世の中を騒がせた事件やスキャンダル、はたまたちょっと気になることまで、各分野のエキスパート“セキララアナリスト”たちが分析(アナリティクス)! ニュースの裏側にある『心理』と『真理』を、解き明かしてご覧にいれます。
深い愛情もとらえ方は人次第
お笑いトリオ、パンサー・尾形貴弘の、愛妻“あいちゃん”への嫉妬心が物議をかもしている。ことの発端は『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)のドッキリ企画で、自分以外の男性があいちゃんに近づくことを異常なほど警戒する尾形に「常軌を逸している」とSNSで炎上。
7月2日、品川庄司の品川宅でのホームパーティーに招かれた尾形夫妻が格闘家の武尊と鉢合わせる様子が放送された。もともと、あいちゃんが「武尊のファン」であることに不満だった尾形は、番組内で「格闘家ってのは性欲の塊」とまで言ってのけた。ふたりが接近しようとすればするほど(もちろんドッキリで)嫌悪感をあらわにするさまは、「モラハラでは?」ともとらえられかねない。
あいちゃんがどう思っているのかは、一般人でもあり番組中では触れられていないため、ハラスメントであるかどうかの判断は控えたいが、夫婦問題カウンセラーの小林美智子さんによると、「妻がハラスメントだと感じていれば、ハラスメントに当たる可能性は高いです」とキッパリ。
具体的には、番組中で以下のような行動をとっている。(※一部紹介)
・武尊の写真集が自宅にあっただけで、離婚を切り出す
・こんな女だと知っていたら(結婚相手として)選ばなかったと口にする
・ほかの男性が妻の隣に座ることを極度に嫌がる(具合が悪くなったと言いだす)
・武尊と仲よく話していたことを叱責する
「妻を自分の思いどおりにコントロールすることだけに目が向き、妻の気持ちを考える余裕がなく、やっていることが全体的に子どもっぽいと思います。また、嫉妬が愛だと勘違いしていたり、人としての一般常識からズレていることに気づいていない点も、やや問題です」(以下カッコ内は小林さん)
そのことで、夫婦関係にはどんな弊害が起きる可能性があるのだろうか。
「嫉妬深いことで妻を疑ってしまい、妻を信頼できなくなる。そのため、中立的な夫婦関係を築けないという悪循環に陥ってしまうかもしれません」
仮に嫉妬深さが不安感から生まれるものだとしたら、「育ってきた環境やつらい体験などからくる、自分への自信のなさなのかもしれません」と小林さん。嫉妬深い=愛情深いという受け取り方もできるし、無関心よりよっぽどマシと考える人もいるだろう。しかし、ときに思いもよらないトラブルにつながるケースもあるらしい。
下手すれば離婚も!?
嫉妬深さの恐ろしい結末
「過去にこんな相談がありました。男性相談者さまは、奥様から離婚宣告をされて初めて、自分が今まで妻に対してどんなにひどいことをしてきたかに気づいたのです。これらは手遅れになってしまうケースがほとんど。“今まで、妻の立場になって考えてみたことある?”と聞くと、“自分の行動は正義だと思っていました”と答える方が多い。それくらい、自分の行動が当たり前だと思っていたようです」
尾形がVTRのなかで、武尊の写真集が家にあることであいちゃんともめた件について「そこでケンカしなかったら愛じゃない」とマネージャーに愚痴る場面があったのだが、まさに自身の言動にまったく疑問を持っていないことがわかる。では、嫉妬深い夫を持つ妻としては、どのようなスタンスで臨むべきだろうか?
「夫からの嫉妬心を感じたら、丁寧な説明を心がけるといいでしょう。また、夫が比較的冷静なときにいろいろな話をしたり、コミュニケーションを増やしていってほしいと思います」
一方、自分が嫉妬深いと感じた夫には、「もう少し妻の気持ちに目を向けて、妻の気持ちも聞いてあげてほしい」と小林さん。
「状況が変わらない場合、信頼関係が築けず、妻に不満がたまり離婚宣告もありうるかもしれません。愛はカタチがないため、“感じるもの”であり“語るもの”ではないんです。簡単に離婚だと口にする男性は、本気で考えていないことのほうが多い。自分の感情だけに目が向いているのかもしれませんが、妻にも感情があることを知ってほしいですね」
尾形は自身のTwitterで、反省し、武尊と和解したことを報告。おそらく想定外だったであろう世間の反応を受け、考えがあらたまり、円満な夫婦関係が築けることを切に願いたい!
<今回のセキララアナリスト>
小林美智子さん
夫婦問題カウンセラー。神奈川県生まれ。2006年から3000名以上の相談を受け続けている。男女の本質的な違いや育った環境の違いに着目して、夫の気持ち、妻の気持ちがよくわかる、カウンセリング・講演・執筆活動を行っている。著書『帰宅恐怖症』(文藝春秋)『妻と正しくケンカする方法』(大和書房)。公式ブログ「離婚を決める前に知っておきたい男女の違い」
<文/雛菊あんじ>