「お別れに、ジャニーさんのおでこにチューをしました。初めて社長のおでこにチューしましたね。チュッてしたとき、思いのほか大きな音が鳴ってしまいました(笑)」
ジャニー喜多川さんの訃報から一夜明けた7月10日。
動揺静まらぬ中、私は堂本剛さんのソロライブ『ENDRECHERI TSUYOSHI DOMOTO』が開催される神奈川県民ホールにいた。ファンとしては、“いつもどおり公演を楽しむこと”が最大の供養になると思っての参戦である。会場に駆けつけたファンの誰もが、同じ思いを抱いていたことと思う。
オープニング、“いつもどおり”素敵なFUNKを披露してくれた堂本剛さんは、MCに入るとこう切り出した。
「ちゃーす! ようこそ、僕のリビングへ! とうとうジャニーが天に行っちゃったね。僕の愛獣、いつも僕が乗っている龍を貸してあげたので、今ごろいろんなところに行ってると思います」
これをきっかけに、剛さんはジャニーさんとの温かなエピソードを語ってくれた。
冒頭の“おでこにチュー”は、ジャニーさんにお別れした際のひとコマだという。(以降、ライブ中に聞き取った剛さんの言葉を書き留めていくが、終演後に思い出しながら綴ったものなので、実際に語られた文言とは異なる。ただ、大意には沿っているので、ご承知おきのうえお読みいただきたい)。
「亡くなった日」についての見解
剛さんは、ファンが気にかけているであろう、“7月9日”の過ごし方も聞かせてくれた。
「(ジャニーさんにお別れしたあと)たぶん、普通の日常を送ってくれと思っていると思うから、帰ってお風呂に入って、明日ライブだから寝なきゃと思って寝たんですが、なかなか眠れなくて。しかたなく起きてバラードを作り始めたら、ここらへんに(右肩から胸のあたりを指さして)何か来たような感じがした。あ、ジャニーさんかな? と。
そう思って“ジャニーさん、一緒に曲を作ろう”と続けたら、いつもは弾かない音階を弾いたりしていて。そうやって作った曲に、適当に歌詞をつけて、ボイスレコーダーに入れて……。これを仕上げて、もしうまくことが運んだらジャニーズみんなで歌いたい。で、“いやーちょっと”って言われたら、(堂本光一さんと)2人で歌いたい。それも“いやー、ちょっと”って言われたら、ひとりで歌います(笑)」
さらに、ジャニーさんが“7月9日”に亡くなった意味についても、剛さんらしい見解を示してくれた。
「7月9日、“7”(な)“9”(ぐ)。“なぐ”、“凪ぐ”というのは、“争いなく平穏な”、という意味が込められた言葉。このメッセージが込められた日に亡くなられたのは、ジャニーさんのクリエーションなのではないか」
自分が天にのぼる日さえ彼らしく選んでみせたのでは、という解釈にファンもうなずいた。
「ジャニーさんは、自分のことで時間をさかれるのが大嫌いな人。今だって、僕の話はいいから、ライブの話をしなよ! って思ってるかもしれない。あ! ひとつだけジャニーさんに謝らなきゃいけないことがありました。それは、僕がやりすぎてジャニーさんのモノマネを全国区にしちゃったこと! 今では一般の方も“YOU! ○○でしょ!?”とか言ってる。あんなに流行るとは思わなかった(笑)」
自分が初めてジャニーさんのモノマネをテレビで披露したことを振り返り、終始なごやかに思い出を話してくれた剛さん。
最後は、“ジャニーさんの口ぐせを入れ込んで即興で作った”という曲『スーパーミラクル・ジャニー』を華麗に歌い上げてくれた。
「ジャニーさんは、(ファンのみなさんに)全身全霊、一点の曇りもなく感謝していると思います。(彼は天にのぼってしまったので)僕が変わってご挨拶します。どうもありがとうございます」
剛さんも、会場のファンも、微笑んで称(たた)え合うような、温(ぬく)もりあふれるひとときだった。歌い楽しむ供養とは、こういうこと。“凪ぐ”に込められたジャニーさんのメッセージをかみしめつつ、堂本剛さんはじめ、ジャニーズのさらなる幸せを祈りたい。
<プロフィール>
みきーる/ジャニヲタ・エバンジェリスト。ライター・編集者。
グループを問わずジャニーズアイドルを応援する事務所担。応援歴は25年超、3日に1度は現場参戦。著書に、『ジャニヲタあるある』(青春出版社)、『ジャニ活を100倍楽しむ本!』(青春出版社)など。
◆Twitter @mikiru
◆オフィシャルブログ 『ジャニヲタ刑事!』