11月14日、15日の天皇陛下即位の儀「大嘗祭」に向けて、祭場となる「大嘗宮」の仮設工事が急ピッチで進行中。
しかも儀式後にはまもなく取り壊されるため、歴史的建造物を参観できるのは短期間のみ。これを機に東御苑、皇居外苑、北の丸公園をぶらり散歩してみると……。
重要祭祀「大嘗祭」
「いつもの厳かな東御苑とは違う風景も楽しいものです。大嘗宮が建てられていくさまを見られるのは、私はもう最後だろうからね(笑)」
とは、「皇居東御苑」本丸地区で写真を撮っていたご高齢の男性。“いつも”なら江戸城「天守台」が鎮座し、青々とした芝生広場「本丸」跡を見渡す風景に、仰々しい建築物が描き加えられている。
11月14日、15日に行われる、皇位継承に伴う一代一度の重要祭祀「大嘗祭」。
その舞台となる大嘗宮が約30年ぶりに仮設されている。東御苑全体を休園とした平成時とは違い、令和を迎えた今回は立ち入り区域の制限こそあるものの一般公開されている。
「大嘗祭への国民の理解が深まることを目的としています。平成のときは社会情勢の違いから、大嘗祭そのものに反対する声もあり、それこそ警察が出動する事態も起きたため厳重警戒としました。
現在はそういった動きもほぼなく、これを機にどういうものを建てて、どういうことを行うのかを公開する運びになりました」(宮内庁長官官房総務課)
当初は19億円と試算された造営費も、材料費などを抑えて9億5700万円に減額。これも国民の理解を得るための“節約”となった。
事実、着工後の参観者数は伸びているといい、また大嘗祭後には宮殿の一般公開も検討されている(9月26日時点)。
令和最初で最後の風景を鑑賞するのも一興だ。
皇居の“玄関口”
皇居の南側に広がるのは、芝生広場とクロマツが特徴的な「皇居外苑」。新年と天皇誕生日の一般参賀でにぎわう皇居前広場はテレビでおなじみの光景だ。
一方で普段の外苑は、国内外から来る観光客の人気スポットになっている。
そんな彼らをおもてなしするのが、楠木正成像近くの「楠公レストハウス」と「楠木茶房」。
特にレストハウスは、参観者の休憩所、インフォメーションセンターなどの役割を担う、さながら皇居の“玄関口”といえよう。
「施設奥には売店も設置(11月にリニューアル予定)されており、皇居外苑ならではのお土産が購入いただけます。
またレストランでは、一汁三菜メニューや江戸時代の料理書を参考に作られた『江戸エコ行楽重(要予約)』などがお召し上がりいただけます」(一般財団法人国民公園協会広報)
実はこのレストラン、丸の内エリアの勤め人も通う隠れたグルメスポット。そして、環境対策の取り組みから割り箸を使わず、菊模様入りのお箸をそのままお持ち帰りできるから驚き!
また、いつも環境整備が行き届いている皇居外苑。国民公園協会は環境省から委託を受け、樹木の管理や芝生の手入れや、皇居前広場の砂利ならしや濠の清掃を行い、巡視や利用指導で参観者の安心と安全を守るなど365日にわたり業務を行っているのだ。
皇居のオススメ秋スポット
皇居に精通する協会がオススメする秋のスポットは?
「東京駅から皇居へのびる行幸通りのイチョウ並木が有名です。
また、皇居の北側に位置する北の丸公園の紅葉林は、イロハモミジやトウカエデなど色づくモミジやカエデが多く植えられており、紅葉狩りにはうってつけです」
最後に訪れたのは、その多くの木々や草花が生える、自然豊かな「北の丸公園」。
春には、約300本の桜が咲き、公園内の池に映る“逆さ桜”が見事だが、池を上流へたどると「北の丸公園の滝」を拝めるのは知る人ぞ知る。
といっても公園内の池の水を循環させて放流する人工滝なのだが、都会の喧騒の中で流れる水の音は心地がいい。
ほかにも科学技術館や国立近代美術館など見学施設も充実。そして'20年の東京五輪でメダルラッシュが期待される、柔道の会場「日本武道館」のおひざ元だけに、来園者が一層増えそうだ。
ぶらり散歩もよし、じっくり散策もよし。この秋、皇居に触れてみてはいかが?
●Information●
1.楠公レストハウス
営業時間 8:30~17:00(食事は11:00~14:00)
定休日 12月29日~1月1日予約・問い合わせ03-3231-0878
2.皇居東御苑
公開時間:10月31日まで9:00〜16:30(入園は16:00まで)
11月1日~2月末日9:00~16:00(入園は15:30まで)
休園日:月曜日・金曜日(天皇誕生日以外の祝日は公開) 12月28日~翌年1月3日ほか、行事の実施日など