(左から)成田凌、宮沢氷魚、清原翔

 現在放送中のドラマや話題の映画で、ひときわ輝きを放つ若手俳優たち。なかでもファッション誌『MEN’S NON-NO』の専属モデルを務める“メンノン男子”たちの活躍は目覚ましい。モデルだけにとどまらない、多彩な才能を秘めたイケメンたちの魅力を分析してみると――。

 放送中のNHK朝ドラ『なつぞら』で、柴田牧場の跡取り息子・柴田照男を好演している清原翔(26)。日テレ系ドラマ『偽装不倫』で、主演の杏と恋に落ちるイケメンカメラマンを演じる宮沢氷魚(25)。そして9月13日公開予定の映画『人間失格 太宰治と3人の女たち』で、太宰に心酔する若手編集者を演じる成田凌(25)……。いま、テレビや映画で活躍中の彼らには、とある“共通点”が。

 いずれもファッション誌『MEN’S NON-NO』の専属モデルを務める“メンノン男子”なのだ。

「メンズノンノは’86年5月に女性ファッション誌『non-no』の男性版として創刊されました。歴代の専属モデルは、田辺誠一さん、谷原章介さん、東出昌大さん、坂口健太郎さんなど、数々の名俳優を輩出しています」(ファッションライター)

メンノンモデル選出の基準

 メンズノンノの編集長を務める根岸英行さんに話を聞くと、どんな系統でも清潔感を忘れないコーディネートの提案を心がけているという。

「誌面ではモードからカジュアルまで幅広く取り扱っているんですが、私たちが提唱しているのは“クリーン男子”というものです。どんなファッションでも、きれいめに見えるコーディネートですね。ターゲットは20代の男性が主ですが、20代前半がいちばんのボリュームゾーンです」 

 専属モデルは、みんな高身長のイケメンぞろい。どのような基準で選ばれているの?

「選考では、モデルとして服をきれいに見せられるかどうかが重視されています。さらに面接では、その人のパーソナリティーと、きちんとした常識が備わっているかということを見ています」(根岸編集長)

 コラムニストの吉田潮さんに、いま活躍中のメンノン男子3人について聞いた。

「『なつぞら』で認知度がグンと上がった清原さんは、WOWOWのドラマ『虫籠の錠前』で主役を務めるなど、着実に力をつけてきたイメージがあります。そこではちょっとワルな、カッコいい役柄を演じていたのに対して、テレ朝系のドラマ『深夜のダメ恋図鑑』では、毛深くて女子に嫌われる“残念な男子”という役柄。若手ながらたくさんの引き出しの持ち主という印象です

『偽装不倫』で王道イケメンを演じている宮沢は、

「テレ朝系ドラマ『僕の初恋をキミに捧ぐ』では、ヒロインにアタックするナルシストな役、日テレ系ドラマ『トドメの接吻』ではダークな役も好演していたので、王道ではない個性的な役に挑戦してほしいですね」(吉田さん、以下同)

 あらゆるドラマや映画でひっぱりだこの成田は、安定した演技力に定評がある。

「いちばん印象的なのが、NHKドラマ『ふれなばおちん』。人妻役の長谷川京子さんと恋に落ちる、売れない役者という役どころだったのですが、雨に濡れた子犬のような表情で、女心をくすぐる男性を好演していました。ほかにも月9ドラマ『コードブルー THE THIRD SEASON』では、弱くて頼りない新人救命医を演じたり、TBS系ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』ではゲイ役を演じるなど、王道ではない役もこなす安定感があります」

「リアルな妄想をできるか」がポイント

 あらゆる場面で、圧倒的な存在感を放つ彼ら。どうしてここまで、メンノン男子が好まれるのか? イケメン評論家の沖直実さんによると、彼らにはモデル出身だからこその強みがあるという。

