『三千院』には多くの参拝者が訪れていた

「最初に聞いたときは頭が真っ白になって、まさか、まさか息子が……と。被害者の方には、謝りたいです」

 そう力なく話すのは、酔って女性の胸を後ろからわしづかみにした色欲僧の父親だ。

 京都府警は6月20日、京都市左京区の僧侶・齊藤孝道容疑者(33)を強制わいせつの疑いで現行犯逮捕した。

 逮捕容疑は20日午前0時35分ごろ京都市・祇園町の路上で飲食店従業員の女性(42)の両胸を後ろから数回もんだあと、前に回って女性の胸元に手を入れようとしたもの。

「殴ってやりたい。残念ですよ」

 逮捕時の状況について、捜査関係者が説明する。

「大阪での飲み会後、京都に戻ってひとりでいるときに犯行に及んだ。被害女性が叫ぶと、すぐに逃走。目撃者の男性が追いかけたところ、観念して逃げるのをやめたようです。目撃者から110番通報を受け、駆けつけた警察官が逮捕した。泥酔状態ではなく、受け答えはできていた。容疑については“間違いない”と認めている」

 齊藤容疑者が住む同市左京区大原地区は、天台宗『京都大原三千院』をはじめ歴史ある神社仏閣が多数あり、京都でも有名な観光地のひとつ。齊藤容疑者は、その『三千院』で僧侶として働いていた。

 地域では「好青年」「背が高く、男前」などと評判がよかった。60代男性は、

「みんなで集まってスポーツをやったりと、地域を盛り上げるために頑張っていました。大原は、三千院でもっているようなもの。保全地区で規制が厳しく、新しい建物を建てるのも難しい。子どもたちは外に出ていき、残る人がいない。そんな大原を支えてくれると期待していたんやけどな」

 と肩を落とす。60代女性は、

「私は社会福祉協議会で活動をしているんだけど、孝道君が“何かできることないかな”と声をかけてくれてね。一生懸命に地域のことに取り組んでくれていた。だからこそ母親のような気持ちで“アホ、しっかりせないかん”と殴ってやりたい。残念ですよ」

僧侶としてあるまじき行為

 そんな齊藤容疑者には困った一面も。知人男性は、

「酒に飲まれるタイプだった。酒絡みで出入り禁止になった場所もあるようです。お父さんも法要に酒を飲んでベロベロで来ることがあった。酒癖の悪さは遺伝かもしれん」

犯行が行われた祇園町南側周辺の路地は、薄暗い場所も多くて……

 また、こんな厳しい言葉も聞こえてくるという。

「年配の方は“ええ子やったのに”と言うが、その後には“そんな人からお経聞かれへん。ありがたみがなくなってしまう”と話していました」

 刑事処分を待つ身だが、僧侶としての処分はどうなるのか。天台宗を統括する天台宗務庁は、

「天台宗の僧侶としてあるまじき行為をしたことは大変遺憾だ。処分は、教師資格を持つ者から申し立てがなければ、こちらとしては判断できない」

 三千院総務部は、

「確かに三千院で働いていたが、本来的には別の寺院の住職なのです。住職という天台宗から認められた高い位を持つ者が、大変なことをしてしまったと思っている。処分は現在、検討している段階だ」

 前出の父親は、6月22日に釈放された齊藤容疑者が、

「涙を流しながら“本当に申し訳ない”と謝っています」

 と反省する様子を明かす。

 斉藤容疑者の母親は、

「お酒については本人も、もう飲まないと言ってます。これ以上は堪忍してください」

 煩悩にまみれて女性を傷つけ周囲の期待を裏切った罪は重い。修行しなおしだ。