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──沢尻さんは10年以上前から違法薬物を常用していたと供述し、衝撃を呼びました。合成麻薬MDMA以外にも大麻やコカイン、LSDなどといった薬物を複数使用していたそうです。
「本当にたくさんの報道がありましたよね。数年前、沢尻さんが周囲の人たちに“大麻使用はやめられないのか?”と咎められた際に『やめられない。これが私のライフスタイル』と答えたという記事を読んでつい、人気紀行番組『アナザースカイ』のキャッチコピー、“ここが私のアナザースカイ”を思い出してしまいました。彼女の場合、別の意味でのトリップになってしまっていますが……。
ほかにクラブのパーティーで『エリカ、これやりなよ。今日もやっちゃいなよ』と言われ、『それじゃあ、いただきます』とコカインを鼻から吸引したという報道も。
あれだけの大女優の沢尻さんも、実は元々は気が弱い性格だという話もありましたし、はじめはクラブ友達の輪を乱したくなくて、勧められるがままに吸ってしまった部分もあるのかもしれません。普通の人でいうところの、“お酒の席で友達にアルコールを勧められると断りにくい”状況と似ているのでしょうか」
片瀬那奈とフジロックの対談で……
──今回の沢尻さんの薬物報道に関しては、続報としてお付き合いしていた男性も逮捕されるという展開にもなりました。これだけ連日、新しい情報が報じられるのも珍しいことですよね。
「今回の報道で初めて知った言葉のなかに、『沢尻容疑者は別名「マメラー」』といったタイトルの記事もありました。つい“マメラー”とはどんな意味なのかを気になって読んでみたところ、“MDMA好きのジャンキー”という意味だそうです。こういう事件が起こるたびにクスリについてどんどん詳しくなっているような気がしてなりません。“マメラー”なんて別に知る必要のない言葉だったのに……」
──「どのクスリがどれだけの時間で体内から抜ける」といった情報も本来知らなくてもいいことですよね……。さらに、野外音楽イベント『フジロック』で音楽にあわせて奇妙な踊りを踊りながらLSDをキメていたという話も動画つきで報じられました。「フェス」や「クラブ」といった場所にも風評被害が広まってしまったかと。
「それでいえば過去に、普段から親交のある女優の片瀬那奈さんと『フジロック』について対談した記事で、“あると便利な持ちもの”というテーマのなか、沢尻さんは『携帯用の折りたたみイスがあるといい』とおっしゃってましたけど、本当の必需品はドラッグだったのかな……とか変な想像もしてしまいます。
ほかにも、沢尻さんがクラブで踊っている動画もネット上で拡散されましたよね。イケてない感じのDJが流す単調な曲に、オーディエンスが虚ろに踊っているといったものでした。沢尻さんのダンスも絶妙ににダサかったです。なぜかシャワーキャップをかぶった人たちがフロアをウロウロしていたりと、ノリが変だという印象も……。東京や芸能界といったものに夢を抱いている若者があの動画をみたら、一瞬で幻滅するくらいの虚しさが詰まっていました」
──まさにそれはネット時代だからこその風評被害ですね。沢尻さんも『ハイパーメディアクリエイター』の前夫・高城剛さんとご結婚されていたときはしょっちゅう海外旅行に行かれたりと、もっとセレブなイメージがありました。
「本当はもっとセレブが集まるようなパーティに行きたかったのに、例の『別に』発言をはじめとした度重なる言動の数々により、段々と招かれなくなってしまったのでしょうか。華やかな世界に似た場所を探していくうちに段々とクラブの悪い部分に染まっていったというか……」
大河は撮り直しするよりも……
──沢尻さんが逮捕される少し前に、田代まさしさんが覚せい剤所持で5度目の逮捕となったニュースもありましたし、薬物断ちするのはとても大変なイメージも強いですが。
