これから年末にかけて目立ってくるのがバラエティーの特番。レギュラー番組を押しのけて、特番が毎日のように放送されるのはなぜなのか。
「高視聴率が取れる番組を何本も続けて放送するのはかなり大変。ならば、高視聴率が期待できる番組を長時間放送するほうがいいに決まっています。長時間であっても1本の番組ですから、経費も抑えられる。3時間で1時間の番組×3だとそれぞれに出演者のギャラや制作費がかかってしまいますが、3時間の番組×1なら3分の1とまではいかなくても、かなり安上がりでしょう。特番は、“制作費を抑えつつ特別感を出す”という一石二鳥を狙っているんです」(制作会社関係者)
“コスパいい芸人”が呼ばれるのは必然
不思議なのは、どの局の特番でも出演者が同じような顔ぶれであること。
「昨年から引き続き、マツコ・デラックスさんやサンドウィッチマン、博多華丸・大吉さんあたりがリストの筆頭ですね。今年は千鳥や霜降り明星、指原莉乃さんといった面々も上位に入るでしょう」(テレビ局関係者)
キャスティングされやすいタレントの共通点は、“コストパフォーマンスのよさ”なのだという。
「彼らはだいたい1人30万円ほどでキャスティングできると言われていますからね。今はどこのテレビ局も予算が少なく、ギリギリの状態。ギャラがそれなりに安く、なおかつ番組を盛り上げてくれるタレントは重宝されるんです。どの局も同じメンバーになってしまうのは必然でしょうね」(同・テレビ局関係者)
ただ、今年の年末は異変の予感も。これまで常連だったのに、姿を消すことになりそうなタレントもいる。
「一部のタレントを除いてジャニーズや吉本興業、AKB48グループは苦戦するでしょう。ジャニーズは“圧力問題”を公正取引委員会に注意されたことがまだ尾を引いています。吉本は、闇営業問題に加えてチュートリアル徳井さんの納税問題まで出てきてダブルパンチ。AKBグループは、NGT48の山口真帆さんの暴行事件があったので、乃木坂46などの坂道系以外は厳しいでしょう」(前出・制作会社関係者)
出演激減の理由は不祥事・プライド
不祥事の影響はママタレにも及ぶことに。
「好感度ナンバーワンの呼び声も高かった木下優樹菜さんが、身内を巻き込んだタピオカ騒動でイメージが急降下。学園祭出演のキャンセルも始まっていますから、当分テレビ出演は難しくなります。彼女は《事務所をあげて店を潰す》と送信していたそうですから、ほかの所属タレントにも累が及ぶかもしれません」(同・制作会社関係者)
彼らは時間がたてば復帰できる可能性も残されているが、そのまま消えていきそうなのがベテラン勢だ。
「たとえ面白くても、ギャラが高いタレントは使いづらいんですよ。レジェンド級の方は別ですが、芸歴が長いというだけでギャラが高いケースもけっこうありますからね。空気を感じ取ってギャラを下げてくれればいいんですが、ほとんどの方は交渉に応じようとしません。プライドもあるし、1度下げてしまうと戻せないと考えているのかもしれませんね。でも、高額のままではキャスティングしたくてもできませんよ……」(同・制作会社関係者)
景気のよかった時代の体験を引きずっていて、現在の状況とズレてしまっている大物タレントもいる。
「とんねるずの石橋貴明さんは、黄金期と行動パターンが変わっていません。先日行われた誕生日会には、カンニングの竹山さんや有吉弘行さんなどのメンバーを集めてご満悦でした。相変わらず大物風を吹かせていますが、テレビ出演は激減しています」(テレビ誌ライター)
10月12日には『とんねるずのスポーツ王は俺だ!!』(テレビ朝日系)が放送される予定だったが、台風による報道特番の影響で11月10日に延期されることに。
「『スポーツ王』は'00年に正月特番としてスタート。とんねるずの2人が野球やサッカーなどさまざまなジャンルのスポーツ選手と対決する番組で過去には松坂大輔さんや澤穂希さん、石川遼さんや福原愛さんなど名選手も多く出演しています。'12年からは夏や秋にも放送され年2回の放送に。'18年3月で、フジ系の『とんねるずのみなさんのおかげでした』が終了し、2人がそろう唯一のレギュラー番組でした」(同・テレビ誌ライター)
今年の1月2日に放送された回で20回を迎えたが、先行きを危ぶむ声もある。
「『スポーツ王』はセットやロケがこのご時世とは思えない大がかりなもの。ゲストも超一流ばかりで、スタッフの数だってケタ違いです。何よりも耳が痛いのが、とんねるずは“ギャラは絶対に下げない”というポリシーを持っているところ。以前より視聴率は見込めないですし、さすがに局内でも“継続は厳しいかも”という声が出始めているんです。11月10日の回が最後の放送になる可能性が高いですね」(テレビ朝日関係者)
制作側の意向を汲む存在も
番組に対するものだけではなく、石橋個人に対しての不満もたまっている。
「石橋さんが『スポーツ王』のスタッフに“日本シリーズを見に行きたい”と言い出したことがあるんです。番組の中で野球対決をやるんだから、見ておく必要があるだろうと。ただ、番組制作だけでも予算がギリギリなのに、直接関係のない日本シリーズのチケットまでテレビ朝日が持つというのは難しい。石橋さんの交通費や宿泊代だけならまだしも、事務所スタッフの分もですからね。困り果てて、予算の多い別番組に相談するということもありました」(同・テレビ朝日関係者)
テレビ朝日に番組終了の可能性について問い合わせると、
「そのような事実はございません」
と否定するが、石橋の感覚はバブル時代から変わっていないらしい。
「大スターでテレビの黄金期からずっと活躍している人ですから、今のご時世はご存じない。昔も後輩たちを連れて行きつけの飲食店に行ったときもお金は出さなかった。テレビ局関係者が肩代わりしてました」(芸能プロ関係者)
対照的に、柔軟な対応を見せているのが所ジョージ。
「ギャラの相談にも応じてくれます。その結果、テレビ朝日系の『ポツンと一軒家』やフジテレビ系の『新説! 所JAPAN』などの新番組にキャスティングされ、レギュラー番組を増やしています」(前出・制作会社関係者)
“コスパ”を制する者が、特番を制す!?