人妻と偽った独身アラサー女子と年下イケメンとのラブストーリー。東村アキコ原作をドラマ化した撮影エピソードや見どころとは──。
東村作品ファンの杏
原作イメージどおり
杏が4年ぶりに連続ドラマに主演。原作は同枠でドラマ化された『東京タラレバ娘』の東村アキコの新作『偽装不倫』(日本テレビ系 水曜夜10時~)。
「1年ぐらい前に東村先生と打ち合わせをしていたときに、“こんなのを始めたんです”と見せてくれたのが、ウェブ漫画の『偽装不倫』でした。1ページずつ横にスライドするウェブ漫画は、読んだことがあったんですが、1カットずつ縦にスライドする“縦読み”のスタイルは初めてで、それがとても新鮮だったし、なにより、作品がおもしろい。週ごとの更新ですが、次が楽しみでしかたなくて、まるで連続ドラマの次週を期待するような感じ。久しぶりに1話完結ではない連続ドラマを作りたいと思っていたので、原作のストックができるまで待っていました」
と、加藤正俊プロデューサー。
杏が演じるヒロインの鐘子は、アラサー独身女子。派遣社員でパラサイトシングルの鐘子は、結果の出ない婚活に見切りをつけ、趣味のひとり旅へ。そこで出会った年下のイケメン・丈(宮沢氷魚)に、見栄を張って既婚者のふりをすると、旅行の期間限定で不倫をしようと持ちかけられる。
鐘子とは逆に、理想的な結婚生活をしながら独身と偽り、年下イケメン・風太(瀬戸利樹)と不倫する姉の葉子役は、杏と初共演の仲間由紀恵が演じる。
「まず杏さんをキャスティングできたことで気持ちが楽になりました。杏さんはもともと東村作品のファンで、東村先生もドラマ化するなら、鐘子は杏さんがいいと思っていたそうなので、相思相愛です。原作の鐘子と見た目が似ている以上に、雰囲気が似ている。30歳を過ぎてこじらせた主人公を、杏さんが見事に表現しています」(加藤P、以下同)
杏は2014年に主演作『花咲舞が黙ってない』でタッグを組んだときは独身で、翌年のシーズン2のときには結婚していた。
「今作ではお母さんになられている。でも、女優として撮影に臨むスタンスはまったく変わらないんです。撮影現場では、鐘子にしか見えません。仲間さんとは2002年の『ごくせん』からずっとお仕事をさせていただいていますが、結婚をして、さらに母になった今、仲間さんの新しい一面、いままで見たことのない“女優・仲間由紀恵”を見てみたいと思ってオファーしました。杏さん、仲間さんともに“不倫”のイメージの対局にいる方が演じているというのは、今作の妙といえます。杏さんと仲間さんの共演を見て、僕ですら“ああ、すごい”と思います(笑)」
インパクトのあるタイトルだが、いわゆるドロドロの“不倫もの”でなくコメディータッチのラブストーリーというのがポイント。
「東村作品の根底にあるのはリアリティーのあるコメディー感。つらいことがあっても人はごはんを食べるし、おもしろいテレビにクスっと笑ってしまうものです。いろんな感情があってこその人間。耐えられないほどの悲しさを抱えていてもコミカルに描くというのは正しいと思うので、今作でもその点を大切にしています。ドラマを見て、嫌な思いではなくハッピーな気分になっていただきたいという思いも込めています」
鐘子のモノローグ“セルフつっこみ”は、おもしろポイント。つい、鐘子を応援したくなるかも。
双子のママ“時短撮影”
新人、大女優に大緊張
初共演の杏、仲間は偶然にも双子のママ。共通点も多いようで、姉妹役の呼吸もぴったり。ふたりとも子育てが多忙な時期のため、撮影は今作ならではの進め方をしているという。
「杏さんと仲間さんの出演シーンに関しては、1日の撮影の中でも固めるようにして、稼働時間を凝縮しています。おふたりは休む間もなく次のシーンなので大変です。衣装替えも、のんびりできず、大急ぎでする感じ(笑)」
第2話(7月17日放送)は、鐘子が、葉子と不倫相手の風太とのデート現場を目撃する。
「風太が葉子をバックハグするシーンがあるんですが、新人の瀬戸さんは、大女優の仲間さんを抱きしめるとあって、本当に緊張していました。撮影では、“もうちょっと寄ったほうがいい”“腰が引けてる”などとダメ出しされてましたが、雰囲気は和やかでした(笑)。
今作では、鐘子はじめ、登場人物みんなが、自分にとっての“本当の幸せ”を探す物語です。原作にも登場する宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』をモチーフにして描いています。“幸せ探し”といっても、堅苦しくなく、まるでおとぎ話のようであり、やさしく包み込むような東村作品の世界観をお楽しみください」
要チェックポイントはここ!
鐘子は冷え性という設定なので、シャツの下からインナーがチラ見えしてるのに気づいていましたか?
「鐘子と葉子のファッションの見比べ、おいしそうなスペイン料理、そして、丈、風太、賢治(谷原章介)たちイケメンで目の保養など、いろんな楽しみ方をしてください!」(加藤P)