「6月の町民運動会で新任の校長先生を初めて見た。挨拶してすぐ帰ってしまったけれど、恰幅のいい人だった。まさか、こんな事件で逮捕されるとは思いませんでしたよ」
と話すのは学区内に住む男性住民だ。JK(女子高生)ならぬDK(男子高生)を“食い物”にした犯行に、周囲は驚きを隠せずにいる。
大阪府在住の男子高校生(17)に金銭を渡す約束をしてわいせつな行為をしたとして、神奈川県警は先ごろ、新潟県長岡市の市立宮本小学校校長・宮嶋浩市容疑者(58)と、神奈川県川崎市の会社員・小橋勝洋容疑者(37)を児童買春・ポルノ禁止法違反(買春)の疑いで逮捕した。
“別件”で容疑が発覚
宮嶋容疑者は、
「倫理的な教育を行う立場にもかかわらず、性的欲望に負けてしまった。バレなければ大丈夫だと安易に考えた」
などと供述しており、2人とも犯行を認めている。
「両容疑者は今年3月23日午前7時17分ごろから午後10時半にかけ、大阪市此花区のホテル客室で男子高校生にわいせつ行為をした。きっかけは男子生徒が配信していた動画サイトをそれぞれが閲覧し、個別にSNSで男子生徒とやりとりを始めたところ、昨年9月ごろからSNSのグループトークに発展。3人が会うのは事件当日が初めてだった」と捜査関係者。
男子生徒に対し、小橋容疑者がスマホ決済サービスで5万円を支払い、宮嶋容疑者はホテル代を出したという。
中高年男2人は少年と大阪のUSJで遊んでからホテルに移動している。突き出た腹でたぎる性欲をぶちまけたわけだからゾッとするが、3人でどのようなプレーに及んだのか想像するだけでも……。しかも犯行は自身の勤める学校の卒業式の翌日だった。
犯行が発覚したきっかけは宮嶋容疑者の“別件”だった。
今年7月、神奈川県警のサイバーパトロールで宮嶋容疑者が東京都在住の別の男子中学生にわいせつな画像を送らせていたことがわかり、自宅から押収したスマホを解析したところ、大阪の男子生徒らとやりとりするSNSの履歴が見つかった。
宮嶋容疑者は今年4月、新校長として宮本小に転任してきたばかり。地元住民によると、歴代校長に倣って毎朝、校門前に立って児童を出迎えるなどまじめにみえたという。
小学校近くの女性住民は「お酒が好きでノリのいいところもあった」と赴任早々にあった町のお花見会での出来事を振り返る。
「知人にうながされ、宮嶋校長と『もしかしてPartII』をデュエットしたんですよ。どんな曲ならば歌えますか? と尋ねたら、校長は“演歌でも歌謡曲でも民謡でもなんでもこいです”とおっしゃって実際に上手でした。歌い方がエロくて、♪ふたりの行く先はひとつ~と歌うところでは、一緒にピースサインするなど、ひょうきんな面もありましたね」(女性住民)
お酒も飲める口で、「ビールや日本酒など和洋折衷なんでもこいです」(宮嶋容疑者)とビヤ樽のような身体を揺すって笑ったという。「なんでもこい」が口癖だったようだ。
自慢話ばかりでつまらない
一方、校長としての評判は定まる前だった。赴任半年を待たず逮捕されたため、「どんな校長かこれから知るはずだった」(宮本小児童の母親)などと話す保護者が多かった。
ならば、前任校での評判はどうだったか。今年3月まで市内の別の小学校の校長を務めていた。
児童の保護者のひとりは「つかみどころのない校長だった」と言うだけだが、同小を卒業した中2の男子生徒は「人気がなかったんですよ」と打ち明ける。
「僕らが挨拶しても宮嶋校長は返さないことがよくあったし、小突かれた友達もいます。一緒に給食を食べることがありましたが、自慢話ばかりでつまらない。そのくせ、給食はおかわりするほどよく食べるんです」(同生徒)
おかわりするのは悪いことではないが、食べざかりの児童を差し置いて校長が……と違和感を覚える。また、保護者の評判も悪かった。
「遠足で近くの弥彦山(標高634メートル)に登ったときのこと。教師と児童だけでは心配なので、保護者の一部もボランティアとして登山に付き合ったんです。みんなで汗をかいて登頂すると、あとから宮嶋校長がマイカーで上ってきた。体力に自信がないのかもしれませんが、平気でズルをする姿を子どもに見せるべきではないと怒る保護者は少なくありませんでした」
とPTA関係者。
「夫が警察に連行されました」
学校関係者らによると、宮嶋容疑者は1987年に県に採用された。試験に複数回落ちても諦めず、20代後半で教壇に立つと一貫して小学校教師の道を歩んできた。理数系科目が得意で、県から派遣されて地元の国立大学で院生として学んだことも。共同研究で『児童の生物認識の言語報告と自由記述による比較研究』の論文を書き上げている。
同じ教職に就く妻とのあいだには20代の男の子が2人いる。逮捕当日、同県柏崎市の自宅には複数の捜査員が訪れたといい、残された妻は「夫が警察に連行されました」と教頭に連絡している。
「あの日以降、奥さんもお子さんも自宅には帰ってきていません。奥さんが気の毒でしょうがない。ご主人(宮嶋容疑者)もふだんは素敵な旦那さんで炊事、掃除、洗濯、布団干しと率先して手伝っていました。ご家族が心配です」
と近所の住民は話す。
近くで暮らす実母の家庭菜園も手伝うなど家族思いだったという。
長岡市教委は記者会見で「あってはならない事態をたいへん重く受け止めている」と謝罪。新潟県教委によると、迅速に事実調査を進め、厳正に処分する方針という。
「宮本小の全児童53人に対し、担任を通じて“不安や心配はないか”などと聞き取り調査したところ、校長から何らかの被害を受けたような話をする児童はいなかった」(市教委・学校教育課)
校長代理を務める教頭は臨時全校集会で児童に対し、
「校長先生が決まりを破った。それは許されることではないので警察で調べられている。このあと、責任を取らなくてはいけない」
と生々しい表現を避けて低学年でもわかるように説明したという。
事件に困惑する大人たちをよそに、同小児童は元気に挨拶するなど事件前と変わらない様子。「なんでもこい」とばかりに一線を越えた宮嶋容疑者の犯行は、醜悪すぎて反面教師にもならない。