10月26日、27日に行われたグランプリシリーズのカナダ大会。“絶対王者”羽生結弦が、自己ベストとなる322・59点で、今シーズン初優勝を飾った。
「羽生選手は過去3回、カナダ大会に出場していますが、結果はすべて2位。鬼門としていた土地で初優勝を飾り、“自分に勝てた”と語っていました」(スポーツ紙記者)
羽生結弦、ライバルのネイサンに届かず
プログラムは、ショートが『秋によせて』、フリーが『Origin』。どちらも、昨シーズンと同じ曲で臨んだ。
「シリーズ初戦は曲に慣れていなかったり、演技構成が完成していない場合もあるので予想以上にミスをしたり、高得点が狙えないことも多い。しかし今大会は、2シーズン目ということで曲に慣れているためか、演技だけでなく精神的にも安定していました」(同・スポーツ紙記者)
自己ベストを叩き出したものの、アメリカ代表のネイサン・チェンが持つ歴代最高得点323・42点には、僅差で及ばなかった。
「今大会は難易度の高いジャンプを入れていなかったものの、今後について“4回転ルッツ、4回転アクセルを入れたいと思うかもしれない”と語っています。最大のライバルでもあるネイサン選手に完全勝利するためには、圧倒的な武器といえる4回転アクセルに挑戦したいという思いがあるのでしょう」(スケート連盟関係者)
まだ誰も成功させたことのない4回転アクセルを、少しでも早く習得したいという気持ちの表れか、今大会ではこれまでには見られなかった、とある変化があった。
羽生結弦の今季のコンディションは?
「ロシアの女子の演技には、かなり注目していましたね。カナダ大会で、3本の4回転ジャンプを成功させたロシア代表、アレクサンドラ・トゥルソワ選手のジャンプについて研究したり、同じくロシアのソフィア・アカチエワ選手にも注目しているようです」(同・スケート連盟関係者)
“前人未到”への挑戦──。成功への道は、そうとう厳しいものとなる。本格的に演技に組み込むとなると、いつごろになるのだろうか。
「4回転アクセルを入れるとなれば、演技やジャンプの構成を変えていかなければいけません。その調整をいきなり行うのは、かなりのリスクだと思います。仮に入れるとしても、早くて来年3月の世界選手権か、来シーズンになるでしょう」(同・スケート連盟関係者)
フィギュアスケート解説者の佐野稔氏も、今は焦る必要はないと語る。
「羽生選手のコンディションは今、非常にいい状態にあると言えます。そういうときだからこそ、意欲的に挑戦していきたいという思いがあると思うのですが、何よりケガをしないことがいちばんの課題です。
昨年痛めた足首のケガのダメージが残っているので、足元は緩みやすい状態ですし、焦らず来シーズンに向けて調整しながら練習していくことが大切かと思います」
“アクセル”の吹かしすぎには気をつけてほしい。