このふたりと一緒で楽しめた? 熊本県阿蘇への旅行でのこづえ容疑者と由鶴乎園長(白丸)

「逮捕から1週間以上たっても、容疑者は“園児を殴ってはいない。触れただけ”などと容疑を否認し続けているようです。それだけのことで2週間のケガになるものなんですかね」

 と社会部記者が肩をすくめる相手は、傷害の容疑で10月21日に逮捕された清原こづえ容疑者。

 福岡県宗像市の私立認可保育所「日の里西保育園」の副園長を務めていた人物だ。

しつけと称する虐待

「今年6月26日、こづえ容疑者が、園児たちにブリッジ歩きをさせている最中に、当時6歳だった男児の顔面を殴打。全治2週間のケガを負わせたとされています」(同・記者)

 無防備な子どもに暴行を働き、ケガまでさせるとは、しつけの一線を越えているといえるが、この保育園には以前から芳しくない評判があった。

 近所の主婦が証言する。

「園児が園庭を泣きながら走っとる。授業じゃろうけど、見とってかわいそうになってくるとよ。それに園児が、園児を大声で叱っとってね。先生がそういう厳しい指導をしとるからじゃろう」

保育園の園児たちは地元のお祭りで体操を披露して好評を博したことも

 事件発覚後は、園児を叩く、引きずり回す、蹴る、トイレの前で食事をさせる、味噌汁をかけるなど数々の暴力行為も報じられている。

 後述する宗像市が開示した保育園への苦情の中には、「薬を持たせていたが、別の子に飲ませてしまった」「ベランダを30周走らされた」という信じられない記述も。

 さらに、過去10年で60人もの保育士が大量退職していることも明らかになっている。

 退職を余儀なくされた元保育士のAさんが、涙ながらに週刊女性の取材に応じた。

「副園長は指示どおりにできない子がいると、暴言、泣かすだけではなくて、殴ったり引きずり回すんです。しつけと称する虐待ですよ。

 厳しい指導ができない保育士に対しては洗脳、マインドコントロールしていくんですね。それが効かないとパワハラざんまいなので、どんどん辞めていくんです。私も悩んで落ち込んで、自分を責めて眠れなくて、お腹が痛くなって、ボロボロになって、心を病んでしまい4年ほどで辞めてしまいました」

 この保育園は、10年ほど前に、前の園長から、現在の容疑者の母である清原由鶴乎園長が経営権を購入した後、こづえ容疑者も参画。

 当初は保育士の資格がなかったことから、保護者から苦情が出たこともあるが、その後、取得。最近は、実質的にこづえ容疑者が保育園を運営していたそう。

見栄っ張りでプライドが高い

「プロゴルファーの横峯さくらさんの伯父さんが開発した『ヨコミネ式教育法』という幼児の指導方法を取り入れてました。ヨコミネ式は幼児教育では有名な指導方法ですが、それがエスカレートしたのだと思います」(Aさん)

 園のFacebookには園児たちが海老ぞりになって歩くブリッジ歩きや組体操をする映像も。未就学児童にしては高度な内容に見えるが、逆にそんな教育方針から一部の保護者の支持を集めていたようだ。

ブリッジ歩きで円をつくる園児たちには目を見張るが……(保育園のFacebookより)

「子どもたちは腕をプルプルさせて頑張る。もちろん、泣き出す子もいますので、かわいそうに思えてくるんです」(Aさん)

 そんな場面で、こづえ容疑者は平手で園児を殴ってしまった─というのが今回の逮捕容疑のようだ。

 園児や職員を追い込んでしまうこづえ容疑者はどんな人物なのだろうか。

「副園長は、留学の経験や海外勤務を自慢していましたね。英語はペラペラで、園内ではこれ見よがしに英字新聞を読んでいることもありました」

 Aさんはそう記憶をたどるが、別の保育園関係者もこう証言する。

「こづえさんは、プライドが高く見栄っ張りのところもありました。わざわざ宗像市から離れた福岡市の中心部の若者に人気があるエリアの高級賃貸マンションに暮らしていましたから。宗像市内に住めば家賃もかなり安くすんだはずです」

 母親である由鶴乎園長も、娘とは別に福岡市内の高級マンションでひとり暮らしをしていたようだが、

「ご主人の話は聞いたことがないので、離婚か死別したのではないでしょうか。かつては母娘で同居していたんだと思いますが、仲たがいをして別々に暮らすようになったのかもしれません」(Aさん)

 園内で怒鳴り合っていることもあったという母娘だが、母親も園長という立場にありながら、ひどい行いをしていたようだ。

「夏も長袖の服を着なさい」

 Aさんは胸がふくよかだったため、目立たないように園長からそう指示されていたという。しかし、ある暑い日に半袖を着ていくと、

「そんなに露出したいのなら、そういう店で働きなさい!」

 と、セクハラまがいの暴言も吐かれたそうだ。

 由鶴乎園長は副園長の“暴走”を見て見ぬふりをしていたのではとAさん。

「園長はふだん事務室にいて、そこには6つの教室とひとつのホールを監視するモニターが7台設置してあります。副園長の暴言、暴力はそこに映っていたはずで、園長がそのことを知らないなんて、ありえないことなんです」

独裁的な経営者

 家事・育児代行業の田中絵里緒さん(45)は、日の里西保育園で暴力を受けた園児の家族から相談を受け、宗像市へ同園の苦情に関する情報公開を請求。

 次のような問題点を指摘する。

「その結果、8年前から3年前までの5年間で、23件の苦情がありました。独裁的な経営者が君臨することによって起きた問題だと思います。市などが運営する公的な幼稚園や保育園では、園長も保育士も定期的に入れ替わるので、独裁が長く続くことはありえないのですが」

プライバシー保護のため黒く塗りつぶされた保育園への苦情には数々の問題行為が。“ブラック”ぶりがうかがえる

 Aさんは現在、別の仕事に就いているが、保育士復帰の希望は捨てていない。

「子どもたちが好きだし、あれほど悪い保育園はなかなかないのはわかっているので、いずれは保育士として復帰したい。だけど、あのときのトラウマがまだ残っていて、いまでも通院しているので、それが癒えないと……」

 事件発覚後、由鶴乎園長は発表した文書の中で、

「副園長の保育方針に賛同される保護者もおられました」

 と、娘をかばうようなコメントも。

 容疑者本人もそんな気持ちだから、「触れただけ」と強弁しているのかもしれない。警察は、さらに10件はあるという傷害容疑についても捜査するという。