すべてはここから始まった。昨年8月29日、女子体操競技の宮川紗江選手が記者会見を開き、日本体操協会の塚原千恵子女子強化本部長と夫の光男副会長からのパワハラを訴えたのだ。
「光男さんは'68年のメキシコ五輪から3大会連続で金メダルを獲得した体操界のレジェンド。千恵子さんもメキシコ五輪に出場し、塚原夫妻は体操界で圧倒的な権力を持っていました」(スポーツ紙記者)
特に千恵子本部長は女子体操界では“女帝”的な存在だった。そんな彼女に、宮川選手は歯向かったのだ。
「塚原夫妻の尊大な振る舞いに眉をひそめていた体操関係者も多く、18歳だった宮川選手の勇気ある行動が称賛されました」(同・スポーツ紙記者)
体操協会は、真相究明のために第三者委員会を設置して、塚原夫妻のパワハラを調査。昨年12月10日、その結果が発表されたのだが──。
「第三者委員会は“配慮に欠け不適切な点も多々あったとはいえ、悪性度の高い否定的な評価に値する行為であるとまでは客観的に評価できない”とし、要は“パワハラとは認定されない”という結論だったんです」(体操関係者)
協会は依然、パワハラ体質
さらに今年3月9日、体操協会は宮川選手の一部の言動が千恵子本部長の名誉を傷つけたなどとして、彼女に反省文の提出を求めた。
「宮川選手を擁護していた五輪メダリストの池谷幸雄さんも、“テレビで推測による発言をして協会の信用を失わせた”として誓約書の提出という処分を受けています」(前出・スポーツ紙記者)
処分が発表された当日、編集部は池谷にこの処分についてどう思うのかを所属事務所を通じて問い合わせていた。すると、事務所スタッフの答えは意外なものだった。
「何の話ですか? 協会から何も聞いていないのでお答えすることができません。ちょっとお待ちください」
数分後には、こんな言葉が。
「本当ですね……」
日本体操協会は、池谷側には何の事前連絡もせずに処分を発表していたのだ。
「勝手に処分を決めて、勝手にメディアに発表する。協会が依然、パワハラ体質であることが証明されたようなものです。体操界には結局“モノ言えぬ空気”が蔓延(まんえん)していますね」(別の体操関係者)
千恵子氏は子どもたちに体操を教える日々
千恵子氏は、今年3月いっぱいで強化本部長を、光男氏は6月いっぱいで副会長を任期満了による退職をしている。
だが、千恵子氏の女帝っぷりはまだ健在のようで、
「今でも千恵子さんには付き人の女性がついています。車の運転をしたり買い物をしたりと身の回りの世話をしているようです」(近隣住民)
体操関係者からは、こんな声も聞こえてくる。
「息子でアテネ五輪金メダリストの直也さんが総監督となった朝日生命体操クラブで、子どもたちに体操を教える日々を送っているようですが、千恵子さんがこのまま隠居するとは思えない」
女帝復活を虎視眈々(こしたんたん)と狙っているのかも──。