韓国で最高視聴率25.5%を記録した大ヒットドラマをリメークした法医学サスペンス。主人公の柚木貴志役を演じるのは、民放連ドラ単独初主演の大森南朋。
「主人公を演じるパク・シニャンは、ハンサムではないけれど、演技がとても色っぽく、カッコよく見えてくる不思議な俳優さんです。そのイメージが強く、今作でも、いわゆるイケメンではないけれど、アウトローな色気、危うさのある方をと思い、大森さんにオファー、快諾いただきました」
こう話すのは飯田爽プロデューサー。原作ドラマ放送直後の6、7年前から交渉し、実現させた。
権力に立ち向かう法医学者サスペンス
柚木は、権力に屈することなく、真実と正義を追求する法医学者。遺体と向き合い、不都合な“事実”を隠ぺいする権力社会に立ち向かっていく。
「柚木ひとりが活躍する物語ではなく、群像劇。柚木の弟子ともいえる景(飯豊まりえ)、柚木の元恋人の千聖(松雪泰子)と部下の紀理人(高杉真宙)のストーリーも描いています。主役の存在感をアピールするのではなく、今作の世界にすっと溶け込める、力量のある大森さんに演じていただけてよかったです」(飯田P、以下同)
原作の世界観、物語を生かしつつも、日本版でのこだわりもある。
「原作では後半に柚木と景は恋愛関係になるのですが、景は新人解剖医にして、柚木との間に生まれるのは師弟愛にしました。
千聖と紀理人、そして柚木や柚木と反目する伊達(仲村トオル)が師と仰ぐ兵頭(西田敏行)の間にも師弟愛を描いています」
伊達にも、オリジナル要素を加えたという。
「撮影前、キャストのみなさんに、海外では99%の解剖率の国もあるのに日本の解剖率が低いという話をしたんです。そのときトオルさんが“解剖によって事故だと思っていたわが子が自殺、または他殺だったという事実がわかったら、より深い悲しみになりますよね”と、おっしゃったんです。
本当にやさしい人柄に触れて、原作では冷酷な伊達のキャラクターを変えました。すべてを明らかにして誰かが傷つくくらいなら、ウソをついてもいいのではないかという考えの持ち主で、根底には恩師から受け継いだ真摯な姿勢を持っているツンデレキャラにしています。個人的には、不快なことがあると机をバンバン叩く、伊達のキレキャラ部分が気に入っています(笑)」
柚木と伊達は、単に対立しているのではなく、それぞれの考え方の違いがあるのは、この先でも描かれていく。
後味気にしない原作を見習いたい
毒舌な柚木と弟子の景を演じる大森と飯豊は、役を離れても師弟関係のようで息ぴったり。撮影は快調だが、柚木の恩師役の西田の撮影が終了した時にはこんなエピソードも。
「俳優さんたちだけで、西田さんを囲む会のような食事会をされていました。撮影中は、キャストの方の西田さんへのリスペクトがすごかったです。
大森さんは過去に何度も共演しているけれど、西田さんが目の前にいてくださるだけで、涙が出そうと言っていました(笑)」
物語はいよいよ大詰め。第8話(9月5日放送)では、国民的人気歌手・北見永士(横山涼)の殺害事件の犯人を楓(森川葵)と確信した柚木は、身を賭して真実に迫っていく。
「柚木と楓との攻防は衝撃の展開です。8話と9話だけ見ても、十分にお楽しみいただけます!
私は原作の結末を視聴したとき、本当にびっくりしました。韓国の作品はテーマを追求するためには、後味の良し悪しなど気にしないんです。今作でも、それを見習わなければ作品化した意味はないと考えて、思い切って挑戦しています。
大森さんの解釈、脚本家の羽原大介さんの考えにも違いがあり、結末はいろいろな意見や考え方ができると思います。
賛否両論あると思いますが、衝撃を受けていただけることをお約束します!」
紀理人と真宙は別人格!
優秀な若手刑事、紀理人を演じる高杉真宙。少年のイメージから、成長した大人の男を好演。「ときおり走り方が女の子っぽかったり、引きのシーンで幼さが出たりすることもありますが、死因を偽証する柚木に食ってかかる表情などは、大人っぽいし、シーンによっては色っぽさも出ています。
でも撮影現場では、カットの声がかかると隅っこで背中を丸めてます(笑)。
お兄さん気質の大森さんが話しかけても、引っ込み思案だから、会話は弾まないし、共演シーンが多い飯豊さんともそんなにしゃべりませんね。クールで大人なイメージの紀理人は、真宙君の演技力によるものです!」(飯田P)
《INFORMATION》
木曜ドラマ 『サイン—法医学者 柚木貴志の事件—』 テレビ朝日系 木曜夜9時~ (c)テレビ朝日