7月22日、吉本の岡本社長の会見に同席した、視聴者には『笑ってはいけない』でおなじみの藤原副社長

 7月20日の宮迫博之と田村亮の謝罪会見をきっかけに、所属の吉本興業の体質に疑問が持たれる展開となり、22日には同社の岡本昭彦社長が5時間半に及ぶ会見を行った。

 ところが、その会見の質疑応答に明確な回答が得られた部分が少なく、出席した記者ばかりでなく、会見を見ていた視聴者もスッキリしない結果となってしまった。

副社長の顔をしていた藤原氏のギャップ

「SNSなどで『笑ってはいけない記者会見』と呼ばれたりもしました。岡本社長をはじめ、大崎洋会長、藤原寛副社長など、現在のトップ陣が、みなダウンタウンのマネージャー経験者で構成されていることを初めて認識した人も多かったと思います。同時にその偏り方に、不自然さを覚える方も少なくないようです

 と、あるテレビ関係者は言う。

「ダウンタウンに限らないのですが、ときにはこのような“身内”がバラエティーなどに登場し、笑いを取ることもあります。でも、今回のことでなかなか笑えない状況になってしまいましたね」(同)

 そんな中、早くも心配されているのが、ダウンタウンが出演する大晦日恒例の年越し特番『ガキの使いやあらへんで!』の『笑ってはいけない◯◯』シリーズだ。ダウンタウン、月亭方正、ココリコがさまざまなシチュエーションで「笑ってはいけない」状況に直面。笑ったらお尻を叩かれるなどの罰を受けるという内容だが、進行役として登場するのが、藤原副社長だ。

「藤原さんは『松本、浜田、アウト〜』の声を担当したり、『お前らみたいなもんが、◯◯できるやなんて、感謝せえよ』と、上から目線で言うところも笑いを生んでいます。これはダウンタウンのほうが、もともと立場が上だからこそ成立するお約束の笑いです。

 しかし、今回の騒動のように、内部の生々しい部分が見えてしまった以上、藤原さんが出ても笑いづらくなってしまいます。今後の展開によっては、この人気特番も成立しなくなってしまうのではないでしょうか

 人気特番が終了してしまう可能性もなくはないという。

 また、ある放送作家はこう言う。

大晦日まで5か月ありますし、今後どのようにこの問題が展開していくかはまったく見えませんが、今の状況で判断すると、これまでのスタイルのままでは笑いにくいですよね。今回の騒動を思い出させて視聴者が冷めてしまわないよう、藤原さんの登場を取りやめる可能性はあります。新しい企画への変更や、出演者の変更なども考えられなくはありません。いずれにせよ、何らかの話し合いはすると思います」

 一方、真逆の意見として、一連の問題を円満に終結させるため大晦日の『ガキ使』を使わない手はない、というのは前出の放送作家。

「逆に、一連の騒動をネタとして盛り込んでいくこともあるかもしれません。退社発言をして騒動を大きくしている極楽とんぼの加藤浩次が登場したり、ビートたけしさんや、さっそく吉本ネタを披露したナイツが出たら、盛り上がるでしょう。

 今回の騒動、発端は闇営業でしたが、現在の争点は吉本という会社のお家騒動になってしまい、視聴者には直接、関係のない話題ですよね。社長の会見を見て『この人は悪い人じゃなくてダメな人なんだ』という印象を受けた人も多いようなので、“笑い”としての扱いを間違えなければ、視聴者は騒動と切り離して見て、自虐ネタとして笑ってくれるかもしれません」(同放送作家)

 7月26日現在、吉本興業は第三者で構成される「経営アドバイザリー委員会」の設置や希望する所属タレントと書面での契約を交わす方針にあると発表している。

「経営陣の姿勢が変わったんだということをしっかり示すことができれば、今後、問題は落ち着いていくと思います。大晦日の特番も、これまでどおり笑って見られるようになるのではないでしょうか」(前出・放送作家)

 日々変わっていく状況を見守っていきたい。

<取材・文/渋谷恭太郎>