「モデルという経験を積んでいるので表現力が豊かで、自分の見せ方をわかっている方が多い。顔もですが、佇まいに存在感があって全体的な雰囲気にとても華がありますね」

坂口健太郎

 身近にいそうな“リアルなイケメンさ”も魅力のひとつなんだとか。

顔はカッコいいのに、なぜか親近感を感じられるモデルさんが多いんです。“電車で隣の車両に乗っているかもしれない”“会社の別の部署にもいるかもしれない”というリアルな妄想ができる“彼氏感”のあるイケメンが集まっているんですね。モデルさんは自分がメインではなく服をきれいに見せることがお仕事ですが、それが演技にも生きているんだと思います。例えば清原くんは華があるのに、『なつぞら』では田舎の牧場で育った男の子として、物語に溶け込んでいますよね」(沖さん、以下同)

 キャスティングする側としても安心感があるそうで……。

「彼らはメンズノンノの公式サイトで頻繁に私服をアップしたりブログで自分のライフスタイルを投稿しています。女性ファンだけではなく、私服やライフスタイルをまねしたい男の子たちのファンも多い。男女から支持されているんです。モデル活動でファンはいるけど、テレビ的にはまだ発掘されていないフレッシュ感があるという点でもキャスティングしやすいでしょう

 “メンノン男子”というひとつのブームが起こっていることについて根岸編集長は、

「モデル以外にも俳優としての顔があるのは、モデルの仕事にもプラスに生きてきます。今後もいろいろな分野で活躍していく子たちが増えていくのかなと思います」

 個性豊かなメンノン男子を目にする機会が、これからも増えそうな予感!

現役メンノンモデルにインタビュー

宮沢氷魚
宮沢氷魚
1994年4月24日生まれ。現在放送中のドラマ『偽装不倫』(日本テレビ系)に出演中。来年1月公開予定の映画『his』では主演を務める

「明るい現場なので、毎回楽しくさせていただいています。杏さんからは撮影が始まった2日目くらいに“とにかく楽しく撮影しようね!”と声をかけていただいて、本当に心強かったですね」

 放送中の日テレ系ドラマ『偽装不倫』で、杏の相手役として注目を集める宮沢氷魚。優しい眼差しと時折、見せる儚い表情で人気を集める彼は、いま最も勢いのある若手俳優。そして『MEN’S NON-NO』の専属モデルを務める“メンノン男子”でもある。

「撮影現場でほかのモデルさんたちと一緒になると、自然と自分たちが出演している作品の話になりますね。やっぱりどこかでお互いの活動に興味を持っていて、ライバル意識もあるんだと思います。成田凌くんと栁俊太郎くんは、2人でよく役作りの話をしているのを見ますね」

 モデルになったきっかけは、表現力を磨きたいという思いからだったという。

「お芝居がしたいと思って芸能活動を始めたんですが、モデルというお仕事をすることで自分をよく見せたり、表現力を身につけることができると思ったんです。坂口健太郎くんや成田くんを筆頭に、どんどん周りのモデルさんたちが映画やドラマで活躍していく姿を見て、“自分もできる日が来るのかもしれない”というモチベーションになっていきました。俳優としての現場は、まだ少し緊張しちゃいます。メンズノンノの撮影があると、自然体になれるというか、ホームに戻ってきたという感覚がありますね」

 撮影現場では、先輩たちを見て、学ぶことも多いそう。

「ポージングもですが、礼儀作法を学ぶことのほうが多いかもしれません。編集の方が買ってきてくださった差し入れを、1つ上の代の先輩が率先して並べていたのを見て、“これは僕たちがやることなんだ!”って思って。そういった気の配り方を見て学んだりすることは多いです」

 特に、尊敬する先輩は─?

清原翔くんです。本当にカッコよくて、後輩にも優しい。今は朝ドラのほかにもいろんなお仕事をされているので、そうとう疲れていると思うんですけど、撮影で会ってもまったくそういう素振りを見せないんです。プロ意識の高さも尊敬します」