11月12日に嵐の二宮和也がジャニーズ事務所を通して、一般女性のIさんとの結婚を発表した。
二宮は《かねてよりお付き合いをさせていただいている方と結婚することとなりましたのでご報告をさせて頂きます。結婚後も、これまでと変わらず活動してまいりますので、温かく見守って頂けましたら嬉しく思います》とコメントした。
ところが、二宮の結婚相手を一部メディア以外は一般女性と明記されているのに対しツイッター上では、《ジャニーズへの忖度(そんたく)?買収?》、《ジャニーズが怖いからか》と、さまざまな憶測を呼んでいる。
一方、二宮が結婚発表した同日、今年4月に東京・池袋で車を暴走させ11人を死傷させた旧通産省工業技術院の飯塚幸三を自動車運転処罰法違反(過失致死傷)容疑で書類送検した。
飯塚の呼称に関しても、読売新聞は以前から、フジテレビは書類送検後「容疑者」に切り替えたが、ほかのマスコミは「元院長」のままとバラつきがみられる。
ネット上では《元院長を外し容疑者にしろ》、《他の事案はすぐ逮捕で容疑者なのにおかしい》、《上級国民だから忖度してるのか》などと、飯塚やマスコミに批判が相次いでいる。
結婚相手が「一般女性」の理由
二宮とIさんの交際が発覚したのは2016年7月、二宮の自宅マンションに通う女性の姿を『女性セブン』がキャッチした。
一般女性は元・フリーアナウンサーで『news every.』(日本テレビ系)の金曜メインキャスターを務めていたが、二宮との交際発覚後、番組を卒業し、その後、所属事務所を退社、一般人となった。
この経緯や「かねてよりお付き合いしている方と結婚」というコメントをみると、二宮の結婚相手は元アナウンサーのIさんで間違いない。
FRIDAYデジタルによると、ジャニーズ事務所からIさんの名前、顔などを一切出すなという強いお達しがあったという。背景にはネットやSNSの普及、プライバシーを守る意識が高くなり、プロダクション側が配慮を強く訴える風潮が高まっているのだろう。
加えて、Iさんの代理人の弁護士からマスコミ各社に通知書が届き、2018年3月まで芸能活動をしていたが現在は一般人なので、実名、顔写真などは公開しないよう記され、守らなければ法的処置も辞さないとの通達も。
過去には山口百恵さんや堀北真希さんなど芸能界を引退したのちも、その名前を使ったままの報道があったが、なぜ、今回は「一般女性」になったのだろうか。
そこで、いち視聴者・読者として、テレビ局・新聞社の視聴者センター、もしくは愛読センターに「女性の名前を出さなかった理由」について問い合わせたところ、いちばん多かった回答は「二宮の結婚相手は元アナウンサーでも、現在は一般人だから」、続いて「編集の判断」との回答であった。
飯塚幸三の場合
二宮の結婚と同日に報じられた飯塚幸三の事故について、警視庁の調べによれば、アクセルとブレーキの踏み間違いが事故の原因と断定した。
飯塚は以前、JNNの単独取材に応じ、「安全な車を開発するようにメーカーの方に心がけていただき、高齢者が安心して運転できるような、外出できるような世の中になってほしいと願っています」とコメントをしている。
飯塚自身の踏み間違いが原因で事故を起こし、幼い子どもとその母親をひき殺し、9人の重軽傷者を出しながら、車の性能を原因にするかのようなコメントとは反省の色がうかがえない。
11月13日放送の『ひるおび』(TBS系)で八代英輝弁護士が「容疑者と書くのをなんだかわからず何年も何十年も前の肩書である元院長と呼び続ける。何かこの事件に対して、ちょっと普通ではない特別な意向が作用してるんじゃないかなっていう、不公平感が多くの人にもあると思う」と警察やメディアの対応を批判した。
事故が起きた当初、飯塚の呼称に関しては「さん」だったが、気がつけば「元院長」に統一されていた。日本経済新聞に問い合わせたところ「最初は“さんづけ”にしていましたが、読者から多くのお叱りの声をちょうだいし、各新聞社の様子をみながら“元院長”にしました」と筆者に言っていた。
飯塚が書類送検後、「容疑者」と報道しているのは、読売新聞、フジテレビなど数社にとどまる。
SNSでの呼称の違いに対するコメントを世論として酌み取れば、警察による飯塚への一刻も早い逮捕と厳正なる処罰を望むばかりだろう。
積極的な報道姿勢
しかし、マスコミが二宮の結婚相手の実名を伏せたり、飯塚を「容疑者」と表記しないなかで、一部メディアの積極的な報道姿勢もある。
サイゾーウーマン、J-CASTニュース、日刊ゲンダイデジタルなど一部メディアが二宮と相手の女性名を出して報道したり、飯塚に関しても、SmartFLASH、ダイヤモンド・オンライン、iRONNA、アゴラなどが容疑者として記事や問題提起をしている。
今回、筆者自身が調べた結果、実名を伏せることや呼称に違いがあるのは、ジャニーズや上級国民への配慮や忖度ではなく、会社の一定の規則や近年の報道傾向にそったものであるということだった。
そして、その中でも一部メディアが従来のルールに縛られず、柔軟かつ、いち早く読者のニーズに応えているということもわかった出来事であった。SNSの普及で個々の意見がダイレクトに広まるご時世、今後のマスコミの報じ方に注視していきたい。
奥村シンゴ(おくむら・しんご)●放送・通信業請負コールセンターを経て、2012年から2018年まで認知症祖母在宅介護を6年経験。現在は精神病院に入院する祖母の緊急対応兼フリーランスライター、コラムニストとして執筆中。介護中心にエンタメ、時事まで幅広いジャンルを得意とし、citrusをはじめデイリースポーツ、季刊誌 認知症ケア(日総研出版)、介護ポストセブン(小学館)、みんなの介護ニュース(クーリエ)、アゴラなどで執筆中。