田中圭と中村倫也

 世の中を騒がせた事件やスキャンダル、はたまたちょっと気になることまで、各分野のエキスパート“セキララアナリスト”たちが分析(アナリティクス)! ニュースの裏側にある『心理』と『真理』を、解き明かしてご覧にいれます。

田中圭と中村倫也、
2人の共通項は「イケメンすぎない」

 ここ最近ちょくちょく目にするようになったイケメンといえば、大人気ドラマ『あなたの番です』に出演中の田中圭と、7月クールの新ドラマ『凪のお暇』に出演する中村倫也。どちらも、正直いわゆる“正統派イケメン”ではなく、ひと昔前だったらおそらく主演を務めるタイプではなかったはず。

 それがいまや、ドラマに映画と引っぱりだこ状態。はたして、世間が彼らを求める理由とは? を、イケメン評論家・沖直実さんに聞いた。

2人とも、子犬系ベビーフェイスのイケメン。童顔でかわいらしくて、言い方はヘンですけど、いい意味で“イケメンすぎない”ところがいいんです。あまりに顔が美しすぎると、まず演技より顔に目がいってしまって役が入ってこない。彼らの場合は、演じる役がスッと入ってくるし役のバックボーンが見えてきます」(以下カッコ内は沖さん)

 親近感を持たれるには、“イケメンすぎない”ことが重要というわけ。

「やっぱり塩顔は人気があるんですよね。近くの会社のビルとか、隣の車両にいそうな雰囲気だから、“もしかしたら私も近づけるんじゃないか”と勝手に妄想できるわけです。そして、2人とも芸歴が長くて演技もうまい」

 田中圭は2000年デビュー、中村倫也は2005年にデビューしている。

「プロデューサーや監督は“彼ならどんな役でもやらせられる”と、いろんな役を与えてきました。なので、ブレイクしてから“あの役は彼だったんだ!”と振り返って気づける。これまでの過程があって、その苦労が今ようやく報われたんです」

 さらに共通項を挙げれば、魅力が演技にとどまらないこと。田中圭は『ぐるナイ』にレギュラー出演し、中村倫也が『志村どうぶつ園』で見せる動物好きの素顔は女心をくすぐる。

「バラエティー対応もすごくよくて、男性からのウケもいい。つまり人間力があって魅力の宝庫なんですよ。30代でブレイクした人は、この先も長いんです。早くにイケメンとしてブレイクした人は、30歳前に壁にぶつかることが多いですが、彼らは40〜50代も楽しみですよね

この先ブレイクしそうな“カシミア系”とは?

 とはいえ正統派イケメンがすたれているわけではなく、現在はイケメンが細分化され、いろんな路線があるのだとか。では、どうして今、彼らが支持されているのだろうか?

「理由のひとつとして考えられるのがSNS。いろいろな人が簡単につながるようになったからこそ、大事になるのは親近感です。私もですが、女性はなぜか好きな芸能人と結婚やお付き合いとか、いろいろ妄想します。現実感のある彼らはそこが強いんです。ほかにも長谷川博己さんや坂口健太郎さんとか。この先、清原翔くんもくると思います

 ただ、実は彼らもイケメンの区分けをすれば“王子様系”に属するのだとか。これは過去の流行からの反動という見方もできるそう。

「2000年代からは、戦隊ヒーローや仮面ライダ-など、親子2世代を狙ったイケメンがたくさん出てきました。2010年代からは、2.5次元の舞台のように会いに行けるイケメンが出てきた。2010年代からは経済不安や災害が重なり、頼りがいのある男性に守ってほしいというように、佐川男子とかラグビーの五郎丸歩選手などの男らしいイケメンが出てきたんです。そういう時期を経て、今は”国宝級塩顔イケメン”の羽生結弦くんのような、マンガから出てくるような王子様系に戻ってきている気がします」

 ではこの先、注目が集まるのはどんなイケメン?

癒し系だと思います。なかでも毛布より癒される“カシミア系”のイケメンです。なぜなら、女性は疲れているから。NHKの朝ドラ『ゲゲゲの女房』の向井理さんからイケメン枠を作ったのがその証拠で、今の『なつぞら』では吉沢亮くんを含め5人くらいいますよね。仕事をしている女性はもちろん、主婦は無条件に忙しい。ホッとする要素をドラマのイケメンに求めたりもします。イケメンは、もはやエステでもありサプリメント。そういう立ち位置になってきたんだと思います」

 妄想の対象であり、癒しのパワースポット。この先、どんなイケメンが現れて、ハートをわしづかみにしてくれるのか、期待して待ちたいところだ。


<今回のセキララアナリスト>

沖直美さん (c)萩庭桂太 

沖直実さん
各局の朝のワイド番組や情報番組に出演するイケメン評論家。ラジオバ-ソナリティ-や司会もこなすほか、イケメンユニットのプロデュース、雑誌の記事執筆などで活躍。2004年から「いい男祭り」を主催し、企画、構成、司会を担当する。
(沖直美ブログ)https://ameblo.jp/okinaookinao/

 

 

<文/雛菊あんじ>