中井「1回でいいから、総理って呼ばれたい気持ちってない?」
ディーン「ハハハ! わかります(笑)」
中井「そんな気持ちがあったから、今回“総理!”って呼ばれたのがちょっぴりうれしかった(笑)」
三谷幸喜監督、待望の最新作『記憶にございません!』がいよいよ公開。舞台は政界だが、「政治のことは何ひとつわからなくて大丈夫」と笑顔を見せるのは、主人公となる“記憶喪失の総理大臣”を演じた中井貴一。そんな彼を厳しくもかいがいしく支える秘書官を、三谷作品初参加となるディーン・フジオカが演じている。
ファンタジックな三谷作品
ディーン「最高峰の現場を経験させていただきました。役者としてまだまだ勉強しなきゃいけない、修業を積まなきゃいけないということを改めて感じて。(中井主演の映画)『ビルマの堅琴』を見ていたのを鮮烈に覚えていて、そんな中井さんが隣にいるのが、今でも信じられないです」
中井「そんな(笑)。僕は正直、ディーンくんって近寄りがたい方なのかなって思っていたんです。何でもクールに“はい、そうです”って答えちゃうような。でも違った。お芝居をすると相手の本性って見えるんですよ。やっぱりいろんな経験をされてるからかな。すごくフランクで話しやすかったですね」
ディーン「(安堵した表情で)よかった。安心しました(笑)」
劇中では、最初から最後まで大いに笑わせられるが(ディーンいわく、1分に1回笑える!)、
中井「役者が笑わせようとして演じるコメディーほど、失礼なことはない。三谷幸喜の作品は、役者が面白いことをしなくても面白くなるようにできているんです。
実は、僕は三谷さんと同じ年。見てきたもの、感じてきたものが似ているところがあって、(コメディアンの)植木等さんが好きなのも一緒なんです。ファンタジックにまとめる彼の作風が大好きですね」
主人公の総理は、国民からすさまじく(!!)嫌われており、その支持率は、なんと史上最低の2.3パーセント!
中井「もう、低すぎて。それなら、もう辞めてるでしょ!(笑)」
ディーン「僕も最初、その数字は間違いなんじゃないかと驚きましたよ」
好感度は後からついてくるもの
しかし、ふたりも俳優として、表に出る人間。支持率ならぬ、“好感度”なんかは気にする?
中井「好感度かぁ。何したら高くなるんだろうね(笑)」
ディーン「今、久しぶりにそのワードを聞いたなって思ったくらい、普段あんまり意識してないですね」
中井「きっと好感度は、狙っちゃいけないんだよね。何か別のことをやっていて、そこに後からついてくるのかも」
ディーン「役者は監督が何を作りたいのか、どうしたらそれに貢献できるのか。自分がどう思われているかよりも、そういうことを意識している気がします」
中井「特に僕は三谷さんに対してそういう思いが強いんだけど、やっぱり映画って監督のもの。だから、個人の評価うんぬんよりも、“いい映画にして三谷幸喜を男にしたい!”って、そういう気持ちがあるんだよね」
仲睦まじく、会話を進める2人。そんな彼らに、せっかくなので“総理大臣になったらやりたいこと”を聞いてみた。
中井「国から予算を出してもらって、映画を作ること。政治が国境を超えるのは難しいかもしれないけど、何かに感動したり、面白いと思うことは、世界中で共有できるものがあるはず。(海外で活躍してきた)ディーンくんは、よくわかると思う。総理になる気持ちはないけど(笑)、映画を通して、日本という国をもっと知ってもらう機会をつくるっていうのは、夢かな」
ディーン「世界的に見たら、日本語を使う人って少ないですからね。僕は、日本語を話す人数が増えるような後押しができたら、いろんな意味で楽しいんじゃないかなって思います」
中井「じゃあ、次は三谷幸喜作品をインドネシアで撮影するとかどう?」
ディーン「インドネシアはいいですよ。ごはんもコーヒーもおいしい! 僕は家族がインドネシアに住んでいて、家に帰るようなもので。いつでもOKですよ!」
小話2選!
リアル”首相と……
中井「安倍さん(安倍晋三内閣総理大臣)は、学校の先輩なんです。津川雅彦さんが安倍さんのことが大好きで。首相だからというわけじゃなくて、安倍さん自身のことが大好きだったみたいなんです。なので、津川さんが一緒にお食事をなさるということで、後輩として誘っていただいたこともありました」
39歳になりました!
ディーン「去年の誕生日も、ちょうどこの作品の撮影中でみなさんに祝っていただいて、今年は舞台挨拶と誕生日が重なってまたお祝いしてもらい……大変恐縮です(笑)。気づけば39歳。早いですね。39歳ですから、サンキューって感謝の気持ちを持って、これからも頑張っていきたい!」
ヘアメイク/【中井】藤井俊二、【ディーン】新宮利彦(VRAI. Inc)
衣装協力/【中井】ビームス、【ディーン】ジョルジオ・アルマーニ
映画『記憶にございません!』
史上最悪のダメ総理・黒田啓介(中井貴一)。ある日、演説中に市民が投げつけた石が頭に当たり、記憶を失い、悪徳政治家から善良な“普通のおじさん”へ――。その事実を隠そうと躍起になる秘書官役のディーン・フジオカほか、石田ゆり子、草刈正雄、佐藤浩市など豪華すぎるキャストが大集合! 9月13日(金)より全国東宝系にて公開 (c)2019 フジテレビ 東宝