「もう少し跳ねると思ったけど……」
知り合いの制作会社のAP(アシスタントプロデューサー)が、酒席でつぶやいた。宇垣美里のことである。
3月いっぱいでTBSを退社。4月から上戸彩や米倉涼子を抱えるオスカープロモーションに所属し、華々しくタレントに転身した。それから半年がたった。
企業のPRイベントには頻繁に出演し、ワイドショーの短い芸能コーナーに花を添えている。特に、6月までの3か月分を確認しただけで、8つのイベント出演がオンエアされるハイペースぶり。
7月にはイベントで『進撃の巨人』のヒロイン、ミカサ・アッカーマンのコスプレを披露し「再現度高すぎ」などとSNSで絶賛を浴びた。歯に衣着せぬ物言いも「正直で面白い」と評判を呼んだ。
しかし、去る10月の改編期、さらなる飛躍を見せるかと思われた宇垣だったが、新たなレギュラー番組を担当することはなく、従来のラジオ2本のみだった。
「局アナがフリーになる場合、半年後が勝負になります。最近は形骸化してきましたが、もともといたテレビ局への義理などもあり、すぐに他局に出る例はあまりありません。そのぶん、半年後に他局でレギュラーが取れるかが大きな分岐点になる。来年になれば、またフリー転身の女子アナが出るでしょうから、新鮮味ではかなわないですし」(テレビ誌ライター)
確かに、同じTBSからフリーに転身した田中みな実は、退社半年後の2014年10月期にフジテレビでレギュラー番組を獲得(『ニュースな晩餐会』)。宇垣と同時期にTBSからフリーとなった吉田明世は、4月からいきなり関西テレビ『レディース有吉』にレギュラー出演し、活躍の場を広げた。
まさかのネットスラング「民度」を使った宇垣美里
それに比べて鳴り物入りで芸能界入りした宇垣への逆風。そのきっかけは、いくつかの出演番組の発言などに見て取れる。
例えば、今年7月に放送された『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)にゲスト出演した際には、宇垣の名前を一躍有名にしたTBS時代の“事件”について触れた。
「レギュラーで出ていた『あさチャン』(TBS)からの降板をプロデューサーから申し渡され、壁にコーヒーをぶちまけた」という一部報道について質問され、「『あなたからもらったコーヒーは飲めません』と流しに捨てた」と真相を明かした。
さらに、「(この話が)外に出ていることのほうがおかしい。私とプロデューサーの間の話が外に出ている時点で(TBSの)民度が知れるわ、みたいな感じがした」と古巣TBSをバッサリ。
さらに、「サッカー番組で共演していた加藤浩次に『台本を見すぎ』と指摘され、台本を投げ捨てた」というエピソードもあっけらかんと公開。そのうえで「ナメられたくないですね。ナメられるくらいなら『やってやるぜ』がメンタルとしてある。ナメられたら殺される」と言い放ち、松本人志から「芸能界はそんな殺伐とした世界じゃないよ」と、たしなめられる始末だった。
放送後、「正直で面白い」という評価の裏で「口が悪すぎ」「勘違いしている」とネット上で賛否が渦巻いた。
局アナ時代からの“スキル”に対する疑問を呈する声もあがっている。
8月に放送された読売テレビ『特盛!よしもと』に出演した、TBSの先輩アナだった吉川美代子は、宇垣について、「アナウンサーよりはタレントとして頑張って!本当に、なんで局アナの試験受けたのかな?」と首をかしげ「実力が伴って考え方がブレなかったら、アッパレだと思うんですけど……キャラが濃いぶん、飽きられたらちょっと怖いかな」と後輩に厳しい採点をつけた。
この発言を受けた今田耕司も追い討ち。過去の共演経験を引き合いに「アナウンスもうまくないんですよ、進行とか。一緒にやったんですけど、間(ま)も悪い。アイコンタクトもできないし」とアナウンサー能力を疑問視した。
テレビ誌ライターは「彼女の場合は、スタッフ受けの問題もあるのでは」と指摘する。「芸能人が仕事を獲得するポイントのひとつは、スタッフが『一緒に仕事したい』と思ってくれるか。だが、“コーヒー事件・民度発言”の印象が強い宇垣さんの場合、『ややこしい案件』と思われているのかもしれません」と話す。
確かに、田中みな実はレギュラー番組のスタッフに手作りクッキーなどを差し入れるなど、気配り上手であることが知られている。
そんな宇垣だが、大手プロダクション関係者は「プライドが高く、勝ち気というのは芸能人向き。キャラクターを強く押し出していけば、大きく伸びる可能性はある」と話す。
実際、10月30日に放送された『太川蛭子の旅バラ』(テレビ東京系)に出演した際には、太川陽介に物怖じせず主張し、ピリピリした空気さえ漂わせた様子が反響を呼び、視聴率も同番組史上最高の8.1%を記録した。
今回の太川のように、彼女の自己主張を“見せ場”に昇華できる、やり手のパートナーが見つかれば、化けるのかもしれないーー。