食べ物の消費量のランキングには、県民の好みや風土がガッツリ反映されるもの。
まずは寿司外食費用を見ると上位に違和感が……そう、栃木も岐阜も海に面していないのだ。
ほかにも6位山梨、10位長野と、海ナシ県の4県がトップ10入り。そして、寿司店の店舗数(回転寿司を含む)1位は山梨だ。ナゼ?
栃木、海への強い憧れ
「寿司はもともと酢でしめた具材を使う『なれ寿司』が原型の保存食。新鮮な海の幸が手に入りにくい内陸でよく食べられていたので、その名残なのでは」(統計ジャーナリストの久保哲朗さん)
なかでも、栃木に行くと特に強い海への憧れ、寿司への熱い思いを感じる、と話すのは県民性博士の矢野新一さん。
「仕事で行くと接待でのごちそうはだいたい寿司ですね。実は栃木にはサーファーも多い。
夜中に家を出て車で県外の海へ向かうそう。ふだん見られない海はありがたみがあって好きなんでしょう」
お次は、もとは中華の点心だったのに、いつしか日本オリジナルのおかずになったシューマイの消費量をチェック。
冷凍品や外食を除いた調理品のシューマイの年間消費金額で比較している。トップ3は神奈川、静岡、東京の順だが、神奈川が2623円、2位の静岡は1681円と圧倒的。47位の鹿児島は361円だ。
1日約2万5千個も売れているシウマイ弁当には親子3代~4代のファンもいて、ファンの間ではシウマイ弁当のおかずを食べる順番が議論されることも。
崎陽軒本店では、ケーキのかわりの『ジャンボシウマイ』に入刀するウエディングも実施しているから、結婚予定のファンはご検討あれ。神奈川県民のシューマイ愛は永久不滅です!
まさかの最下位
ラストは、この夏もたくさんお世話になったアイスクリーム・シャーベットをピックアップ!
年間消費金額の1位は石川の1万1082円、僅差で富山、福島が続いている。47位は沖縄で7309円。
なんと、ほぼ年間通して暑い沖縄が最下位。猛暑日が多い西日本で上位10位に入ったのは、9位の高知オンリーだ。
この謎を久保さんに尋ねると日本アイスクリーム協会の資料をもとに答えてくれた。
「30℃ぐらいならアイスやかき氷を食べたくなる人が83・3%いるのに、35℃を超えると73%に減ってしまい、かわりに飲み物が欲しくなる人が増える。西日本や猛暑の街では、真夏の売れ行きにブレーキがかかるようです」。
人間の食欲は繊細なのだ。
ところで石川は、アイス類のほかにチョコレートやケーキも消費量1位で、菓子類全体でも栄えあるトップ県だ。
菓子好きでつい財布のひもが緩んでしまう県民性の向こうにある、生活スタイルもちょっとだけ、気になる。
(※)この特集の消費量、店舗数、金額などは原則として人口(世帯)比です
《PROFILE》
久保哲朗さん ●統計ジャーナリスト。佐賀県出身。人口あたり統計で比較する都道府県ランキングサイトの草分け的存在。著書に『47都道府県の偏差値 』(小学館)など
矢野新一さん ●(株)ナンバーワン戦略研究所所長。神奈川県出身。マーケティング販売戦略指導者。“県民性博士”として著書多数。県民性スマホアプリの解説も担う