お受験2.0

【お受験コンシェルジュ&戦略プランナーのいとうゆりこさんが、東京都・神奈川県の小学校受験を中心に、学校説明会や幼児教室ではなかなか教えてくれないリアルな“お受験情報”を発信。小学校受験本番を迎える、幼稚園年長のお子様方に焦点を当て、保護者共々一年間どのように戦い抜いていけば良いのか各月ごとのポイントを教えてくれます!】

 願書の清書も終わり、入学考査料の振込みや面接の際の服装選びなど、試験に向けての準備も最終段階に入られているころかと思います。

 そこで9月編では、願書の投函日時にまつわる“郵便局の消印の神話”、面接時の持ち物事情を中心にお話したいと思います。

■郵便局の消印の神話……いつ・どこから提出するのがベスト?

 そもそもなぜ願書の投函日時が重要なのかというと、受験番号と関わってくる場合があるからです。受験番号は、願書到着順に振り分ける学校、生年月日順、名前順に振り分ける学校とがありますが、この番号によって考査の日にちや時間が変わってくるので、前者の場合にはしっかり計算して郵送したいところ。

 郵便というのは、学校の最寄りの管轄郵便局に一度集められ、配送されますので、自宅の最寄りではなく、志望校の管轄郵便局に行かれる熱心な方も多いのが現状です。

 東京地区の私立学校の多くは10月1日が願書消印有効日のため、慶應幼稚舎の管轄と噂される渋谷郵便局では9月30日の深夜23時半を過ぎると、宮益坂沿いにハザードランプを点灯させた自家用車が列をなして駐車されており、運転席にお父様かお母様、夜間窓口にもう一方が並ばれます。

 お子様のため、ご自身のために……と必死なお気持ちだと存じますが、深夜に苛立ちながら並ばれているお姿は、正直あまり美しいものではございません。何より、毎年多くの方が訪れているものの、慶應幼稚舎に関しましては受験番号は生年月日順となりますので、深夜に並んでも無意味です。

 たしかに、10月1日が願書消印有効日かつ受験番号が到着順に割り振られる学校の場合、なるべく遅い受験番号をとりたければ、学校から少しでも遠い郵便局から10月1日23時59分あたりに出すなど多少の工夫が必要となってくるかと思います。

 しかしそういったケース以外は、自宅の最寄りの郵便局から10月1日朝一番に投函するのがベストだと思います。いずれにせよ、大手のお教室などで学校別の諸注意事項を再度ご確認ください(※聖心の管轄郵便局は、深夜にいらっしゃる方々の件で毎年学校にクレームを入れるそうですので、とくにご注意ください)。

 また、“東京中央郵便局に一度すべての郵便が集められるため、そこから出せば最短で学校最寄裏の郵便局に配達される”という話を信じておられる方もいらっしゃるようで、例年かなりの人数がそちらに並ばれます。

 昨年も、学校のお名前入りの封筒を何通も抱えたお父様お母様方が9月30日の24時直前から並び出し、24時前に順番がまわってきそうになると、一般の方に順番をお譲りになったり、24時を過ぎて窓口が一つから二つに変更になった途端に、少しでも早く出そうと二組のお父様が揉めておられる光景を目にしました。

 窓口はあくまでも消印を押すだけで、大きな箱に一度まとめて放り込まれた後、方面別に仕分けされ、各管轄の郵便局に配達されます。管轄内の郵便局以外の場合は、どちらの郵便局から投函されても深夜作業時間帯であれば到着日時に変わりはありません。

 気になるようでしたら、投函予定の各郵便局にお問い合わせください。郵便局側も毎年のことで慣れておりますので、最善の方法を細かく教えてくださいます。

■面接の際の服装選び、要注意は雨の日?

 考査内容に運動がある学校の場合、考査中は汗をかくので半袖が好ましい場合もありますが、試験のはじまる11月1日頃の天候は、昨年に続き今年もまったく予想ができません。

 というのも、数年前の11月1日は非常に寒く、半袖の洋服の上にセーター、コートの装いが大半でしたが、昨年は11月1日でも暖かく、ジャケットやセーターも必要ありませんでした。

 さらに一昨年などは、早朝から大雨になってしまったため、学校最寄り駅までは長靴を履き、サブバッグに予備の靴下や革靴、考査用の上履き、両親のスリッパなどを入れなくてはならなくなり、通常のサブバックだけでは入りきらない大量の荷物になってしまったとおっしゃっていたお母様もいらっしゃいました。

 あるいは、傘立ての準備をしてくださらない学校もありますので、濡れた傘入れ、破れてしまった場合の予備のビニール、床を濡らしてしまった場合の雑巾などが必要となって荷物が増えてしまい、朝から大慌てだった方も。

 当日、二校受験される方においては、ご両親が大きな荷物を二つ抱え、お子様も自分で上履き入れを持って傘をさしたため、学校に到着する前にグッタリしてしまった方も多かったようです。

 お教室のなかには、学校最寄りに控え室を準備してくださっているところもございますので、そうした控え室やコインロッカーなどを活用しながら、荷物は最小限にしましょう。学校の保護者控え室もけっして広いわけではありません。

 大量の荷物で他の方にご迷惑がかからないようにしたいですね。

 そして試験を掛け持ちする場合、学校間の移動時間を短縮するために、タクシーで移動する方も多いと思いますが、なかにはタイミングよくタクシーがつかまらず、焦った方もいらっしゃると思います。

 最近ではタクシーの予約も簡単になったので、事前に移動するであろう時間帯の渋滞予想などもシュミレーションしておきたいですね。

 また、学校に入るとまずは受付を通過します。受付の方はお名前の横に受験生の受付通過時間も記入していることもあるので、早すぎず、遅すぎず、時間に余裕を持って受付を通過しましょう。

 受付時も、受験生が自ら名乗らなくてはならない学校と、保護者が受験票を提出する学校とがあります。

 この受付から考査はすでにはじまっています。

 さらには、通学路から先生を配置している学校もありますので、学校最寄り駅から気を引き締めて行動してください。

■併願校、滑り止めをいま一度考える

 7月編でも申し上げましたが、併願校や滑り止めの受験を軽んじず、いま一度しっかりと考えてください。6年間もしくは12、16年間と、お子様とご両親が通う学校のスタート地点です。どうしても魅力を感じなかったり、お子様、もしくはご両親がしっくりとこない学校には無理に出願せず回避しましょう。

 無駄な時間と労力を使う必要はありません。

 小学校受験がすべてではありません。学校によっては編入試験を実施している学校、中学受験の方が間口の広い学校もあります。編入試験や中学受験は筆記試験で点数が取れれば入学できますが、幼小受験は必ずしもそれだけではありません。

 点数以外の“何か”も大きなポイントとなります。最近ニュースにもなりましたが、理不尽な部分も少なからずある入試である、という事実も受け入れておいた方が良いかと思います。

<著者プロフィール>
いとうゆりこ◎お受験コンシェルジュ&戦略プランナー。自身の経験から美容や健康・芸能・東京に関するマネー情報まで幅広い記事を各媒体で執筆中。いとうゆりこ受験情報公式サイトは、https://itoyuriko.studio.design