有名になりました」(民放テレビ局記者)
また、移送される際に容疑者が笑顔を見せたことも“サイコパス”“狂気”などと話題を呼んだ。
捜査関係者によると、2人が出会ったのは昨年の10月。容疑者が店長を務めていた歌舞伎町のガールズバー『ときめきBinBim』に被害男性が客として来店したことから男女の関係が始まったという。
「ガールズバーは昨年の10月に高岡容疑者を店長にしてリニューアルオープンしたので、被害男性はオープン当初からの客ですね。
被害者の男性は高岡容疑者が勤める店から徒歩3分の距離にあるホストクラブに勤めるライトくん(仮名・20代)。お互いに店に通い合ううち仲を深めていったようです。
“ずっと一緒にいたい”と、今年4月から同棲を開始。同月中に高岡は店を辞めていて、ライトくんは初のナンバー3になっています。高岡はライトくんに相当お金をつぎ込んでいたともいわれています。高岡はスポンサーがいたのではないかとウワサされていて、店長を辞めたことでそのスポンサーとも離れ、ライトくんだけに身を捧げていたのかもしれません」(事情を知る関係者)
開店早々に客と恋に落ちる恋愛体質。結局、店長としての職務はわずか半年だったということになる。
一緒にいるために殺す
同棲して1か月もたたないうちに起きた事件。2人に何があったのだろうか。捜査関係者によると、
「“最近、彼が冷たい”と気に病んでいたようです。当日も被害者の帰りを部屋でひとり待っていたが男性がなかなか帰ってこなかった。男性が置き忘れたケータイを盗み見たら知らない女性とのツーショットがあったそうです。でも帰宅した被害者を責めたりはせずに、“複雑な気持ちで一緒にカーテンをつけた”と供述しています。そして被害者が寝入ったところで刃物を突き刺した。驚いた被害者はそのまま1階のエントランスまで逃げて……」
衝撃の写真はこのときに撮られたものだという。
「高岡容疑者は動機について“悲しくて死にたくなり、どうしたら好きでいてくれるか考えた。一緒にいるためには殺すしかないと思ったので犯行に及んだ。死んでくれたらずっと一緒にいようという言葉が現実になると思った”などと供述しています」(捜査関係者)
供述に関しても大げさで、ひとりよがりな印象を受けるが、冒頭の女性客は高岡容疑者について、
「ゆのピー(高岡容疑者の源氏名)は、歌舞伎町では貴重な純情な娘だっていう印象ですよ。
勤めていたお店はワイワイ系のノリなんだけど、1対1で話せる珍しい若い娘。ウェーイ! みたいなノリが苦手な私にはその存在がありがたかったです。このへんの若い娘は大勢でワイワイっていう感じの娘ばかりだから。
ホストの彼氏のことも信じすぎちゃったのかもしれないなって思う。プライベートの彼女のことは知らないけど、恋愛の話になったときに“一途なんです”って話していました」
死んでいくさまを見ていたい
一方で、そのノリが重苦しいと感じて離れた客も。
「私はただ騒げればいいのに。(高岡容疑者とは)合わないから行かなくなった」
自殺や心中事件などに詳しいジャーナリストの渋井哲也さんは、
「相手も殺して自分も死ぬつもりだった、という供述が真実であれば、恋愛トラブルによる無理心中未遂とみることもできる。しかし、死のうとはせず自ら110番通報している。浮気を疑いながら問いただすことができず、そのストレスも怒りを増幅させたのだろう。
被害男性のことを好きすぎたと言っていることから考えると、殺すことによって手に入れようとしたのかもしれない」
続けて、
「支配欲が暴走し、相手の生死を握ろうとするケースは珍しくない。行政の情報管理が問題となった逗子市ストーカー殺人や、リベンジポルノが社会問題化した三鷹市ストーカー殺人などの犯人にもそうした支配欲が見え隠れしていました」
男性は一時、意識不明の重体になったものの、現在は一命をとりとめ治療しているという。
容疑者は自ら110番通報はしたが119番通報をしなかった理由として、
「死んでいくさまを見ていたかった」「好きで好きでしかたなかった」とも供述しているという。
ゆがんだ愛情を真実の愛と勘違いし、被害者に押しつけたのか。
身勝手な犯行はこれからどう裁かれるのだろう。