日本三大名園のひとつ、水戸の偕楽園に隣接する茨城県護国神社に今、激震が走っている。昭和天皇も参拝した由緒ある同神社の宮司がハレンチ事件で逮捕されたからだ。
同神社の担当者は、
「私たちも情報がなくて困惑しております。まだ(処分等の)結論は出ていません」
と、お手上げ状態を嘆く。
「“上から目線”という印象」
茨城県警水戸署は11月9日、神社関係のアルバイト女性(20代前半)を乱暴しようと押し倒し馬乗りになるなど暴行を加えたとして、強制性交等未遂の疑いで茨城県護国神社宮司、佐藤昭典容疑者(75)を逮捕した。
事件は7日午後に起きた。
「被害者が8日午前9時半ごろ、水戸署を訪れ被害が判明しました。女性は抵抗し逃げ、ケガはありませんでした。被疑者は“やっていない”と否認しています」(捜査関係者)
護国神社から車で15分ほどの住宅地に、事件現場となった佐藤容疑者の自宅がある。7日午後2時半から6時まで、容疑者と被害者は2人きりでそこにいたという。
「引っ越して10年くらい。近所付き合いはありません。今は町内会費を払っていますが、最初のころは払わなかった」
そう振り返るのは70代の近隣住民。容疑者は身長190センチと長身。そのためか、
「言葉や態度から“上から目線”という印象を受けました」
と付け加える。
近所の主婦は、佐藤容疑者が単身赴任だったと明かす。
「ご家族は三重のほうに住んでいて、お盆や正月にはお孫さんも見えて、いいおじいちゃんという感じでした。ときどき奥さまと思われる60代の女性が草むしりをしたりゴミ出しをしていましたが、基本はおひとりで住んでいました」
退陣要求を突きつけた遺族会
近隣住民には“地域の人とかかわるのは嫌だ”という佐藤容疑者の本音が伝わっているが、宮司としては人を巻き込む行事を次々に具体化するやり手だったようだ。そのことが遺族会を逆なでしたことが過去、複数回あったという。
「2010年の桜まつりのときには、鳥居の付近にミラーボールを設置して、若者がノリノリで踊り、神社がクラブ化していました」
と参拝客。ベリーダンスのショーやバンドのライブなどを開催していた年もあり、いつも盛況だったという。
「初詣のときに、宮司が若い女性2人と親しげに写真を撮っていたのも見ました」
と前出・参拝者。若者から慕われていた一面も明かす。
宮司の知人男性は、
「柔軟すぎる人でした。遺品の展示館を作り、イベントの内容を変え、桜の木を植え替える。いろいろやっていた」
と実行力を評価し、
「“神社は氏子がいなくなったら誰が守ってくれるんだ”と人を集めようとしていた」
と危機感も代弁した。
一方、護国神社元総代は、
「遺族の高齢化も進み、運営面で苦労していました。宮司は“金集めに熱心だった”、なかには“熱心すぎるくらい熱心だった”と、よく思っていない人もいました」
と周囲の悪評を伝える。
'15年4月、宮司と遺族会が決定的に対立する事件が起きた。本殿前の石畳で半裸の男女が全身を金色に塗り、演舞したことが物議を醸したのだ。怒り心頭の県遺族連合会は、宮司に退陣要求を突きつけた。
「宮司と遺族会の関係は良好ではありませんでした」(前出・神社担当者)
と今も尾を引いている。
エロ宮司に堕落
歯に衣着せぬ物言いも、特に年配の人には快く思われていなかった、と指摘するのは前出・宮司の知人だ。
「女性に“ブス”と言ったり、かわいい子には“かわいいな”とストレートに言う。誰かの発案を“水戸でしか通用しない”とか“田舎の考えだ”と否定することもあった。敵だらけだったと思いますよ」
前出・神社担当者によれば、「'02年に来る前は伊勢神宮で神職も務められていました」
アイルランド大使を伊勢神宮に案内した際の出来事について、護国神社発行の「さくら山」(平成26年4月10日発行)に、
《皇后さまは侍従を通して神宮にいる私に御礼の電話をつかわされた。》
と書き記したことがあった。皇后さま(現在の上皇后美智子さま)とご縁が持てるエリート神職としてのさりげないアピール……。
今年10月には天皇陛下の「即位の礼」に合わせて「即位礼奉祝祭」を開催するなど神職として責務も果たしていたが、人生の晩年に神職とは思えない罪を犯した。
エリート宮司がエロ宮司に堕落した今回の事件。戦没者遺族は、こう吐き捨てた。
「今回の事件はあまりにもひどい。論外です」
佐藤容疑者逮捕の翌日には「祝賀御列(しゅくがおんれつ)の儀」、14、15両日には「大嘗祭(だいじょうさい)」がそれぞれ行われた。こんな大切な時期になぜ犯行に及んだのか。
戦没者たちも草葉の陰から何を思っているのか。