公正取引委員会の注意をめぐる2組の芸能人の反応が興味深い。元SMAP3人の『新しい地図』と元能年玲奈の女優ののん(26)。一方は“静観”、もう一方は窮状を訴えたが、その訴えは芸能界やテレビ業界にどう響くのか。
「世間の関心は吉本興業の“闇営業”問題に集まっていますが、このままこの問題がフェードアウトするのかどうか、世論が気になりますね」
テレビ局の中堅プロデューサーがそう本音を漏らすのは、ジャニーズ事務所が公正取引委員会から注意を受けた“元SMAP3人に対する圧力”についてだ。
静観の元SMAP、反応したのん
元SMAPの草なぎ剛(45)、稲垣吾郎(45)、香取慎吾(42)の3人は『新しい地図』としてCMやイベント、舞台出演などで活躍を続けているが、ジャニーズアイドルが多く出演する、地上波に出演する機会は失われている。そこにジャニーズが介入し“圧力”をかけたのでは、と疑われたのだ。
もちろんジャニーズ事務所は否定し、圧力を受けたとされる民放テレビ局側もそろって否定した。
「テレビに元SMAPが出演しないのは“圧力”のせいと実証することは難しい。演技がうまいとか歌がうまいとか、そんなの関係なく、テレビ局側が出演者を決定できるわけですし、実際、事務所側も局側も否定している。メールや隠し撮りなどで明確な圧力をかけられたとテレビ局側が告発すれば別でしょうが、ジャニーズに対してそんなことできるわけがない」(前出・中堅プロデューサー)
『新しい地図』側は、当然、反応をしない。
取材に動いていた一般紙学芸部記者は、
「元SMAPの3人が所属する事務所はクレバーですから、それこそ静観ですよ。無駄に声を上げたところで地上波に出演できる保障はないし、新番組が立ち上がるわけでもないことは、長く芸能界で働いていればわかることです」
その一方で、食いぎみに反応してしまったのが、女優ののん(26)のマネージメント会社です、と表情をしかめる。
同社のウェブサイトには、
《テレビ局の若い編成マンから本当にたくさんの素晴らしい企画、脚本などオファを頂きました。しかし、お話が進むうちに、上司や担当役員によって突然潰されてしまうことが繰り返されてきました。その状態が3年も続いております。》
《現場からの熱烈なオファーもある、のんが三年間テレビ局で1つのドラマにも出演が叶わないことは、あまりにも異常ではないでしょうか?》(原文ママ)
などと記されている。
「ネットニュースは、このステイトメントをもとに記事にしていますが、本当に企画を出したのであれば、具体的にどの局から何本くらいあったのか、ぐらい書いてもらわないと鵜呑(うの)みにできない。
“現場から熱心なオファー”とありますが、現場だけではオファーできません。企画としてオファーするわけですから、当然、プロデューサーもOKしている。プロデューサーだってバカじゃないので、局長に黙ってどうなるかわからない企画のオファーをしない。そういうテレビ局の事情を考えると、のん側の訴えをそのまま信じるのはちょっとどうかなと思ってしまいましたね」(前出・一般紙学芸部記者)
報道機関であるテレビ局がこぞって、「圧力はない」と言い切った“圧力問題”。
公正取引委員会の中途半端なメスの入れ方では、テレビ業界、芸能界が築き上げた暗黙のルールを変革できそうもない。
<取材・文/薮入うらら>