マツコ・デラックス

 7月22日、深夜11時過ぎ。ちょうど“月曜から夜ふかし”な時間帯に、東京都心にあるタワーマンションのエントランス前では、怒鳴り声が響いていた。大きな体躯から発せられる独特な声としゃべり方。このタワマンの住人が通りかかった際、声の主はすぐに誰だかわかったという。マツコ・デラックスだ─。

相手は若い女性で、事務所のスタッフなのか、仕事か何かの説教をしていました。女性はマツコさんに怒られているのに意に介している様子もなく、どこ吹く風といった感じ。あれじゃマツコさんも怒って当然だと思いましたね。でも、私が1度、部屋に戻って40分ぐらいして再び外に出たら、まだ説教が続いていたのには驚きました(笑)

 タワマンの住人と目が合ったマツコは気まずいそぶりを見せると、「あとは電話するから……」と言って、エントランスの中へ消えたという。まさに“怒り新党”なマツコだったのだが、この“お説教”には後日談があった─。

「ちゃんと話したのに、全然書いてくれない!」

その女性は『文春』の記者さんよ。“圧力”なんてナイと言ったのに、文春の上司が都合いいように書き換えたのよ。ちゃんと話したのに、全然書いてくれない!

 そう記者に明かすのは、マツコ・デラックス本人。冒頭の目撃談をマツコの事務所に確認したところ、本人から電話がかかってきた。

文春の記者がいきなりやってきて『新しい地図』の話をして、アタシが吾郎ちゃんを追い出したなんて言う。でも、ちゃんと答えたのよ。別に彼らが嫌いなわけじゃない。『Goro's Bar』にも出ましたから。でも、アタシが長らく彼らと一緒に仕事していなかったから、あんなこと書かれるのよね

 マツコが指摘するのは、8月1日に発売された『週刊文春』(8月8日号)の記事。《ジャニーズ幹部の稲垣「舞台潰し」とマツコ「共演拒否」》と題されたスクープだ。

 7月に発覚した、公正取引委員会が注意をしていた『新しい地図』の稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾に対するジャニーズ事務所の“圧力”疑惑と、テレビ局の“忖度”問題。この件で、文春の直撃を受けたマツコは、こう答えていた。

《だってテレビ局は使いたくないんだもん。SMAPだから使われていたわけで、SMAPじゃなくなった三人に魅力を感じますか》

《三人はSMAPにいたからこそチヤホヤされていた》

《あの三人を使うんだったら、キンプリ(King & Prince)を使いたいんですよ。分かるでしょう。それがテレビ。なめるなって話です》

 この発言の真意について、マツコはこう説明する。

3人の人気がないって言ったわけじゃなく、ほかのベテランジャニーズだってそう、手垢まみれのアタシたちより、今の若いテレビマンが企画書ゼロの段階で誰を使うってなったら、キンプリを使うでしょって話よ。ギャラも安いし人気もあるしと、そういう話をしたんです

「断ったのは吾郎ちゃんのマネージャーだからね」

 さらに文春は、マツコが月曜コメンテーターを務める『5時に夢中!』(TOKYO MX)で稲垣を準レギュラーに起用する案があったが、マツコサイドが“拒否”したという極秘情報も報じた。

 マツコは文春で《稲垣吾郎が『5時に夢中!』に入って楽しいと思う? いち視聴者として冷静に見れば、旬かどうかわかるでしょう》とも語っているのだが……。

月曜は若林史江とずっとやっているわけだから。月曜に吾郎ちゃんが入るっていうのは考えられない。ほかの曜日で、誰か辞めるタイミングとか、ゲスト枠で入るとかは、テレビ局が決めればいいじゃない。それに番組のクール途中で改編期でもないのに無理やりブチ込もうとしてきた。それでプロデューサーが考えた結果、あのときの、解散騒動後のSMAPを入れると本来の番組カラーじゃなくなっちゃう。

 そうなるなら木村拓哉だろうが、誰だろうが『5時に夢中!』では使いませんよって話なの。それでMXは1度断った後に、ちゃんと吾郎ちゃんのために番組を用意したのよ。冠番組よ! そのほうがよっぽどいいじゃない。アタシと下品な話するより。でも、それを断ったのは吾郎ちゃんのマネージャーさんだからね。“マツコと一緒じゃないとイヤだ”って

 文春では、マツコが関ジャニ∞の村上信五と『月曜から夜ふかし』(日テレ系)で共演し始めたことをきっかけに、ジャニーズ事務所と懇意にしているとも報じている。

「食事なんて、いろんな人としてますよ。それも情報交換。別の芸能プロや自分のマネージャーとも食事してます。いろんな人から情報を聞きたいから」

 マツコによれば、ジャニーズだから仕事を受けるとか、大手の芸能事務所に忖度するなどは決してないと言い切る。

『夜ふかし』は、内容がよかったから引き受けたの。村上は、ほかのジャニーズができるかってぐらい自虐して、身を粉にしてやってるじゃない。じゃあ、吾郎ちゃんが『5時に夢中!』で下品なキャラになれるかっていったら向かない。アタシだって、その人の個性を考えてやりますから

 『週刊女性』に電話をしてきたこの日、マツコは新CMの撮影中だったというが、言いたいことが止まらず、撮影の休憩時間を延長して話を続けたのだった。

『5時に夢中!』の出演をめぐる経緯について、『新しい地図』の所属事務所にも聞いてみると、

弊社から『5時に夢中!』に稲垣吾郎の出演を提案させていただいた際、MXテレビからも快諾を受け、'17年10月24日(火曜日)に出演させていただいたと理解しております。同時に、月に1回出演させていただきたいと提案し、11月7日(火曜日)と、12月5日(火曜日)の出演スケジュールをMXテレビからいただいておりました。

 後日、同スケジュールの出演は断られ、その際に別の稲垣吾郎の番組のお話はいただきましたが、まったく具体的な企画ではなかったので、よい企画があれば、また連絡くださいとお断りさせていただきました。

 なお、マツコ・デラックスさんとの共演を希望した事実はありません

 マツコからの直電は2時間近くになろうとしていた。

 記者のケータイの充電が切れそうになったころ、声のトーンを落として、こうつぶやいた。

吾郎ちゃんと、彼のファンを傷つけるのだけはやめてと、文春にはお願いしていたのよ。アタシは基本、誰も傷つけたくないからさ……