令和元年の文字が入った500円玉と100円玉 提供/(独)造幣局

 5月1日に改元され、新しい時代『令和』が始まって3か月余り。徐々に新元号が定着する中、まだお披露目されていないのが『令和元年』と刻印された硬貨だ。財布の中には平成と昭和の硬貨が入り混じっており、キラッキラの令和元年モノを見かけることはない。

 硬貨などの製造を行う独立行政法人造幣局(大阪市)によると、令和元年硬貨第一号が誕生したのは7月11日のこと。新元号発表後から金型を作り始め、ようやく令和元年の文字が入った貨幣の製造が開始された。

「最初は500円玉、100円玉から。現在はほかの硬貨も製造中です」(造幣局広報担当者)

 令和元年の硬貨の製造を担当するのは造幣局の大阪工場。圧印機という機械が20台あり、1台で毎分750枚の硬貨をつくる。金型を交換しながら1日あたり計約500万~600万枚を製造し、年間約10億~11億枚にのぼるという。

 財務省の計画では、今年度製造される硬貨の枚数は1円から500円まで合わせて約10億枚。しかし、来年1月以降は令和2年になるため、

「そのうちどれくらいの枚数が『令和元年』の硬貨になるか、現段階ではわかりません」

 と財務省の担当者。

 いずれにせよ、令和元年硬貨が製造されるのはあと数か月間なのだ。

 そんなプレミアム感がある令和元年の硬貨、いつから出回るのだろうか。

 硬貨は造幣局で製造されたのち、日本銀行に引き渡され、各金融機関を経て、ようやく私たちの手元へとやってくる。

 日本銀行の担当者は、

「残念ながら出回る時期がいつごろになるかの見通しをお答えするのは難しいのです」

 と答える。というのも、

「日本銀行や金融機関には、平成年間に作られた硬貨もまだ残っていますので、令和元年の硬貨がいつ払い出されるかを具体的に申し上げられないのが実情です。楽しみに待っていただければと思います」(日本銀行の担当者)

新1万円札・渋沢栄一氏のお膝元では──

 待ち遠しいのは硬貨だけではない。

 4月9日に政府がデザインを発表した2024年に刷新予定の新紙幣だ。

 特に注目されるのは現行の福沢諭吉氏から40年ぶりに変わる渋沢栄一氏の1万円札。

 渋沢氏の生誕地、埼玉県深谷市ではそのゆかりの地を一目見ようと新札発表後から多くの人が足を運んでいる。

 同市にある渋沢栄一記念館には4月9日から7月31日までの期間、例年の約8倍の人が来場したという。

 夏休みに入り、小中学生や家族連れが増えている。

「渋沢氏は具体的に何をしたのかあまり知られていません。1万円札になることで興味を持って訪れてくれる人が増えました」(前出・担当者)

 ちなみに等身大の渋沢氏のパネルと記念写真が撮れるコーナーは一押しスポット。渋沢氏と背比べした写真はインスタ映え間違いなし?

 さらに、一足先に新札気分を味わいたい人にはオリジナルグッズもおすすめ。中でもミニタオル=400円(税別)=は紙幣をモチーフにしたデザインが取り入れられている。絵柄には深谷市の特産・深谷ネギや同市のイメージキャラクター「ふっかちゃん」の姿も。

新札をモチーフにした渋沢栄一氏のミニタオル。深谷市のイメージキャラクターふっかちゃんの姿も(川本山陽堂提供)

 考案したのは同市の印章店『川本山陽堂』の川本徹郎店長。これまでに数百種類の渋沢栄一グッズを手掛けてきた。

 しかし、

「これまではほとんど売れず、ボランティアというか、趣味というか、かなり真っ赤な状態でした。でも4月の新札発表後は……プラマイゼロという感じですかね」(川本店長)

 ようやく“渋沢愛”が実を結んだかたち。

 令和元年の硬貨と、5年後に手元にやってくる新札。新しいお金が財布をパンパンにしてくれることを期待したい。