EXILEや三代目 J SOUL BROTHERSらが所属するLDH JAPANが運営するスクール『EXPG』が、通信制学校法人の『角川ドワンゴ学園N高等学校』と提携した『EXPG高等学院』を来年4月に開校することを発表した。東京・大阪・名古屋の3か所にキャンパスを設置し、学長にはEXILEのTETSUYAが就任。ダンスを学びつつ、高卒資格を取得できるという。
新しいビジネスモデルに
いわば“EXILE学園”とでもいえる高校の設立だ。この発表に、ある芸能ジャーナリストは「さすがLDH」と絶賛する。
「吉本のNSCやサンミュージック、劇団系の養成所などは多数ありますが、N高校と組んで、本格的な高校の設立に乗り出すというところに目をつけたのは、さすがLDHですね。主に10代から活動する若い芸能人は、『学業と芸能活動の両立』という問題を常に抱え、仕事をしながら学びやすい通信制の高校や大学を選択するケースが多いのが現状です。
また『高校』なので、保護者の賛同も得やすいと思います。そのあたりも絶妙にうまい。今回設立されるこの学校は、芸能人が在籍するという性質のものではありませんが、養成所と高校を兼ねたスタイルというのは、新しいビジネススタイルになっていくのではないでしょうか」
2012年から中学校の体育の授業でダンスが必修化された。LDHはここでもいち早く参入し、各地の行政や教育機関と提携を結んだ活動を行い、ダンスの普及に努めるなど多くの活動も行ってきた。
「今回の高校の件だけに限らず、LDHの先見の明はすごいですね。LDHというと、なんとなく初期のEXILEに代表されるような、浅黒い、いかにもな雰囲気の面々を連想しがちですが、E-girlsをはじめとした女の子グループの展開や、俳優部門にはEXILE的な雰囲気を感じさせない俳優も多く、後から『この人、LDHだったんだ』と気づくパターンだってあるほどです」(テレビ誌記者)
“原石”を育てる高校
会社はどんどんと大きく成長。着々と視野を広げて、いよいよ教育部門にも本格的に乗り出した、ということか。前出のテレビ誌記者が続ける。
「'06年から'14年の間にメンバーが6人から19人に増え、巷(ちまた)では85年後くらいには日本の男性が全員EXILEメンバーになるのでは、とネタ的な試算が出たことがありましたが、それもあながち冗談ではなくなっていくかもしれませんね(笑)。この高校を卒業後、ほかの事務所に所属して芸能活動を始めたり、ほかの職業につくとしても、LDHを通過した人材が、どんどん世の中に増えていくことには違いありませんからね」
これまでの芸能事務所のビジネスを振り返っても、この展開は新しい試みだ。なぜLHDはここまで大きくなり、そして手広いビジネスに着手することができるのだろうか。前出の芸能ジャーナリストが言う。
「コミュ力だったり、交渉力の高さがあるのではないでしょうか。そして、芸能だけでなく、もっと広い視点からビジネスをしっかり考えている。それが既存の芸能事務所と異なるところからのアプローチが実現できる理由ではないでしょうか」
『EXPG高等学院』での就学により、LDH側にとっても、原石を育てることができるというメリットも生まれる。
「ここから新たなEXILEやGENERATIONSのメンバーが誕生したり、卒業生による新たなグループの結成などといった可能性も大いにあります。そういった意味でも期待値は高いですよね」(同)
“EXILE高校”出身。それが当たり前の世の中も、もしかしたら訪れたりするのかもしれない。
<取材・文/渋谷恭太郎>