「確かに一度薬物に手をだしたら恐ろしいことになるというイメージは世間にも十分植えつけられましたよね。コカインなど鼻から吸引するドラッグは直接脳に届いて変容させてしまうので、いったんドラッグの快感を知ってしまったらもう戻らないと聞いたことがあります。私は以前薬物使用の過去がある人と仕事で会ったことがあるのですが『覚醒剤は注射で入れる時、冷たくて気持ち良い』と言っていて、結局忘れられない感じに、ドラッグの恐さを知りました」
──沢尻さんが出演予定だった来年の大河ドラマ『麒麟がくる』も出演シーンの再撮が決定しました。すでに10話ぶんほど収録しているなか、NHK関係者が「最悪中の最悪」と漏らしているいう報道もありましたね。
「もちろんNHKは国民が受信料を払っている手前、クレームは多いでしょうし、撮り直しになってしまうのは当然のことかもしれません。
ただ、役者にまた同じ演技をさせたり、一度解体したセットをもう一度作り直さなければならないという制作サイドの事情を考えるに、すでに撮ってしまったシーンは“顔だけ差し替えればいいんじゃないか”とは思いましたね。VFXの技術を活かし、身体の部分は沢尻さんのままで、顔だけ代役の川口春奈さんに変えるかたちでもいいのかな、と。
ウィル・スミスの最新映画『ジェミニマン』でもこの技術を使って27歳若返った彼を再現したといいますし、川口さんのセリフと顔の表情だけを録ってあとで沢尻さんの顔にはめるというのも可能なんじゃないでしょうか。そのほうがみなさんのストレスも少なそうですし。果たして予算がどうなるのかはわかりませんが、私がスタッフならそれを主張したいですね」
──沢尻さんは今回が念願の大河初出演だったみたいで、会見で「これが本当に自分の集大成と思っています」と語ってもいました。もちろん本人に責任があるのは当然ですが、女優・沢尻エリカを惜しむ声も少なくありません。
「当時、高城さんとお付き合いをされていたとき、皆既日食をみるレイヴ・パーティに参加するために奄美大島まで行っていましたよね。今も日食はアーユルヴェーダ(インドの伝統的医学)の世界で不吉なものとして扱われており、その日はカーテンを閉めきってしまうくらいに絶対に見てはいけないものらしいです。古代から人が恐れてきたという日食・月食は直でみないほうがいいのかもしれませんね……。沢尻さんは皆既日食をみながらプロポーズを受けたといいますし。
芸能界でもつんく♂さんが'12年にツイッターで日食について《見ない方がカラダの為》といった旨のツイートをして話題になりました。知っている人はもう知っているということなのでしょうか」
──沢尻さんが今後、どのようにして社会復帰を果たせばいいのかについても、ワイドショーをはじめたくさん議論が行われています。「芸能界に復帰させてはいけない」といった厳しいコメントも少なくありません。
「女優業以外でいえば、最近、吉川ひなのさんをはじめとしたモデルが、CBDオイル(大麻草の芽と花にある樹脂線から抽出されるもの)を使ったコスメをプロデュースしていたりしますし、沢尻さんもそちらの方向でいったら成功するのでは、と思います。ドラッグとしてではなく、大麻を合法的かつ健康的に使う方法もありますし、ご自身の美しさも活かしつつ、大麻のいい面を普及させるという活動がいいのかもしれません。
もしくは、沢尻さんはスペインで個人事務所設立して活動拠点を移したり、現地の大麻インストラクターとも深い関係だったりと海外志向も強そうなので、国外で“大麻ソムリエ”として活躍できるの可能性も。“やっぱり〇〇産がいいよね”といったように。どちらにせよ、沢尻さんが社会復帰できる環境があることを願ってやみません」
辛酸なめ子/漫画家・コラムニスト。
東京都生まれ、埼玉県育ち。武蔵野美術大学短期大学部デザイン科グラフィックデザイン専攻卒業。近著は『大人のコミュニケーション術』(光文社新書)『おしゃ修行』(双葉社)『魂活道場』(学研)、『ヌルラン』(太田出版)など。