『週刊女性PRIME』の取材を受けるフィフィ

 テレビで活躍するだけに留まらず、Twitterでは40万人以上のフォロワーもいるタレント・フィフィが、11月下旬より新たな境地・YouTubeでの活動を本格始動させた。なぜYouTubeチャンネルを開設したのか。今後の展望やコラボしたい相手まで、その胸中を赤裸々に語ってくれた。

* * *

――この度YouTubeでの活動をはじめた理由を教えてください。

 今の時代はYouTubeで動画をみるのが当たり前になってきているじゃないですか。そのなかでもはやりエンタメや美容系などの動画が多いイメージがあります。

 今後、YouTubeが廃れないとして、エンタメだけじゃないところを見たがる人たちがどんどん増えて需要が高まると考えました。

 “楽しむだけのYouTuber”だけじゃなく“タメになるYouTuber”がもっともっと出てくるだろうし、私もそこに合わせて社会問題とか政治・経済について発信していきたいなと。教養とか情報とか。 

――フィフィさんはTwitterでそういったツイートを多くされていますよね。

 Twitterは、始めてもう10年になるかな。やっぱり自分の表現ができる点が良いですよね。テレビのように作ってもらった番組のなかだと、どうしても構成や放送時間の問題があるので、毎回自分の思うようなテーマや思っていることすべてを喋れるわけではないんです。

 その点でYouTubeは、Twitterのような文字数の制限がないうえに、映像だから感情もより伝わりやすいだろうと、表現する場としての魅力を感じていたんですよね。同じサンミュージックに所属していたヒロシさんは、キャンプ動画で成功しましたし。若い人はあの“ヒロシです…”っていうネタ知らないからね! いまや一人でキャンプをしているおじさんといったイメージのほうが強いといいますから。

HIKAKINが大好きだった息子が……

――やはりまだYouTubeの視聴者層は若い世代が多いですよね。

 実際、私の子どもがガッツリYouTube世代なのね。いま15歳なんだけど、HIKAKINさんで育ったの。テレビでなく、ネットのなかのタレントに重きを置いてきた世代なんだよね。だけど、HIKAKINのことが大好きだった息子が、最近は動画を見ていなくて。“もう面白くないの?”って聞いたら、“HIKAKINはレジェンドなんで。HIKAKIN様なんで”って言うんだよね(笑)。でも、息子曰く、最近は観たい動画が少なくなってきたそうです。

――『アンパンマン』から『戦隊モノ』に興味が移る……みたいなことですかね。

 そうそう! それと同じことがYouTubeのなかでも起きていて、成長とともにエンタメ系のYouTubeを卒業していくわけです。だから、エンタメ系はそれはそれでアリなんだけど、そのうちYouTubeで育った世代が、情報系のチャンネルを求める時代が来るんじゃないかなと。 

ラファエルとのコラボに期待

――YouTubeを始めて大変だと感じる点は?

 たとえば編集ひとつとっても難しいんですよ。でもそれすら人によりけりで、このあいだYouTubeで動画投稿をされているメンタリストのDaiGoさんとお会いしたのですが、聞くところによると全然編集ナシなんですよね。

 そんな話を聞くと、どんなスタイルで行けば良いんだろうなと考えてしまったり……。難しいですよ。テレビでタレントをやっているからというだけでは成功しない世界なので。息子からも、タレントだからっていまのYouTuberに敵うとは限らないって言われましたし(笑)。

フィフィはこのようにしてYouTubeを撮影している

――『小6女児誘拐事件』や薬物で逮捕された沢尻エリカさんなど、最近のニュースについて私見を述べられる動画もありましたね。

 テレビの放送コードとネットのそれとは違うなかで、バズろうとして扱うテーマとかタイトルとかどんどん過激になりがちじゃないですか。

 私自身、事務所に所属してテレビにも出ているから、やっぱり迷惑はかけられないので、そこのバランスは難しいです。事務所は有難いことに、“自分でやっちゃって良いよ”って丸投げなんですけどね。最近YouTube側も規制が厳しくなっていますし。

 ただ、それをあまりにも気にして何も言えなくなると、やんわりとお利口さんな動画で終わってしまう。だからダメかっていうと、そうでもない面もありますけど。だから、あんまり下品でもなく、人を誹謗中傷せず、気をつけてやっていこうと思っています。人を誹謗中傷し過ぎると、明日は我が身なんで(笑)。

 何かあったときに“お前言ってたよな?”って数倍返しで言われそうで怖いので。“罪を憎んで人を憎まず”的な感じでやっていこうと思います。

――ほかのYoutuberの動画を見て感じることは?

 YouTuberはそれぞれ自分のチャンネルという名のメディアを持っているので、時間もネタもキャラクターもタレントさんも、どれも全部バラバラ。誰が売れているとかじゃなくて、色んな種類の方たちがいて、色々なスターがいる。

 そういった点でYouTubeというプラットフォームはそれぞれの表現ができて良いんですけど、やっぱり“世の中の雰囲気”というものは、いまだにテレビや雑誌が何となく作り上げていると思うんですよね。“世の中こうだけどさ~”と語るときにその“世の中”ってどこをバロメーターにするのって言ったら、徐々に力は薄れてきているものの、やっぱりマスメディアだと感じました。

――YouTuberの醍醐味のひとつにチャンネルを超えた“コラボ”があると思いますが、今後そういう可能性も?

 できるならラファエルさん(笑)。私がYouTubeを始めるにあたって、連絡先を伺ってお会いしたんだけど、初対面の状況下でも“こうしたら動画が良くなりますと”と親切に教えてくれたり、はじめたら“頑張ってよ!”って言ってくれて。

 テレビの世界って、ひとつの枠をみんなで争っているから、芸能界を生き抜く方法なんて誰も教えてくれたりなんかしないの。ライバルは蹴落とさなきゃいけないところがあるから。

 だけど、YouTuberはそれぞれが自分のフィールドを持っていて、異なるチャンネルを持って棲み分けができているから、蹴落とそうとしたりしないんですね。“すげー親切だな!”って思って。ライバル心なんて持っていない。むしろ“出るよ、コラボするよ”とまで言ってくれて、テレビとは全然体質が違うんだなと思いました。

――テレビの世界と違って事務所の力もないですしね。

 テレビはいろいろな力が働いていて、必ずしも自分の努力が100%報われるかどうかはわからない世界。それに対して需要と供給がはっきりしているYouTubeは厳しくもやりがいがありますよね。そういえば「お金のためにやるんでしょ?」とか聞かないの?(笑)

――もし聞かれたらどう答えますか?

 そんなに甘い世界ではないと思っています。あわよくば……くらいです。だけど、誰でもスターになれるかもしれないっていう点で、すごく夢のある仕事だと思います。長い目で見てやっていければと思います。まずは、新しい人たち、新しいユーザーに向けて、フィフィを知ってもらうところから地道に努力していきたいです!


プロフィール

フィフィ 

1976年、エジプト・カイロに生まれ。テレビ、ラジオ、ウェブメディアで活躍中。2歳のときに家族で日本へ移住、中京大学情報科学部卒、卒業後渡米し、帰国後に日本の音楽関連企業に就職。その後、ニックネーム「ファラオの申し子」としてタレント活動を開始。2011年の「アラブの春」に際して綴ったブログで注目を集め、以来、国内外の社会問題について鋭い発言を続けている。一児の母。著書『日本人に知ってほしいイスラムのこと』(祥伝社)。YouTube(FIFI official YouTube channel)でも活躍中!