お笑いコンビ「南海キャンディーズ」の山ちゃんこと山里亮太(42)と女優の蒼井優(33)の、誰もが度肝を抜く、羨望と嫉妬が渦巻く結婚。一部スポーツ紙に報じられた日の夜、最近の芸能界では珍しい、ツーショット報告会見を行った。
その様子は大々的に報じられ、山ちゃんの好感度の急上昇につながっている(結婚指輪がなかったことは、ジュエリー業界を複雑な心境にしているだろうが)。
機転のきくお笑い芸人として、どんな質問にもユーモアを交え受け答えしたが、その対応から見えたのは策士・山里のうまさであり、フェイクニュースはこうして作られるのかという驚きだった。
「山里、カッコいいなぁ」と誰もが思った瞬間
当日の山里の発言をひも解く。
《やっぱり心配されますよね。みなさんからさっきから出ている単語もあるじゃないですか。そういうのでみんな心配するんですけど、一切、心配してないです。それはたぶんみなさんの目の前にいる蒼井さんと、違う蒼井さんを僕は見せていただいていると思うので、本当に純粋で、楽しいときには笑って、泣きたいときはすごい泣くっていうみんなが思い描くのってちょっと違うでしょう。魔性って単語を使っているけど、僕はそんな人間じゃないっていうのを一緒にいてずっと見ていたので、みなさんが思う魔性から発生する心配っていうのは一切ございません》
山里の発言に蒼井が涙ぐむ感動の場面もあり、ワイドショーでも何度も放送されたのだが……。
山里は「みなさんからさっきから出ている単語」「魔性っていう単語を使っているけど」と指摘した。
このやりとりを受けてメディアは、
『山里亮太が結婚会見で見せた男気“魔性の女”否定に絶賛の声』(女性自身)
『【神対応】蒼井優さんが「魔性の女」と言われている件を記者が持ち出すと〜』(9ポスト)
『蒼井優、山里亮太の言葉に涙目”魔性の女”の声に「そんな人間じゃない』(モデルプレス)
『蒼井優、結婚会見で株上げた!山ちゃんも“魔性”質問に反論、イメージ一変』(夕刊フジ)
『山里亮太さん、質問の切り返しがカッコいい。「(蒼井優さんは)『魔性って』、そんな人間じゃない」』(HUFFPOST)
などと報じた。蒼井優を魔性の女と指摘した取材陣の質問に山里が全面的に立ち向かったんだ、カッコいいなぁ、というニュースの構図だ。
自ら2回も発した「魔性」ワード
前述のように山里は「みなさんからさっきから出ている単語」=魔性、と指摘したが、実は芸能レポーターから「魔性」という言葉は一切、出ていないのである。
山里の魔性発言の前、芸能レポーターとのやりとりはーー
質問「蒼井優さんは芸能界イチのモテ女優とずっと言われていて、もちろんファンの方もそうなんですが、芸能界の男性でも俳優さん、ものすごくファンの方が多いとうかがっているんですけど、その女優さんをひとり占めにしちゃったわけですよね」
山里「はい」
質問「なにかファンの人たちに、芸能界の人たちにもフェイクニュースじゃないかと、今日、もう大騒ぎだったんですけど、何かメッセージはありますか?」
それを山里は勝手に解釈し、自ら「魔性」と言う言葉を2回、持ち出したのである。
会見の模様は、YouTubeでノーカットで見られる。あらためて確認しても、「魔性」という言葉が使われたのは2回だけ、山里から発せられたものだけだった。
前述の山里の発言から見えることは、山里本人が「蒼井優は魔性の女」と、かつてメディアで報じられていたことを認識していたということ。
そのことを、芸能レポーターの質問にかこつけて、パブリックイメージとプライベートイメージは違うんですよ、と訴え、魔性の女=蒼井優というパブリックイメージを払拭することにつなげた。
会見の質問を正確に把握することなく、いくつかのメディアは、芸能レポーターによる“魔性質問”があったという体(てい)で報じた。
山里の賢さが際立つやりとりだった。その結果、意図的かどうかはわからないが、まんまと自身に好都合なフェイクニュースを作り出すことに成功したのである。
山里が一枚上手だった。
<取材・文/薮入うらら>