共演の草刈正雄と高畑(『なつぞら』公式ツイッターより)

 人気ドラマに出演し、主演舞台で全国を巡る日々。仕事は順風満帆の女優・高畑淳子も、私生活では介護問題に直面している。もうすぐ90歳になる母親をめぐって、長男と意見が食い違っているという。

賢くて、元気で、いちばんブレないお母さんが、やっぱり変わるんだなっていうのは、ツライですよね

 '17年に放送された『徹子の部屋』(テレビ朝日系)で、年老いた母親を思って涙ながらに語っていた高畑。

「平均視聴率20%以上をキープし、絶好調のNHK朝ドラ『なつぞら』に出演しています。高畑さんが演じるのは、帯広にある和菓子店の店主のおしゃべりな母親役なのですが、とても評判がいいんです」(テレビ誌ライター)

 その圧倒的な存在感が話題を呼んでいて、

「常にテンションが高くて、毒舌を浴びせまくる演技はまさに高畑節の真骨頂といえます」(同・テレビ誌ライター)

 主演舞台で全国を飛び回るなど、女優業は順風満帆そのもの。そんな高畑が唯一、気がかりなのは、もうすぐ90歳になる母親のことだ。それは'16年に高畑の長男が強姦致傷容疑で逮捕(のちに不起訴)されたのがきっかけだった。

「そのときは、長男の将来を心配する高畑さんをお母さんが“大丈夫!”と励ましていたのですが……」(芸能プロ関係者)

 高畑の心労に追い打ちをかけるように、母親の身体に異変が起きてしまう。

高畑さんは長男のことや仕事のことでいっぱいいっぱいだったんです。そんな中、お母さんに軽度の認知症のような症状が出始めたそうです。

 何度も同じことを確認したりするなどで、日常生活は問題なく送れる程度だったのですが、高畑さんには介護をする余裕がなかったんでしょうね」(同・芸能プロ関係者)

 冒頭の番組で、高畑は母親を泣く泣く老人ホームに預けたことを告白。1度は施設から引き取ろうとしたこともあったようだが、

母親が自宅の中で迷子に

「お母さんが自宅の中で迷っちゃったみたいです。夜中に寝室を出たら、部屋に戻れなくなってしまった。そんな母の姿に、高畑さんはかなりショックを受けたようで……」(事務所関係者)

 母親を再び施設に預けるという決断をせざるをえなかった高畑。だが、長男はこの結論に100%同意しているわけではないという。

高畑さんが介護できないなら、僕が面倒を見たいと言っています。老人ホームだと毎日は会えないので、できれば自宅で一緒に暮らしたいようで……。それで高畑さんと意見が対立してしまっているんです」(同・事務所関係者)

 俳優活動を無期限謹慎中の長男は、最近、都内の介護施設で働きだした。いわゆる“デイケア”と呼ばれるもので、時給1000円のアルバイトだという。

「半年くらい前から働いているんですが、“僕のおばあちゃんも施設に入っているから、介護の体験をしてみたくて”と言っていました」(デイケア施設関係者)

前橋署から姿を現した高畑裕太は待ち構えていた報道陣を前に30秒間、深々と頭を下げ続けた

 長男は、施設での評判はすこぶるいいようで、

「謹慎中に運転免許を取得して、車で通勤しながら高齢者の送迎も手伝ってくれています。背が大きいから目立つし、元気いっぱいなので、見ていて気持ちのいい人ですよね」(同・デイケア施設関係者)

 将来的には、祖母を看るための介護の資格を取得するつもりだという長男。祖母への深い愛情には、こんな理由が……。

高畑さんはシングルマザーで地方公演などがあり、子育てに手が回らなかったようです。だから、高畑さんのお母さんが子どもたちの面倒をほとんど見ていたようです」(前出・事務所関係者)

 長男にとって、母親のような存在だった祖母。さらに老人ホームでは、こんなことが起きていた。

「おばあちゃんは長男の事件のことで、老人ホームで後ろ指をさされるようなこともあったとか。彼はそのことにすごく責任を感じているようです。だから時間があれば、おばあちゃんに会いに来ていますよ」(介護施設関係者)

 祖母も彼をとても歓迎しているという。

おばあちゃんはご家族が来ると、うれしそうにしていますね。たまに孫のことを自分の息子と間違えるときもあって、“自慢の息子です”と言ったりしてます」(同・介護施設関係者)

介護の意見が食い違う場合、どうすべき?

 “家族間で介護の意見が食い違うことは珍しくない”と話すのは、介護ジャーナリストでオールアバウトガイドの小山朝子さん。

おそらく長男は母親のように自分を育ててくれた祖母に対する愛情があって、慕っているのでしょう。ですが、今は“人生100年時代”。90歳近い祖母の介護がいつまで続くかわかりません

 また、高畑は長男が実際に自宅での介護を始めても、途中で“できない”となってしまったケースも考えているのでは、と小山さん。

「そうすると、高畑さん自身が介護を担うことにもなりかねません。そこに対する不安、懸念があるのではないでしょうか。結局、また施設に戻すことになると、認知症である祖母に影響を与えかねない。

 一般的には、認知症の患者は生活する場所をあまり変えないほうがいいと言われています。高畑さんはそういう影響も考えて、自宅での介護を反対されているのかもしれません」(小山さん、以下同)

 まだ25歳である長男の将来も心配だという。

長男自身は、自分はこれからどうやって生きていくのかなど、将来のことも大事でしょう。祖母のことだけでなく、自分のライフプランもあわせて考えていかないと、自身も周囲も不幸な結果になってしまいかねません

 20代から約10年間、祖母の介護をしていたという経験を持つ小山さん。

祖母を大切に思う気持ちもよくわかりますが、一時的な感情だけで考えるのではなく、母親である高畑さんとよく相談して決めてほしいと思いますね。私の場合は自宅での介護に慣れるまでに2年間ぐらいは仕事を辞めていました。それぐらいの覚悟が必要なのではないでしょうか

 高畑家は今年、こんなお正月を迎えていた。

おばあちゃんが老人ホームで行われるレクリエーションについていけないようで、“私はやりたくない”と言っていたんです。だから、お正月は高畑さん、長男、長女、そしておばあちゃんの4人でマージャンをしていたそうですよ」(前出・介護施設関係者)

 家族を思えばこそのすれ違いもある。しかし、深い絆でつながった高畑家であれば、介護問題も“なつぞら”のように明るく解決する日も近いのかも。